※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
1. 事案の概要(相談前の状況)
対象店舗:メンズエステ(店舗型)
状況:不同意性交等罪、不同意わいせつ罪を理由とした店舗側弁護士からの高額請求
Hさんは、メンズエステのサービスを利用したところ、後日、店舗から電話があり、キャストに対する本番行為の強要とキャストの意思に反するわいせつ行為があったとして、警察への被害届の提出を考えていると告げられました。
その際、Hさんは自身が警察に逮捕されてしまうのではないか、家族や職場に事件が発覚して自身の今の生活が失われてしまうのではないかと大きな不安を覚えて動揺し、穏便にすまそうと考えて店舗側が主張する通り本番行為の強要とわいせつ行為の事実を認めて謝罪しましたが、店舗側から高額な示談金の請求を受けました。
当初、Hさんは自分自身で店舗側と交渉しようとしましたが、店舗側の高圧的な対応に苦慮し、自分自身での交渉には限界があると感じて弊所に依頼しました。
2. 弁護士の対応と解決への流れ
①弁護方針
まず、Hさんは、本番行為の強要をしたと店舗側に認めて謝罪していましたが、実際には身に覚えがなかったため、否認する(争う)方針としました。身に覚えがない事実をあたかもその事実があったかのように認めてしまうと、刑事事件化した場合にHさんの発言どおりの事実があったかのように認定され、冤罪になる可能性がありますし、店舗側の不意打ちかつ高圧的な対応によりHさんの意思に反して本番行為の強要を認めてしまったという反論が可能と判断したからです。
また、店舗側の不同意わいせつ罪が成立するとの主張についても、当該店舗側のサービスがそもそも身体の密着性を前提としたサービスであったため、わいせつ行為の有無、女性の同意の有無や不同意わいせつ罪の故意の有無等、法的に争う余地があると判断し、否認する方針としました。
②店舗側弁護士との交渉
当方と店舗側の主張は平行線をたどり、店舗側にも弁護士が代理人に就きました。店舗側弁護士は、Hさんが当初から本番行為の強要やわいせつ行為を認めていたと主張し、警察への被害申告をしない代わりに当方の譲歩を引き出そうとしましたが、店舗側の主張には客観証拠が乏しく、キャストの供述の信用性にも疑問があったため、当初の方針のとおり交渉を進めました。
3. 解決結果と弁護士のコメント
刑事処分:被害届提出なし(逮捕回避・前科つかず)
職場・家族:発覚することなく解決
メンズエステや風俗店での本番・不同意わいせつのトラブルについては、トラブルが発生した際に弁護士を介入させずに当事者同士で解決しようとして、その際に発言した内容や作成したメモ書き等が後々不利な証拠となり、最終的に不利益を被ることが少なくありません。また、今回のケースのようにキャストが店舗にトラブルを報告するまでに時間差があり、後日、不意打ち的に店舗から依頼者に連絡がきて、依頼者が動揺して身に覚えがない事実を認めてしまったというケースも多くあります。
今回のケースのように、一旦発言した内容を後から当時の発言は意思に基づかない発言であり任意性を欠き証拠能力がないという反論が功を奏することもありますが、その反論が必ずしも認められるとは限りません。
特に、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪については、室内でトラブルになることが多いため、録音・録画等の客観証拠が乏しく、当事者の発言やメモ書き等が重要な証拠になる傾向があります。
今回のケースと類似のケースで店舗側に示談交渉の主導権をとられ、不利な証拠が蓄積した後に、刑事事件化のプレッシャーをかけられるケースや、実際に刑事事件化してしまっているケースは多くありますので、その前に弁護士を介入させて依頼者の有利に交渉を進めることが重要といえるでしょう。
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