【解説】弁護士が解説!ホストから売掛金を請求された時の対処法

皆さま、当サイトにご訪問いただきましてありがとうございます。 弊所では現在まで、ホストクラブの売掛金整理のご相談・ご依頼を400件以上お受けしてまいりました。 中にはご相談者様・ご依頼者様が刑事事件の被害者になるなど、事態が深刻化したものもございます。 また、誰にも相談できずに、追い詰められて心身を壊した方もいらっしゃいました。 しかしながら、対応方法を正しく理解すれば、そのような事態を回避することは十分可能です。 そのため、本日は、弊所設立以来、力を入れてまいりましたホストクラブの売掛金整理について、その仕組みやトラブルの実例、対応方法をお話していきたいと思います。

目次

弁護士が対処法を解説します

定義

ホストクラブにおける「売掛け」とは、本来ならばホストクラブで飲食した後に支払うべき代金をツケにしてもらい、一定期間経過後に清算するシステムのことを言います。
清算するまでにどのくらいの猶予期間を設けるかについては、店舗ごとに異なるようです。
なお「売掛け」という名称の他にも「未収」「カケ」などの言い方がありますが、基本的な構造は同じです。

仕組み

この売掛けのシステムですが、「ホストクラブ」自体に立て替えてもらうパターンと「担当ホスト」に立て替えてもらうというパターンがあるようです。
弊所で今まで対応してきたケースのほとんどは後者の担当ホストが立て替えるというシステムでした。

上記担当ホストが立て替えるシステムの場合、お客さんとの間で決めた期間までに清算がなされなければ、担当ホストの給与から売掛金相当額を差し引くという扱いをしていることが多くあります。
売掛金の回収ができなければ給与が減ってしまいますし、場合によってはマイナスとなって借金を負うことになる場合もあります。
そのため、担当ホストは自分の給与を維持するために、必死になって売掛金を回収しようとするわけです。

このようなリスクを抱えてまで担当ホストが売掛金債権を抱えようとするのには理由があります。
それは売掛金であれ、お店でのランキング(「ナンバー」などと呼んだりします。ナンバー1であれば店の顔になり、より多くのお客さんを集められる可能性があります。そのため、各ホストはこのランキングを競い合います)の維持や上昇に影響を与える「売上」に計上されるからです。

このようなシステムの中、担当ホストが売掛金債権を抱え過ぎると、そのしわ寄せは債務者であるお客さんにいきます。
既に触れたように、一定期間内に回収をしなければ、担当ホストがマイナスを抱えることになるからです。
これが弊所にご相談いただくような行き過ぎた債権回収を招く原因の一つと言えるでしょう。

誰が回収をするのか

上記のような売掛金ですが、誰が回収を担当するのでしょうか。

    • 担当ホスト

最も多いのが担当ホストによる回収です。
もともと売掛け自体が、担当ホストとお客さんとの個人的な信頼関係に基づくものであることや、リスクを抱えた担当ホストが回収を行う方が効率的であるということを理由にすると思われます。
弊所でもご相談・ご依頼いただくケースのほとんどが担当ホストを相手にするものです。
なお、担当ホストを相手にする場合には、担当ホストが立て替えた後に個人的に請求をしてきているのか、それともお店の従業員として請求して来ているのかをきちんと確認する必要があります。
前者であれば、債権者は担当ホストになりますし、後者であればお店が債権者になるのが原則です。
弁護士が介入した場合にはあまり問題になることはありませんが、債権者が誰なのかという点を明らかにしてから支払をしなければ、後に、真の債権者から「支払ってもらっていない」などと言われ、二重払いの危険を負うことも理屈上あり得ることに注意が必要です。

    • ホストクラブ

数はそこまで多くありませんが、ホストクラブの代表者が店の売掛金債権を請求してきたり、担当ホストでの話し合いが進まない場合に代理人として請求をしてくることもあります。
担当ホストとの話し合いの場合、後に触れるような飲食代金の裏付けとなる明細を出すように伝えても、管理が不十分であり、出すまでに時間が掛かることがよくありますが、店の代表者であれば、裏付け資料の提出や分割払いの交渉などはスムーズに進むことが多いと言えます。
もちろんホストクラブの代表者や経理の担当者からの請求であっても、誰が債権者であるかを確認することは、二重払いの危険を回避するために重要であることは、担当ホストから請求を受けた場合と同様です。

