※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

事案の概要(相談前の状況)

依頼者:Aさん(女性・20代)
対象者:風俗店の客Bさん
状況:風俗の客からお金を借りたところ、店外で会うことを要求され、その度に性行為や動画の撮影をされる

Aさんは生活費を稼ぐために性風俗店で働いておりました。

ある時、客としてBさんが店舗を訪れます。BさんはAさんのことを気に入り、その後、Aさんを指名するようになりました。

AさんはBさんに対して、少しずつ個人的な話をするようになり、性風俗店で働くことになった経緯や頑張っても生活がなかなか楽にならないことなどを話していました。

そんな話を聞いたBさんは、Aさんに対して、店の外で会うならばお金を貸してあげると提案しました。生活に困っていたAさんは、Bさんの提案の意味をよく考えずにお金を借りることにしました。AさんはBさんから約200万円を借りることになります。

その後、Bさんと店外で会うことになるのですが、Bさんはホテルで会うことを要求し、当然のように性行為に及んできました。また、Aさんとの性行為をスマホによって動画で撮影してきました。

Aさんも性行為を受け入れなければならないということは薄々気づいておりましたが、動画を撮影されるとは思っていなかったため、撮影を止めるよう要望し、撮影した動画は削除するよう申し入れました。

しかしながら、Bさんは、それならばお金を一括で返して欲しいと詰め寄ってきました。既に借りた200万円は生活費や他の借り入れの弁済に充てていたため、Bさんに一括で弁済することはできませんでした。そのため、Bさんにはそれ以上のことを言えず、Bさんの要求を我慢するしかありませんでした。

Bさんは、AさんのSNSなどを見つけて、Aさんの行動を把握するとともに、私生活にも口を出してくるようになってきました。連絡が遅いと激昂するなど、気に入らないことがあると、Aさんに強く当たってくることもありました。

AさんはBさんの要求に応じながら、分割での弁済を続けてまいりましたが、少しずつ精神的に不安定になっていきます。

ある時、Aさんが意を決して、お金は返すのでこれ以上関係を継続したくない、と伝えると、Bさんは残額を一括で弁済するよう言い放ちました。

これ以上、Bさんとの関係を継続することは精神的に難しいと考えたAさんは、弊所に相談に来られました。

弁護士の対応と解決への流れ

Aさんから時系列で、Bさんと知り合ってから現在までの事実経過を伺ったうえ、現在までの弁済額を確認すると、100万円以上残っているとのことでした。

また、Bさんにお金を渡した方法は現金手渡しだが、残債務の金額についてはBさんとLINEでその都度確認をしており争いはないと思うとのことでした。

Aさんの意向は、借りたものである以上、弁済はするが、会う度に性行為や動画の撮影を要求されて精神的に限界が来ており、一切の関わりを解消したいというものでした。また、過去に撮影された動画について、拡散されることを恐れており、全ての削除を申し入れたいとのことでした。

Aさんに対して、Bさんがお金を貸したのは、Aさんとの性行為を伴う個人的な関係を維持するためであるとも言えるところ、Bさんとの契約は公序良俗に反するものとして無効となり、返済をしなくて良くなる可能性もあると説明をしましたが、Aさんとしては、変にトラブルになって動画を拡散されるのが怖いので、借りたものは返すという意向は変わりませんでした。

そのため、弊所でBさんと借り入れた金額の確認及び弁済スケジュールを調整する交渉を引き受けることになりました。

Bさんについて、漢字フルネーム、電話番号、LINEアカウント、メールアドレスを把握していたため、弊所からまずはメールで連絡をすることにしました。

Aさんの代理人に就いたこと、今後、AさんはBさんと会うつもりがないこと、借り入れた金額を確認のうえ、無理のないスケジュールで弁済を考えていることをメールで伝えると、早速、Bさんから電話で連絡が返ってきました。

Aさんが認識していた借入の残額を伝えると、Bさんの認識と異なるところはありませんでした。ただ、BさんはAさんにお金を貸すために、消費者金融で借入をしたようで、利息の支払いなどもあるから、上乗せをして欲しいと要望してきました。

当方からは、Bさんがどこでお金を工面したのかはAさんには関係がないこと、貸付の際に利息や弁済期を定めた事実は無く、利息や遅延損害金を支払う義務はないことを理由に、Bさんの要望には応じられないと伝えました。

また、性的関係を持つ代わりに貸し付けたという経緯、その後、実際に性行為に及んでいること、Aさんの動画を撮影していること、Aさんが動画の削除や関係の解消を求めると一括での弁済を求めていることなどを指摘し、Bさんの行為は公序良俗に反する可能性があるほか、強要とも言える行為であることを指摘し、今の段階では借り入れたお金について弁済をする考えがあるが、今後はその考えを維持するか分からないと伝えました。

Bさんは反発をしましたが、渋々借入の残額のみを弁済の対象とすることを了承し、支払スケジュールについても、Aさんに無理のない金額で弁済していくことを受け入れました。

その後、Bさんとの間で、借入金額及び弁済スケジュールを確認し、撮影済みの動画を削除済であること、他に動画を保持していないことを確認する内容を盛り込んだ合意書を取り交わしました。

合意書に基づき、Aさんは頑張って弁済を完了し、長い時間がかかりましたが本件は終件となりました。

解決結果と弁護士のコメント

請求内容:借入残額+利息・遅延損害金 ➡ 解決内容:借入残額のみの分割弁済
動画:削除確認済(合意書に明記)
相手方との関係:完全に解消

弊所ではこれまで、性風俗店で知り合った方からお金を借りた、逆にお金を貸したという事案のご相談・ご依頼を多数お受けしてまいりました。

店舗を利用する際にお金の貸し借りをしたというケースもありますが、店外で会うことを条件にお金の貸し借りをしたというケースがかなり多くあります。

性風俗店で知り合ったという経緯から、店外で個人的に会うといっても、会う度に性的な行為を伴うことが前提とされていることが特徴として挙げられます。

貸した側からすれば、店舗にお金を払わずに性的なサービスを受けるとともに、お金も返してもらえる訳ですから、合理的であると考えるのかもしれませんが、借りた側からすれば、借りた時は助かったとしても、その後、弁済が完了するまで相手方の要求に応えざるを得ない状況に陥るため、負担を抱え続けることになります。

本件のように画像や動画の撮影を要求されたり、無理な行為を要求されたりすることもあり、精神的に不安定になる方も多くいらっしゃいます。

仮に性風俗店の利用客から個人的にお金を借りるとしても、性的行為を伴う関係になることを条件にするようなことはしてはいけません。

事情によっては、不法原因給付(相手方との契約が公序良俗に反して無効であると判断される場合、当該契約に基づいて受け取ったものの返還を拒否することができる理屈となります)であると主張して戦える場合もございますが、争いになれば、訴訟など法的手続に巻き込まれる可能性もありますし、貸し借りと性的行為が一体化したものではなく、別に存在するものであると判断されれば、支払を免れることが出来ない場合もあります。

経済的に困窮すれば、藁にもすがる思いになることは想像ができますが、トラブルを回避し、自分を大事にするのであれば、個人的な借り入れは控えた方が良いでしょう。

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