※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要
対象店舗:ホテル出張型メンズエステ店
状況:施術中に性行為に至り、直後に店舗から250万円を請求された
ある日の深夜、Aさんは、インターネットで見つけたホテル出張型のメンズエステ店に電話で申し込み、店舗から指定されたホテルでサービスを受けることになった。
最初に、店舗から規約の書かれた書面にサインを求められたため、Aさんは内容をよく確認しないまま名前と電話番号を記入した。その後、Aさんは紙パンツ1枚の状態となり、キャストは上下ともオプションで選択したマイクロビキニのみを身に着けた状態でサービスが開始された。
Aさんがうつ伏せになった体勢で足から施術が始まり、その後仰向けになったところ、キャストはAさんの股間付近に座り、足の方を向いてマッサージしながら、無言で互いの股間を擦りつけるような動きをし始めた。その後、徐々に相互の着衣がずれて性器が接触したのち性器が挿入され、性行為をする形となった。Aさんは驚いて何も言えず、キャストのするがままとなっていた。
途中、一度、性器が離れることがあったが、キャストはAさんに跨ったまま再度挿入して性行為に戻り、興奮したAさんは仰向けのまま腰を動かしたりキャストの胸や股間を触るなどしてしまった。性行為は30分ほど続いたがAさんは射精に至らず、終了時間となった。
施術が終わると、突然キャストがAさんに対し性行為を咎める発言をし、店舗のスタッフ男性が室内に入ってきた。スタッフ男性はAさんに対し、同意なく性行為に及んだこと、署名した規約に反することなどを述べて激しく責め立て、その場で店長とされる男性に電話をした。
店長とされる男性はAさんに対し、慰謝料として200万円を支払うよう求めたが、Aさんに持ち合わせがないとわかると、Aさんはスタッフが運転する車にのせられ、近くのコンビニに連行された。コンビニのATMで現金を引き出すよう求められたAさんは、やむを得ず現金を引き出し、財布内の現金と併せて14万円を支払った。
これに対し、店長とされる男性は足りない旨主張し、クレジットカードでのキャッシング、店舗のQR決済などを求めたが、突然の高額の支払のためかクレジットカードは使えなかった。すると、今度はスタッフが運転する車でディスカウントストアへ連行され、金のネックレスをクレジットカードで購入してくるよう命じられたが、やはりクレジットカードは使えず購入できなかった。
午前3時ころになり、Aさんが仕事があるため帰宅したい旨懇願したところ、同日の仕事終わりに再度スタッフに連絡するよう命じられ解放された。
対応に窮したAさんは、解放されてすぐに弊所の緊急窓口に連絡し、対応を依頼した。
弁護士の対応と解決の流れ
同日の昼にはAさんの代理人となった弊所弁護士から相手方店舗へ架電し、弊所がAさんの代理人となって窓口となるので、予定していたAさんから店舗への連絡はしないこと、また、Aさんや関係者に連絡・接触しないことを警告した。これに対し、店舗は、キャストを同日中に病院へ行かせる、弁護士から連絡させる、Aさんから14万円を受け取ったかは回答できないなどと申し述べ切電した。
同日中に店舗とキャストの代理人弁護士から連絡があり、翌日には不同意性交罪と規約違反を根拠に、250万円の慰謝料請求がされた。
これに対し、弊所弁護士はAさんから改めてホテル内の情況を詳細に聴き取り、相手方代理人に対し不同意性交罪が成立しないことを主張のうえ、むしろAさんこそ同意なく性行為をされた被害者であることや、トラブル発生後のキャストの対応や店舗の脅迫・恐喝行為、店舗の手慣れた一連の行為から共謀の疑いを指摘し、支払済の14万円の返還も含めて合計164万円の損害賠償請求をした。
その後、数回相手方代理人から金額交渉の打診があったが、請求に応じられない旨回答したところ、相手方代理人は辞任し、ほどなく相手方店舗のHPも削除され、以後請求がされることが無いまま無事終件となった。
解決結果と弁護士のコメント
刑事処分:警察の介入なし
職場・家族:職場や家族に知られずに解決
早期に弁護士を代理人とすることで、法的な根拠のない金銭請求に応じない姿勢を示し、より客観的な視点での交渉が可能となる。
風俗トラブルは密室で発生するため、事実と異なる場合もキャストが被害者として刑事申告をすれば捜査機関も対応せざるを得ない。そして、客側は、本番行為をサービス内容としない店で本番行為を行っている以上、自身の主張を信じてもらえないリスクを承知しており、大事にならないよう、根拠のない請求に応じやすい実態がある。
しかし、本件では、店舗がAさんを連れ回した異常な行動が捜査機関が介入すればすぐに明らかになることや、店舗側に代理人弁護士が立ったことで密室で発生した事実が双方で確認されたことから、店舗側が刑事事件化が自らに必ずしも有利にならないことを理解しやすい状況になったと考えられる。そして、その点を書面で具体的に記載して警告したことで、請求を断念したのだろう。
風俗店でのトラブルは、通常は本件ほどトラブル時の実態が明らかになることは少ない。うまく事件の特性を生かす対応ができ解決に至った例といえるだろう。
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