【事例紹介】最近増えてきている熟年不倫の例

熟年不倫の増加をご存知ですか?

少し前のニュースになりますが、50代の女優さんの不倫が連日メディアを賑わせていましたね。
清楚なキャラクターであった点もニュースバリューを高める要素であったのでしょうが、彼女の年齢も注目を集めるポイントであったように思えます。
年齢の割に若い人のような交際をしていた…など。余計なお世話だろうと私なんか思ってしまいますが。

弊所でも40代、50代の方の不倫のご相談をお受けする機会が増えてきました。
少し前までは、男性の不倫、しかも若い女性との不倫のご相談が多かったのですが、今では、男女問わず、また年齢差があるわけではないご相談が増えている印象です。

お話をお伺いすると、出来心で数回というケースではなく、家庭になくなった(と感じている)恋愛に対する欲求を、家庭外の相手に求めてしまったという方が多いことに気づきます。

そのせいか、不倫期間は短いけれど、情熱的にのめり込んでしまったケースも多く、それだけが決め手となる訳ではありませんが、慰謝料の金額も高く推移しているケースが多いように思えます。

一例を挙げると、過去に2年近く不倫したケースにおいて、結局、慰謝料請求をした側の夫婦は離婚をしなかったのですが(一般的に、離婚しない場合に比べて、不倫を原因として離婚をした場合の方が慰謝料の金額は高くなる傾向にあると言われております)、それでも、裁判所から250万円の高額な慰謝料の支払いが命じられたことがありました。

判例のケース(判決文抜粋)

そして,その損害額であるが,原告X1が本件不貞行為に起因する心労で高血圧症,不安神経症及び不眠症に罹患したこと,原告X1は腎臓移植を希望していたが,本件不貞行為に伴う支出により,その希望も断念せざるを得ない状況にあることに,被告の口頭弁論期日における供述内容からは,原告X1に対する謝意があまり感じられないことを考えると,その額は高額に算定することも理由がないわけではない。 しかし,原告らが,経済的側面もあってか,現在も離婚及び別居をしていないことは,高額な慰謝料額を算定するには消極要素とせざるを得ない。 また,原告X2が被告に多額の金品を贈与したことをあまり評価すると,原告らが生計を同一にしている本件において,原告X2が被告の歓心を買い,不貞関係を継続させる目的で贈与したことで,本来不法原因給付として返還を求め得ない金品の返還を間接的に実現せしめることとなり,相当でないというほかない。以上の検討も踏まえ,かつ,前記認定事実を前提にして判断すれば,原告X1が本件不貞行為により被った精神的苦痛を慰謝するには,250万円が相当である。参考:平成15年(ワ)第3140号 慰謝料等請求事件 平成16年1月28日

判例のケース(簡易版)

婚姻期間は?

34年

不貞期間は?

2年

どんな内容?

退職金2000万余りを不倫相手に貢いだ事案 不貞された妻は経済的問題から旦那と離婚できずにいた。 そればかりではなく、旦那が退職金を不倫相手に使ったことにより妻は病気の手術ができなかった。

請求した慰謝料額は?

2000万円

認められた慰謝料額は?

250万円

[memo title=”雑感”]
財産費消額はあまり考慮されず不貞行為により被った精神的苦痛が争点か。
[/memo]

このように熟年における不倫には若干の特殊性があるのですが、慰謝料金額の問題以外にも、不倫期間の長さから様々なトラブルに発展することがあります。

熟年不倫で相手が不当な要求をしてくる背景とは?

熟年における不倫では期間が長いことが多いという特徴に触れましたが、この点からよく生じるのが「離婚をして結婚をすると言ってしまった、言われた」というトラブルです。
いわゆるW不倫のケースで上記のような点のご相談をかなり多くお受けします。
お互いに最初こそ家庭を大事にしていたが、期間が長くなるにつれ、子どもも独立を控える、そんなタイミングで出てくるのが「離婚と再婚」の話です。

基本的には、離婚をして再婚すると伝えただけで、何らかの法的責任を負う訳ではありません
しかしながら、そのような曖昧な口約束が、相手方の家庭を破壊してしまうこともあります。

