※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
1. 事案の概要(相談前の状況)
状況: 性風俗店の顧問弁護士から職場に書面が届く
とある日、Aさんは自宅でデリバリーヘルスを利用することとしました。今までホテルなどで性風俗店を利用したことはありましたが、自宅に呼んだのはこの時が初めてのことであったようです。
ほどなくして女性が自宅を訪れました。Aさんは女性から言われた料金を支払い、サービスの提供を受け始めました。
サービスの提供を受けながら、Aさんはいわゆる本番行為ができないかどうか考え、女性に対して、自分の希望を伝えました。当然のことながら、Aさんはデリバリーヘルスにおいて本番行為をすることが、店のルールに違反する行為であることは知っておりました。
拒否するような言動や態度が無かったことから、Aさんは女性が承諾したものと考えて本番行為に及んでしまいます。
サービスの提供が終わり、女性がAさんの家を出た直後、Aさん宅に突然、店舗の従業員と思われる人物が訪問してきました。Aさんは本番行為に及んだことでトラブルになったのではないかと気づきましたが、怖かったので対応せずにしておきました。
その後も数日間にわたり、店舗の従業員と思われる人物がAさん宅を訪問し、ドアを叩いてくるなどしましたが、Aさんはその際も対応せずにおいたところ、見知らぬ携帯電話から店舗の顧問弁護士から連絡をさせる旨のメッセージが届きました。
当該メッセージにも返信せずにおいたところ、なぜか自宅ではなく、Aさんの職場宛に弁護士から書面が届きました。
弁護士からの書面には、本件の事実関係が詳細に記載されており、職場にAさんが性風俗店との間でトラブルを抱えていることが知られてしまいました。
このような状況のなか、Aさんは自分で対応することが難しいと判断し、弊所にご相談に来られました。
2. 弁護士の対応と解決への流れ
Aさんは、女性キャストに対して、自身の職場や仕事に関する話をしたことは無かったようです。にもかかわらず、情報を入手した方法は不明ですが、職場を知られ、かつ事実関係を詳細に記載した書面を送るなど、いわば圧力をかけるようなアクションを受けて疲弊しきっていました。
これ以上、職場に連絡が来ることは避けたいとの強いご要望のもと、当職がその後の対応を引き取ることになりました。
既に女性キャストに代理人として弁護士が就いていたことから、Aさんからご依頼いただいた後、すぐに相手方代理人に連絡をいたしました。
まず、何より疑問に感じたのは、自宅でデリバリーヘルスを利用した訳ですから、店舗はAさんの住所を知っており、弁護士も同様に住所を把握できたはずにも関わらず、なぜ職場に書面を送ったのかという点でした。
相手方代理人からの請求内容を確認したり、当方から回答をしたりする前に、当職からあえて職場に送った理由を確認しましたが、Aさんの住所が分からなかったので、職場に送ったという回答を繰り返しました。
当職から、Aさんが自宅でデリバリーヘルスを利用したことや、店舗の従業員と思われる人物が何度もAさん宅を訪問していることを伝え、相手方代理人対して、事実関係をきちんと確認したのか質問しましたが、要領を得ない回答が返ってくるばかりで、明確な理由の説明はありませんでした。
また、なぜ職場を知るに至ったのかという点についても、同様に明確な説明はありませんでした。
そのままでは押し問答が続くばかりで話が進まなかったことから、話を相手方からの請求内容の確認に移しました。相手方代理人は「最低でも100万円の請求をするつもりがある」という、これまた曖昧な説明であったため、金額はいくら請求するつもりなのか、またその根拠はどこにあるのか追加の説明を求めましたが、それ以上の回答はありませんでした。
Aさんには、可能な限り早期解決を図りたいという希望があったため、当職から、双方の事実認識には異なる点があること、Aさんは強いて性行為に及んだという認識はないこと、ただし店のルールに反した行為に及んだ認識はあり、女性キャストに嫌な思いをさせたのであれば、当該認識を前提として10万円の解決金を支払う意向があることを伝えました。
