債権回収を行うときには「消滅時効」に注意が必要です。時効消滅したらもはや1円も回収できなくなってしまうからです。
債権にはいくつかの種類があり、それぞれ時効の期間が異なるケースがあります。
今回は、債権の消滅時効と時効完成前に回収する方法を解説します。
1.債権の消滅時効とは
債権の消滅時効とは、一定の期間内に債権を行使して回収しないと、権利が失われてしまうことです。
「権利を持っているのに行使しない人を守る必要がない」ということと、「一定期間権利を行使されないのなら『もう権利行使されることはないだろう』と期待する債務者の期待を保護する」ための制度です。
売掛金、貸付金などいろいろな債権がありますが、「時効期間」が過ぎてしまったらいずれも請求できなくなってしまうおそれが高まるので、注意しましょう。
2.時効の期間(年数)について
それでは、具体的にどのくらいの年数が経つと債権が時効にかかるのでしょうか?
現在の民法では、一般的な民事債権は10年で時効にかかります。
商事債権といって、商人間の取引や商取引を目的とした債権は5年で時効にかかります。
その他、以下のような短期消滅時効が定められています。
1年
運送賃
旅館、飲食店、娯楽場の債権
大工、植木職人、俳優、プロスポーツ選手の報酬
ホテルや映画館などの料金
レンタカーやレンタルビデオなどの料金
約束手形の所持人から裏書人に対する請求権
2年
弁護士、公証人の債権
生産者や卸売業者、小売業者の債権
給料債権
売掛金
理容師、建具屋などの代金
学校、塾の授業料
3年
医師、助産師、薬剤師の債権
工事業者の債権
不法行為に基づく損害賠償請求権
製造物責任法による損害賠償請求権
手形債権
5年
商事債権
定期給付債権
家賃、地代など
ただし今後民法が改正されると、上記のような時効期間の区別はなくなり、一律で5年の消滅時効期間となる予定です。
3.時効の完成を食い止める方法
時効の期間が過ぎてしまいそうなとき「時効を中断」させることによって時効の完成を食い止めることができます。
時効を中断させるには、以下のような対応が必要です。
- 債務承認させる
- 訴訟や調停を起こす
- 仮処分や仮差押、強制執行をする
また内容証明郵便で債権の支払を催告すると、6か月間のみ時効の完成を延長でき、その間に訴訟を起こして確定的に時効を中断させられます。
債権の時効の完成を防いで確実に回収するためには、専門家である弁護士のサポートがあると心強いものです。支払ってもらえない債権があってお困りであれば、お早めにご相談ください。