よくお伺いするのは、相手方から「離婚して、あなたと再婚する」と言われたため、それを信じて先に離婚したが、その後は待てど暮らせど相手方は離婚せず、結局、元のさやに戻った…という話です。
離婚した側からすれば「裏切られた」と感じるのも無理はありません。
このような感情が不当な要求に結び付くケースが多くございます。

熟年不倫・相手方からの不当な要求例

熟年不倫においては、不倫期間が長いという傾向からか恐喝や脅迫に該当するようなレベルのものから、嫌がらせレベルのものまで、様々な不当な要求や攻撃を受けることがあります。
弊所でも、熟年不倫における不倫相手からの不当な要求・攻撃のご相談は最近特に増えている類型の一つになります。

その中で最も多いのは、自宅や職場に訪問するという脅しでしょう。
感情的になっているため、自らが配偶者から慰謝料請求を受けるリスクを顧みず、家庭の破壊を目的としている方が一定数いらっしゃいます。
特に、「離婚して、再婚する」と言われた方は、刺し違える覚悟で自宅や職場に訪問しようとします。
実際に職場に訪問されたケースも数多くご相談を受けます。

そのうえで、離婚したうえで再婚することを要求したり、多額の手切れ金を要求したりしてきます。
通常の不倫のケースでも、不倫相手が自宅や職場に乗り込んでくるケースが無い訳ではありませんが、熟年不倫の場合にはその数が多く、また単なる揺さぶりにとどまらず、実際に行動に移してしまうケースが多いのが特徴として挙げられるところです。

対処法

まず、直接の対応はお勧めできません。
過去にご自身で対応すると言われた方もいらっしゃいましたが、却って関係がこじれて戻ってくる方がほとんどでした。
熟年不倫においては長い不倫期間の中で、曖昧でも期待させるような言動をしていることがあるせいか、相手方は期待を裏切られることにより強い反発を起こします。
徐々に距離を取るという方法も取りにくく、出来ることなら一気に距離を取る必要があります

それでは、どのように対処すべきでしょうか
手前味噌ながら、関係の解消の場面で不当な要求や攻撃を受けた場合には、弁護士にご依頼いただくのが一番かと思います。

残念ながら、弁護士が介入した場合にも、物理的な接触を100%止めることはできません。
既に触れたとおり、法的なリスク(配偶者から高額の慰謝料請求を受けるリスクなど)を顧みず、行動に移す方も多くいらっしゃいます。
いくら法的なリスクを説明しても、それが抑止力にならないことがあるのです。
そのため、弊所で熟年不倫における不当な要求や攻撃の被害に遭っている方のご依頼をお受けする場合には、必ず「腹を括って欲しい」という話をしております。

ただ、弁護士が介入することで、直接の接点をなくすことはできます
一か八かになるところもありますが、直接の接点がなくなることで落ち着きを取り戻す相手方がいることも事実です。
接点を解消したうえで、相手方の感情を弁護士に吐き出してもらいながら少しずつ冷静になっていただきます

最初は全く話も聞かず、家に行く、職場に行くと言っていた相手方が、法的リスクを正確に認識し、「自分も悪かった」と整理していくことができる場合もあります。
そのような整理の時間を取るには、やはり弁護士のような代理人が介入したうえで直接の接点を無くし、辛抱強く話を続けていくしかないかと思います。

おわりに

人間である以上、誰しも感情があります。
不倫を正当化することはできませんが、感情に走った結果お二人では元に戻れないところまで行ってしまうこともあるでしょう。
もちろん弁護士は代理人として、依頼者の盾となり、戦う立場にありますが、上記のような不倫における不倫相手からの不当な要求や攻撃を受けたケースでは、何とか両当事者を出来る限り元通りにできないかという思いがどこかにあります。

弊所では男女トラブルを多くお受けしながら弁護士としての法的な対応はもちろん、感情が絡む複雑な事案を多く解決してまいりました。
全てのトラブルに言えることですが、唯一解はありません。また、解決の公式もありません

まずはお悩みをお聞かせください
弊所で培ってきた知見が皆さまに少しでもお役に立てば幸いです。

不当な要求・請求(不当請求)には強い姿勢で臨む。

応じてはいけません!

法律家としての知見に基づく解決をお示しするのはもちろんのこと、弊所で蓄積したノウハウに基づき、軟着陸するためのアドバイスをさせていただきます。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次