※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

1. 事案の概要(相談前の状況)

依頼者:Aさん(20代男性・会社員)
状況: 性風俗店で盗撮を疑われ、店舗から何度も連絡が入っている

Aさんは、関西のとある地方都市で性風俗店(デリバリーヘルス)を利用しました。

キャストの女性がホテルに到着する前に、何らかの理由で鞄に入れていた携帯電話の録画機能が作動したままになっていたようですが、Aさんは気づかずに女性をホテルの部屋に迎え入れます。

女性が、不自然な位置に鞄が置いてあることに気づき、位置を変えようとしたところ、携帯電話の録画機能が作動していることに気づきました。

Aさんは女性から録画していることを咎められたため、録画するつもりは一切なかったこと、自分でも気づかぬうちに録画機能が作動したままになっていたことを説明するも、女性は納得せず、お店のスタッフに連絡をすると言いだしました。

焦ったAさんは、ホテルの部屋に女性を残したまま、一人でホテルを出て帰宅しました。

その後、店舗の責任者を名乗る人物からAさんの携帯電話宛に何度も電話がありましたが、Aさんは怖くなり電話に出ないでおりました。

このまま何も対応しないでおいたら、警察が介入してくるのではないか、自宅や職場に相手方が突然来るのではないかと不安になり、弊所に電話で相談をしてまいりました。

2. 弁護士の対応と解決への流れ

Aさんは、店舗からかなりの回数の入電があったことから、強い不安を感じられておりました。

そのうえで、自身は盗撮をするつもりなどなかったにも関わらず、録画機能が作動していたことで誤解を与えてしまった、女性には説明をしたが納得してもらえなかった、店舗の方に同じ説明をしても納得してもらえるはずはないと考えておりました。

当職からは、実際に撮影をする意図がなかったのであれば、その点を真摯に説明するしかない、実際に撮影がされていないならばその旨伝えて安心させるべきであることを伝えました。

また、任意に話を聞きたいという話が来る可能性は否定できないが、証拠をもって事実関係が確認できない状況ですぐに警察が事件にするということはないこと、職場を知られるということは一般的に考えにくいし、自宅についても、弁護士が介入して携帯電話の契約者情報を調べるなど調査をすれば格別、住所が知られるということは考えにくく、ましてや店舗の関係者が自宅に来るということはないだろうとお伝えしました。

上記のような状況であったため、当職からは、店舗から連絡が来ることや今後何が起きるか分からないという点が不安なのであれば、ご自身で一回店舗の人間と話をしてみてはどうかとアドバイスいたしましたが、本件を穏便に解決したいものの、自分では怖くて連絡ができないということで、対応をお受けすることになりました。

ご依頼をいただいた後、すぐに店舗の責任者と称する人物の携帯電話に連絡すると、店舗としては盗撮行為の存在を疑っている、特に動画の拡散がされるのではないかとキャストの女性が不安になっている、店舗としては動画が撮影されたのではないことが確認でき、また、携帯電話に残された動画を削除してくれるのであれば、これ以上、大ごとにするつもりはないとのことでした。

また、携帯電話内の動画については、直接店舗事務所でAさん同席のもと確認し、目の前でAさんに削除して欲しいとのことでした。

携帯電話を当職でお預かりして操作する訳にもいかなかったことから、Aさんに上記を報告のうえ、店舗事務所へ当職同行のうえ訪問することを提案するも、難色を示しました。

そのため、リモートで削除する様子を証拠化し、店舗責任者に確認してもらうといった方法を提案しましたが、受け入れてもらえず、警察へ被害相談すると態度を硬化させたため、Aさんと話し合い、当職とともに店舗事務所に出向くこととしました。

その後、店舗責任者と日程を調整し、事前に、取り交わす合意書案を確認してもらったうえ、Aさんと店舗事務所に出向き、店舗責任者及び当職の面前でAさんに携帯電話を操作してもらい、動画内容の確認、削除をしてもらいました。

また、携帯電話内の他のストレージにデータを保存していないかの確認もしてもらいました。

店舗責任者には誤解を与えたことを謝罪するとともに、逃げてしまって迷惑をかけたことやキャストの女性を不安にさせてしまったことのお詫びとして少額の解決金を支払う旨のAさんの意向があったため、合意書の取り交わしをしたうえで支払い、終件となりました。

3. 解決結果と弁護士のコメント

請求額: 相手方からの請求は無く、動画の削除を希望
刑事処分: 被害届提出なし(逮捕回避・前科つかず)
職場・家族: 発覚することなく解決

弊所では数多くの性風俗店における盗撮事件を対応してまいりましたが、本件は盗撮をするつもりは無かったにも関わらず、携帯電話の撮影機能が作動しておりトラブルになったという珍しい事案でした。

実は、盗撮を疑われた方が、撮影をするつもりはなかったと主張することは比較的多く存在するのですが、店舗の方やキャストの方に信用してもらえることはほとんどなく、また、動画の撮影状況や動画の内容からして、かなり苦しい主張であると判断できる場合もあります。

本件では、携帯電話を鞄に入れており、鞄の外を撮影できるような状態にはありませんでしたし、実際に動画にも鞄の外の様子が残っていなかったことからして、Aさんが苦し紛れの主張をしたのではなく、本当に意図せず録画機能が作動していた可能性も十分にあり得る事案でした。

しかしながら、店舗側のリアクションも理解できるところはあります。

昨今、性風俗店における盗撮被害は多く存在しており、中には、盗撮された動画がネットで販売されているという悪質なケースもありました。

動画がネットで拡散されることになれば、世の中に存在する全てのデータを削除するということは現実的に不可能であり、拡散された方の被害は長期間にわたり発生し続けることになります。

そのため、性風俗店及びキャストの方は、盗撮行為を未然に防ぐべく極めて警戒しておりますし、盗撮行為がなされた場合には、刑事事件化を含め、厳しく対応する傾向にあります。

盗撮がなされた疑いがあるといっただけでも、店舗側が本件のような対応をすることは珍しいことではないと言えるでしょう。

重要なことは、上記のような店舗側の事情を理解し、誤解を与えるような点が無いか、サービスの利用前に確認をすることです。

Aさんのように携帯電話や撮影機能がある機器を鞄の中等に入れておくのは当然としても、機器が誤作動を起こしていないか確認をしておいた方が良いかもしれません。

それでも盗撮を疑われるようなことがあれば、店舗側からの圧力を受けて、事実に反することを認めたり、高額な解決金を支払う旨約したりしてしまう前に、弁護士にご相談をいただければと思います。

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