※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
1. 相談前の状況(事件の概要・相談に至るまでの経緯)
相手方: 店舗型風俗店の女性キャスト(20代)
被害金額: 200万円
争点: 貸借の立証、相手方の所在特定、返済能力の有無
「君しか頼れる人がいない」という言葉
Nさんは、仕事のストレス解消も兼ねて、川崎市内の店舗型風俗店を定期的に利用していました。そこで出会った女性キャスト(以下、相手方)と意気投合し、指名回数が増えるにつれて、店外でもLINEのやり取りや食事をする親密な関係になりました。
「店を辞めて普通の生活に戻りたい」「将来のために貯金をしている」と健気に語る彼女に、Nさんは次第に好意を抱くようになり、「彼女を支えてあげたい」と考えるようになっていました。
そんなある日、深夜に相手方から泣きながら電話がかかってきました。
「実家の母親が倒れて緊急手術が必要になった。手術費がどうしても200万円足りない。店には前借りをお願いしたが断られた。こんなこと頼めるのはNさんしかいない」
借用書を作らなかった理由
本来であれば借用書を作成すべき場面ですが、Nさんは以下の心理から作成を躊躇してしまいました。
緊急を要する事態で、書面を作っている暇がないと言われたこと。「信用していないのか」と相手を傷つけてしまうことを恐れたこと。恋愛感情があり、将来的に交際できるかもしれないという淡い期待があったこと。
結果、Nさんは翌朝、指定された口座に自身の貯金を切り崩して200万円を振り込みました。
音信不通、そして発覚した嘘
送金後、相手方の態度は急変しました。「看病が忙しい」という理由で連絡頻度が激減し、会うことも拒否されるようになりました。そして1ヶ月後、Nさんが店に予約の電話を入れると、「その女性は先月末で退店しました」と告げられたのです。
LINEを送っても既読にならず、電話も着信拒否されている状態でした。「母親の手術」という話の真偽も怪しく、Nさんは自分が騙されたことを悟りました。
「借用書もないし、相手の本名も現住所もわからない。警察に行っても『民事不介入』と言われるだけだろう」
Nさんは誰にも相談できず、半ば諦めかけていましたが、悔しさを断ち切れず、最後の望みをかけて当事務所の無料相談に訪れました。
2. 解決への流れ(相談~事件処理までの流れ)
①「贈与(プレゼント)」の主張を封じる証拠固め
本件のようなケースで最も困難なのが、「あれはお金をもらったものであり、借りたものではない(贈与認定)」と相手方に主張されることです。借用書がない場合、この反論を覆すのは容易ではありません。
当職は受任後、直ちにNさんのスマートフォンに残された過去の膨大なLINE履歴の解析を行いました。「お金を貸してください」という直接的な言葉はありませんでしたが、以下のやり取りに着目しました。
相手方が「来月から出勤を増やして頑張って返す」と発言している箇所。Nさんが「いつ頃返せそう?」と聞いたところ、相手方が具体的な時期を答えている箇所。送金直後の「本当にありがとう、一生かけて恩返しする」というメッセージ。
これらの文脈を繋ぎ合わせることで、法的に「返済の合意があった(金銭消費貸借契約の成立)」ことを客観的に立証できる準備を整えました。
②職務上請求による相手方の特定
次に、行方をくらませた相手方の特定に着手しました。Nさんは相手方の「源氏名(店での名前)」と「携帯電話番号」「振込先の銀行口座」しか知りませんでした。
しかし、弁護士には「弁護士会照会(23条照会)」という強力な調査権限があります。
当職は、携帯電話キャリアおよび銀行に対して照会をかけ、契約者の氏名と住所の開示を求めました。その結果、わずか2週間で相手方の「本名」と「現在居住しているアパートの住所」を特定することに成功しました。
また、調査の過程で、相手方の母親が実際には病気などしておらず、実家で平穏に暮らしていることも判明しました。これにより、詐欺的な要素が強い事案であると確信しました。
③内容証明郵便と心理的プレッシャー
特定した住所に対し、弁護士名義で内容証明郵便を送付しました。単なる請求書ではなく、以下の要素を盛り込み、相手方に「逃げられない」という心理的圧力をかけました。
事実の摘示: 母親の病気が虚偽である事実を把握していること。
法的措置の予告: 返済に応じない場合、民事訴訟による給与・預金の差押えだけでなく、詐欺罪での刑事告訴も辞さない構えであること。
解決の道筋: 今すぐ連絡を寄越せば、分割払いなどの話し合いに応じる用意があること。
書面が到達した翌日、相手方本人から震える声で当事務所に電話がありました。
④逃げ得を許さない!「公正証書」レベルの合意
相手方は当初、「今は無職でお金がない」「騙すつもりはなかった」と弁解を繰り返しました。しかし当職は、母親が病気ではないという動かぬ証拠を突きつけ、「これ以上不誠実な対応をするなら、ご実家にも連絡せざるを得ない」と淡々と告げました。
親への発覚を何よりも恐れた相手方は、態度を一変させ、支払う姿勢を見せました。とは言え、一括返済は現実的に不可能であったため、以下の条件で示談を成立させました。
- 頭金: 親族から借り入れさせ、即金で50万円を支払う。
- 分割払い: 残額150万円を毎月5万円ずつ返済する。
- 期限の利益喪失条項: 支払いが一度でも遅れた場合、即座に残額を一括請求し、強制執行(差押え)を受忍する。
- 解決金: 本来の債務に加え、弁護士費用の一部を上乗せして支払う。
この合意内容は、万が一支払いが滞った際に直ちに給料や口座を差し押さえられるよう、強制執行認諾文言付の公正証書として作成しました。
3. 担当弁護士のコメント(解決のポイント)
回収額: 200万円+弁護士費用の一部(頭金50万円+分割150万円)
解決方法: 強制執行認諾文言付公正証書による示談成立
今回の事案は、典型的な「色恋営業」を利用した寸借詐欺(に近い貸金トラブル)でした。多くの被害者の方は、「借用書がないから無理だ」「高い勉強代だと思って諦める」と泣き寝入りをしてしまいます。また、相手が風俗店を辞めて連絡が取れなくなると、個人の力で居場所を探し出すのはほぼ不可能です。風俗嬢に騙されてお金を取られた場合に詐欺罪が成立するかどうかについては「風俗嬢に騙された!詐欺罪は成立する?お金は取り戻せる?」で解説しています。
しかし、諦める必要は全くありません。本件のように、LINEの履歴や振込明細などの「状況証拠」を積み重ねることで、貸金の事実は立証可能です。また、携帯電話番号一つあれば、弁護士の職務権限を用いて相手の居所(実家や新居)を突き止めることは、実務上決して珍しいことではありません。
「相手は逃げ得を狙っています」
時間が経てば経つほど、相手は引っ越しを重ねたり、証拠を消したりして、回収のハードルが上がってしまいます。「騙されたかもしれない」「連絡が取れなくなった」と感じたら、その瞬間に動くことが、大切なお金を取り戻す唯一の方法です。
当事務所は、風俗トラブルや男女間の金銭トラブルにおいて、圧倒的な解決実績(経験)を有しています。「借用書がない」「相手の情報が少ない」という場合でも、まずは一度ご相談ください。貴方の手元にあるわずかな情報から、解決への糸口を見つけ出します。
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