※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

相談前の状況(事件の概要・相談に至るまでの経緯)

依頼者:Eさん(30代男性・会社員・独身)
相手方:派遣型風俗店(デリヘル)の運営会社
トラブル内容:キャストとの直接連絡(裏引き)、高額な違約金請求、軟禁・強迫

「店を通さずに会おう」という誘い

Eさんは、都内の派遣型風俗店を頻繁に利用しており、特定の女性キャスト(Fさん)を指名し続けていました。

何度か利用するうちに、Fさんの方から「店を通すと高いから、今度は直接会わない?」「LINEを交換しよう」と持ちかけられました。Eさんは、風俗店のルール(スカウト行為や引き抜きの禁止)に違反するかもしれないという薄い認識はありましたが、「彼女の方から誘ってきたのだから大丈夫だろう」「少しでも安く会いたい」という軽い気持ちで連絡先を交換し、後日、店を通さずにホテルで会うようになりました。

突然の呼び出しと「店舗事務所」での軟禁

数回目の密会があった翌日、Eさんの元に知らない番号から電話がかかってきました。出ると、ドスの利いた男性の声で「お前、うちの店の商品に手を出したな? 証拠は全部あがっている。今すぐ事務所に来い。来なければ会社に行く」と脅されました。

恐怖を感じたEさんが指定された雑居ビルの一室に向かうと、そこには強面の男性スタッフ数名と、泣いているFさんの姿がありました。

密室での恐怖と300万円の念書

スタッフはEさんのスマートフォンを取り上げ、GPS履歴やLINEのやり取りを確認した後、机を蹴り飛ばしながら怒鳴りつけました。

「お前のせいで店は大損害だ。営業妨害と引き抜き料で300万円払え」「払えないなら、親か会社に立て替えてもらうことになるぞ」

密室で数時間にわたって罵声を浴びせられ、精神的に限界を迎えたEさんは、「300万円を支払います」という念書に震える手で署名・捺印させられてしまいました。「1週間以内に振り込め」と言い渡され解放されましたが、貯金もなく、誰にも相談できないまま、「人生が終わった」と絶望的な日々を過ごしていました。

支払期日が迫る中、藁にもすがる思いで当事務所のHPを見つけ、無料相談に駆け込まれました。

弁護士の対応と解決への流れ

①受任通知による「督促の停止」

Eさんの話を聞き、当職は直ちに「強迫による意思表示の取り消し」および「公序良俗違反による契約の無効」を主張できる事案だと判断しました。

即座に店舗側へ受任通知を送付し、以下の通告を行いました。

連絡の窓口一本化:今後、Eさん本人および職場・家族への連絡・訪問を一切禁止する。

念書の無効主張:監禁および強迫状態で作成された念書は法的に無効であり、請求には応じられない。

法的措置の予告:これ以上の脅迫行為があれば、直ちに警察へ刑事告訴を行う。

弁護士の介入により、店側からの執拗な電話はピタリと止まりました。Eさんはようやく安心して眠れる夜を取り戻しました。

②「法外な違約金」vs「適正な損害賠償」

後日、店舗側の担当者(自称オーナー)と交渉のテーブルにつきました。相手方は「念書がある以上、300万円は絶対だ」「ルールを破ったのはそっちだ」と強硬に主張しました。

これに対し、当職は冷静に以下の法的反論を展開しました。

損害賠償の予定(消費者契約法):たとえ利用規約に「違約金300万円」と書いてあっても、消費者契約法により、事業者に生じる「平均的な損害」を超える部分は無効である。

損害の立証責任:店側が被った実損(本来店に入るはずだった利益)は、数回の利用分である数万円〜十数万円程度に過ぎないはずである。300万円という金額に合理的根拠がない。

誘引者はキャスト側:LINEの履歴から、キャスト側が積極的に裏引きを誘った事実を提示し、Eさんだけが一方的に悪いわけではない(過失相殺)と主張。

③現実的な解決ラインへの着地

当職が「裁判になれば、店側の恐喝まがいの取り立て行為や、風営法上の届出不備なども争点にする用意がある」と毅然とした態度を示したことで、相手方の態度が軟化しました。「裁判沙汰になって営業に支障が出るのは困る」と判断した店側は、大幅な減額に応じる姿勢を見せました。

最終的に、以下の条件で合意書(示談書)を取り交わしました。

請求額:300万円 ➡ 解決金額:40万円
念書:300万円の念書は無効とし、原本を返還
接触禁止:今後、Eさんに対して一切の接触・請求を行わない
秘密保持:本件トラブルを第三者(職場等)に口外しない

担当弁護士のコメント(解決のポイント)

「裏引き」は泥沼化しやすいトラブルです

「少し安くなるから」「女の子に頼まれたから」という安易な気持ちで裏引き(直引き)に応じてしまい、後に店側から高額請求を受けるケースは後を絶ちません。

特に悪質な店舗の場合、わざとキャストに誘わせて証拠を掴み、組織ぐるみで高額な違約金を恐喝する「美人局(つつもたせ)」のような手口も存在します。

念書を書いてしまっても諦めないでください

今回のEさんのように、密室で脅されて「数百万払う」という念書にサインをしてしまう方は非常に多いです。

しかし、脅迫されて書いた念書や、法外な金額の契約書は、法律上「無効」や「取り消し」にできる可能性が極めて高いです。

「サインしたから払うしかない」と思い込まないでください。「会社にバラす」と言われても、怖がらないでください。

弁護士が入れば、相手は違法な取り立てができなくなります。そして、法的な相場(数十万円程度)まで減額させることが可能です。

一人で抱え込んで高利貸し(闇金)などに手を出す前に、まずは弁護士にご相談ください。あなたの社会的な立場を守りながら、安全にトラブルを断ち切ります。

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