    • 回収業者

稀に回収業者から売掛金の支払請求を受けることもあります。
大きなグループであれば独自の回収業者を持っていることもありますし、個別に担当ホストやホストクラブから依頼を受ける独立した業者もいるようです。
回収業者から請求を受けた場合にも、担当ホストやホストクラブから請求を受けたときと同様に、誰の依頼を受けて回収業務を行っているのか確認することが重要です。
なお、回収業者の債権回収行為は、有償で依頼を受けている場合には、いわゆる非弁行為として違法になる可能性もあります。
この点を回避するために、大きなグループでは自社の部門の一つとして回収部門を設置しているケースが見受けられます。

    • 弁護士

やはり数は多くありませんが、弁護士が担当ホストやホストクラブの代理人として介入してくるケースもあります。
この場合、弁護士の身元は通常明らかですし、こちらから要望すれば、誰の代理人であるのか書面で回答してくれます(受任通知)。
後に触れるような、手荒な回収をしてくることも通常はないので、担当ホストやホストクラブ、回収業者からの請求に比べると、比較的安心することのできる相手であるとは言えます。

    • その他

昔はヤクザや半グレなどの反社会的勢力の人間が介入してくるケースもあったようですが、今では身分を明らかにしただけで恐喝行為に該当する可能性もあり、リスクが大きいことから直接回収に携わることは、まずありません。
ですが、担当ホストが事実かどうかはわかりませんが、それとなく反社会的勢力との繋がりを示唆してくるようなケースは報告を受けております。

どのように回収するのか

上記のような売掛金債権をどのように回収するのでしょうか。
最も多い担当ホストによる回収に絞って、以下、実例に触れて行きたいと思います。

    • メール・電話

どの事案でも共通しますが、早朝から夜中まで時間を問わず、かなりの数のメールや電話をしてきます。
内容は様々ですが、追い詰めるような内容が多いかと思います。
実例を挙げると
「無銭飲食なので警察に被害届を出す」
「店には顧問弁護士がいるので逃げても無駄」
「支払わないのであれば、家族に払わせる」
「今から自宅に行く」
「職場に行って、話をさせてもらう」
「実家に行って、家族に払ってもらう」
などといったものです。
このような内容のメールやメッセージをひたすら送ってきます。
こちらから支払いの猶予を求めても、分割払いの提案をしても、聞き入れることはせず、お金を作ることを強く要求してきます。
中には、消費者金融から借りることや性風俗店で働くことを暗に要求するような内容もありました。
何度もメールや電話を受けているうちに、追い詰められて、判断能力を失い、言われるがまま要求に従うという方を見てまいりました。
追い詰められて孤立することは危険であると言えます。

    • 自宅に訪問

上記のとおり、メールで自宅に行くというプレッシャーをかけるだけでなく、実際に自宅を訪問してくるケースもあります。
メールや電話である程度プレッシャーをかけた後であるため、自宅に来るというだけで、何らかの危害を加えられるのではないかと不安に感じるようです。
そのような不安を利用する揺さぶり行為の一つとして「今から自宅に行く」という話をして、実際に訪問する方法がとられています。
本来、直接訪問に対応する必要はありません。
しかしながら、支払義務を負う債務者であるという負い目から、相手方の言うがままに自宅訪問を受け入れてしまう方も少なくないようです。

    • 職場に訪問

職場に行くという方法もとられることがあります。
特にキャバクラなどの飲食店や風俗店に勤務している債務者の勤務する店舗に訪問するケースは少なくありません。
売掛金の支払義務は個人が負うものですから、職場は基本的には無関係です。
にもかかわらず、職場への訪問がなされる理由は、嫌がらせをして揺さぶりをかけて支払いをさせるためです。
職場にホストクラブで遊んでいるという事実を知られたくないという方も多いため、職場に訪問された後に、無理な支払要求に応じてしまう方もいらっしゃるようです。

