※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

事案

依頼者:Tさん(30代男性・会社員)
対象店舗:デリヘル(自宅)
状況:本番を強要したことを理由に店舗側から高額請求された事例

Tさんが九州地方のデリヘルを利用し、ホテルでキャストに対し本番を強要したとして、店舗側から300万円の損害賠償請求をされた事案です。

まず、Tさんは、デリヘルのサービスを受けた際、女性が本番について強い拒否の態度を示さなかったため、本番の同意があると考えて本番行為に及びました。

そして、サービス終了直後に店舗からTさんに電話がかかってきて、女性が本番を拒否していたにもかかわらず無理やり本番を強要されたため、強姦で警察に被害届を出すと脅されました。さらに、店舗の従業員は、Tさんに対して、警察に被害届を出されたくなければ示談をするしかないと言われ、急遽ファミリーレストランに呼び出されました。

その後、Tさんは、自身が警察に逮捕されてしまうのではないかと強い恐怖を覚え、動揺しつつ急いでファミリーレストランに赴き、店舗の男性従業員に身分証明書を提示して、その従業員に言われるがまま本番の強要を認めて示談金300万円を支払う旨の示談書に署名しました。また、その従業員は、スマートフォンでTさんが示談書に署名する様子を動画撮影し、Tさんの資産状況も確認していました。

Tさんは、自宅住所を店舗側に知られているため、今後店舗からの脅迫が継続するリスクはないか、また、際限のない金銭請求をされるリスクや警察に被害届が提出されるリスクはないか等と不安を覚え、弊所に相談しました。

解決への流れ

①初動の対応

まず、Tさんは店舗の従業員に身分証明書を提示して示談書に署名していたため、弊所から店舗に受任通知書を送り、店舗側が今後Tさんに直接接触、連絡することがないように対応しました。

②弁護方針

Tさんは、自らが逮捕されるかもしれないと動揺して、店舗の従業員に言われるがまま示談書に署名してしまいましたが、法的には、Tさん自身が示談書に署名しているため、Tさんの意思に基づいて示談書が作成されたと推定されるリスクがあることを確認しました。

また、示談書を作成した場所がファミリーレストランという周囲に人がいる環境であり、店舗の従業員はTさんが示談書に署名する様子を動画撮影していたことから、店舗側は同様のケースの対応に慣れている可能性が高く、いわゆる美人局として脅迫や恐喝で警察に捜査されるリスクに備えていることを説明しました。

そして、当方としては、Tさんが脅されて無理やり自由な意思に基づかずに示談書に署名させられたと主張したいところですが、店舗側からは、示談書の作成場所がファミリーレストランであることや、示談書に署名する様子を動画撮影して証拠化することにより、Tさんは何ら制約のない自身の自由な意思に基づいて示談書に署名したと反論される可能性がありうることも確認しました。

弊所からTさんに対し、これらの法的な見通しを十分に伝え、自身に対する刑事事件化のリスクがあることも説明しましたが、Tさんが冷静になってトラブル当日のことを振り返ると、店舗側の一方的な主張には納得できないし、できる限りの減額交渉をしたいという意向だったため、弊所としても減額交渉に着手しました。

③示談交渉

店舗側は、当方の予想どおり、締結済みの示談書の存在や示談書を作成する様子を撮影した動画データを示しながら、示談書記載のとおり300万円の支払いを求めてきました。また、店舗側は、Tさんは示談金を支払う経済力があるにもかかわらず、一度取り交わした示談書を反故にすることは不誠実であり、警察に被害届を提出すると主張してきました。

当方は、そもそも今回の本番トラブルが本当に不同意性交等罪の構成要件を満たすか明らかではないし、店舗側はTさんを脅して畏怖させて無理やり高額な示談金を記載した示談書に署名させており、恐喝罪が成立する可能性があることを繰り返し主張しました。

解決結果と弁護士のコメント

請求額:300万円 ➡ 解決金額:100万円(200万円の減額)
刑事処分:被害届の提出なし
職場・家族:発覚することなく解決

店舗側の主張と当方の主張は平行線をたどりましたが、店舗側は示談交渉が長期化することにより示談金を全く受け取れなくなることを懸念した様子で、早期に一部であっても示談金を受け取る判断をしたため、一部減額して示談に至りました。

本来であれば、示談書に署名すると、署名した人の意思に基づいて示談書が作成されたと法的に推定される可能性があり、示談書は証拠として極めて重要な価値を有することになるため、その効果を覆すことは容易ではありません。

本件では本番行為の有無(不同意性交等罪の成否)がそもそも明らかではなく、店舗側からTさんに対する脅迫的な言動があり、Tさんが自身に対する刑事事件化のリスクを引き受けてでも減額交渉をしたいという意向だったため上記の結果に至りましたが、必ずしも同様のすべてのケースで本件のように示談書の効果を覆すことができるとは限りません。同様に署名済みの示談書がありながら減額に成功した事例については「【解決事例】デリヘル本番で署名済みの300万円示談を無効にし50万円で再示談」もあわせてご確認ください。

風俗店やメンズエステでのトラブルは、男性側としても警察への被害届の提出を防ぐ必要性やトラブルになっていること自体を公にしたくないと考えて、安易に高額な示談金を記載した書面に署名してしまうことが少なくありません。風俗店やメンズエステでトラブルになった場合は、店舗側の言い分どおりに示談書を作成する前に、弊所にご相談いただければと思います。

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