相手方代理人からは、10万円という解決金を受け入れることはできかねること、80万円ほどであれば和解することが可能であると回答がありましたが、少し落ち着きを取り戻してきたAさんは、早期解決を図ることも希望としてはあるが、職場に突然書面を送ってきた相手方のやり方に納得がいかないという考えに至り、10万円以上の提示はしないという方針になりました。
相手方代理人からは、訴訟を提起するという通告があったものの、その後、何ら動きは無く、結局そのまま数年が経過して、終件となりました。
3. 解決結果と弁護士のコメント
解決額: 解決金の支払はなし
刑事処分: 警察の介入はない
職場・家族: 店舗側の弁護士が職場に書面を送り、職場には事実を知られてしまった
以前は、性風俗店との間におけるトラブルのほとんどにおいて、店舗の責任者やオーナーが女性の窓口となって対応しておりましたが、昨今、性風俗店が顧問弁護士を抱えることも多く、顧問弁護士や普段付き合いのある弁護士が代理人として出てくるケースが増えてまいりました。
店舗側に弁護士が就くことについては、プラスの側面とマイナスの側面があります。
プラスの側面としては、店舗の責任者やオーナーとの間の交渉では、不当な圧力や時には暴力を受けるといったこともあり、不相当に過大な負担を強いられることもあったところ、弁護士との交渉であれば、そのような事態に巻き込まれる可能性はほぼないと言った点が挙げられるでしょう。
マイナスの側面としては、全ての事案に妥当する話ではありませんが、弁護士にかかるコストの分だけ解決金の金額が増額される可能性があるといった点が挙げられます。
本件では、店舗側の顧問弁護士であるのかどうかは分かりませんでしたが、残念ながら、あまり本番トラブルに慣れた弁護士ではなかった印象です。
事実関係を確認せず、店舗側が説明するままを信じ、Aさんの住所が不明であると考えたのかもしれませんが、その場合でも、Aさんの携帯電話の番号は把握していた訳ですから、弁護士会照会という手続きにより、契約者情報を調べ、Aさんの住所を把握する調査を先行させるべきです。
また、店舗の従業員のように、Aさんの携帯電話に電話するほか、メッセージを送ることもできたはずです。
さらに、何らかの理由で、Aさんの職場に書面を送る方法しか思いつかなかったとしても、事実関係を詳細に記載した書面を、誰が開封するか分からない方法で送付することは適当ではありません。Aさんの個人的なトラブルであって、職場は無関係であるからです。
以上、相手方代理人の行為には不自然なところも多く、弁護士であれば誰でも思いつくことのできる別の方法を利用することなく、職場に書面を送りつけるという方法を選択しました。職場を巻き込んでAさんに圧力をかけようという意図があったのかもしれませんが、弁護士として褒められた方法ではありません。同様に店舗側から実家や職場に押しかけられた事案については「【解決事例】デリヘル店から実家や職場に押しかけられ100万円を請求された事案」もあわせてご確認ください。
当方から相手方代理人の不適当な行為を指摘し、説明を求めた時から、相手方代理人の説明や回答は歯切れ悪く、請求も尻切れトンボとなってしまいました。どのような経緯で請求や訴訟提起を断念したのかは分かりませんが、悪手が足を引っ張り、及び腰になってしまったのかもしれません。
上記のとおり、弁護士が介入した場合でも、稀に不適当な対応をしてくる可能性があります。弁護士が相手方の代理人に就いているからといって、相手方本人らと交渉する場合と、基本的に変わるところはありません。
証拠をもって裏付けられる事実によって、当方に何らかの義務があると言えるのかどうか、当該義務に基づいて金銭を支払うにしても、当該支払額は妥当であるのかを検討することになります。
弁護士が介入したことで焦ってしまい、驚くほど過大な金額の解決金を支払ってしまう方もいらっしゃいます。ご自身での対応に窮した場合、早期解決のために全てを受け入れてしまうのではなく、一度立ち止まって弊所にご相談いただければと思います。
デリヘルでの本番トラブルで高額請求を受けた類似の解決事例については「【解決事例】デリヘル本番で署名済みの300万円示談を無効にし50万円で再示談」もあわせてご確認ください。
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