    • 実家に訪問

売掛けをする際に、自身の自宅や職場のみならず、実家の連絡先を明らかにするよう迫ってくることが多くあります。
既に触れたとおり、売掛金の支払義務は個人が負うものであり、いくら家族とはいえ、支払義務を代わりに負うものではありません。
ですが、揺さぶりをかけるための嫌がらせとして実家訪問の方法がとられます。
また、自身の娘が多額の債務を負っていることを知り、心配のあまり、本来法的な義務を負わない親御さんが代わりに払ってしまうことも少なくありません。
相手方としては、こうした親の気持ちをうまく利用して回収をしようとしているのです。

    • 店や店の近くに来させる

振込で済むにもかかわらず、店や店の近くまで直接支払いに来るよう要請してくるケースが多くみられます。
中には担当ホストが銀行口座を持っていないというケースもありますが、ほとんどは、そのまま新たな飲食をさせるために店や店の近くに呼び出しているようです。
弊所にご相談・ご依頼いただく方からは、断ったにも関わらず、かなり強引に店での飲食を要求されたり、勝手に飲み物を頼まれたりして、支払った以上に売掛金が増え、いつまでも清算が完了しなかったというお話を多く伺っております。

    • 訴訟など法的手続

数はかなり少ないですが、大きなグループになると、顧問弁護士がいたり回収の部門を持っていたりするため、訴訟を提起してくるケースもあります。

対応方法

上記のとおり、あらゆる方法で売掛金の回収を図ろうとしてきます。
このような相手方からの請求に対し、どのように対応すべきでしょうか。

  • 直接の対応はお勧めしない

誰にも相談できず、ご自身で対応される方も少なくありません。
しかしながら、ご相談・ご依頼を多くお受けしてきた経験からすると、ご自身での直接の対応はお勧めしません。
既に触れたとおり、様々な揺さぶり行為によって、冷静な判断ができない状況に追い詰められ、過大な負担を負うことになったケースを多く見てまいりました。
担当ホストは、脅したり、なだめたりを繰り返しながら、どのようにすれば一番速やかに売掛金を回収できるかを見極めようとしています。
一番大事なことは、直接の接点を持たないようにすることです。
総額の確定、支払スケジュールの調整など、交渉にあたっては、法的な反論の有無を模索したうえで、支払能力を踏まえた現実的な提案をする必要があります。
このような交渉をするにあたっては、冷静に状況を見極めることのできる当事者以外の第三者により対応することが必要です。

    • 警察は民事事件には介入しない、ただ、事案によって相談はしておいた方が良い

担当ホストが暴行や脅迫に及んできた場合には、警察が介入する可能性があります。
ですが、売掛金の整理は民事事件であるため、警察が代理人として交渉をしてくれるわけではありません。
多くのケースでは、警察は担当ホストに行き過ぎのないように注意し、お客さんの側には直接の対応をしないよう代理人を立てることを勧めるだけで終わります。

    • 弁護士による対応を勧める理由

結局、時効や取消などができないかを法的観点から検討したうえで、支払能力に応じた無理のない支払スケジュールを交渉するのであれば、法的知見を持ち、代理人として皆さんのために交渉することのできる弁護士に依頼するのが一番無難かと思います。
弁護士に任せてしまえば、その後は直接の対応をする必要ありませんので、後は弁護士から報告を受けたうえ、冷静に判断ができる状況で意思決定をすることができます。
相手方からどのような揺さぶりを受けても弁護士であれば冷静に対処が可能です。

以上、ホストクラブの売掛金の整理にあたっては、弁護士を窓口にすることをお勧めします。

弊所について

弊所では、現在までご相談・ご依頼を400件以上お受けしてまいりました。
お仕事の都合上、平日の昼間に面談に来ることができない方のために、早朝や深夜、土日のご相談もお受けしておりますし、全国からのご相談・ご依頼に対応すべく、来所面談のみならず、電話面談、メールやLINEでの相談にも対応しております。
また、売掛金整理のみならず、暴行や傷害などを受けた場合の担当ホストに対する損害賠償請求やネットでの誹謗中傷を削除するなど、派生する法的問題にも対応いたします。
さらに、弊所の協力会社には警察OBが経営する調査会社や身辺警護会社もあり、物理的な攻撃にも対応することが可能です。

多額の売掛けをしてしまい、支払に窮した場合には、お気軽に弊所にご相談ください。

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