最近、芸能人の不倫・不貞の報道が続いておりますね。 残念ながら、いつの時代も不倫・不貞の問題は後を絶ちません。 特に、マッチングアプリや出会い系サイトなど、出会いの形が多様化したことを受けてか、最近ではその数が増えているように感じます。 弊所でも、配偶者(夫や妻)や不倫相手に慰謝料を請求したいというご相談のほか、逆に慰謝料を請求されてしまったというご相談を多くお受けしております。
弁護士が対処法を解説します
本日は、そんな不倫・不貞のご相談のうち、最近増えつつある「不倫相手から脅された」というケースを具体的に紹介したうえで、不当要求に強い弁護士が対処法を解説します。
そもそも一時的にでも男女関係にあった相手を脅すという行為はどのような心理から来るのでしょうか。
弊所でお受けしてきたケースを振り返ると、お金を得るためという動機は必ずしも多くないという印象です。
脅してくる元不倫相手の話を聞くと「自分ばかりが苦しむのは納得がいかない」という話がよく出てきます。
例えば、W不倫のケースで、自分は離婚したのに、相手は元通りの結婚生活を送っているといったような事案で特に出てきます。
根底には、不公平感があり、それが怒りとなって脅しにつながるケースが多いように思えます。
もし、相手方がお金を目的としているのであれば、話は難しくありません。
原則として、不倫当事者の一方が関係を解消したからといって他方に慰謝料の支払義務を負うわけではないので、法的義務を負わない以上支払わないと言えば足ります。
相手方も、お金が取れないとなれば、わざわざ脅すというリスクのある行為にまでは出てこないでしょう。
ですが、若井弁護士が主張するように、お金を得ることを動機とするケースはそこまで多くなく、不公平感や怒りを原因とするものであると、経済的なメリットとリスクが見合うものであるのかという合理的な判断をするとは限らず、予想もしないような行動に出てくる可能性もあります。
ここが元不倫相手からの脅迫への対応を難しくする原因であると言えるでしょう。
多くのご相談やご依頼をいただくケース
ご相談内容①
配偶者や家族にばらすと脅された’]
最も多くご相談いただくのが、配偶者や家族に不倫していたことをばらすという脅しです。
相手方は配偶者や家族は不倫関係における被害者である、その被害者が何も知らされないのはおかしい、事実を全て話して謝りたいなどと主張してきます。
自宅を知られていれば、家まで来たり、手紙を送ってきたりします。
自宅を知られていない場合でも、調査会社を利用したり、自分で探したりして、家を突き止めてくるケースがあります。
配偶者や家族に「話をしようと思えばいつでもできる状態」を作ったうえで、揺さぶりをかけてくるわけです。
揺さぶりをかけたうえで、お金を要求するケースもありますし(お金そのものが欲しいというよりは、お金を支払わせて困らせようという動機が多いかと思います)、交際関係の継続や、自分から配偶者や家族に不倫の事実を打ち明けるよう要求してくるケースもあります。
職場にばらすと脅された
職場にばらすという脅しも、多くご相談いただいておりますね。
職場内での不倫の場合に多く起こる気がしますが、全く別の勤務先である場合にも、勤務先の上司や社長に事実を話して処分をしてもらう、という揺さぶりをかけてくるケースがあります。
基本的に、職場は不倫という個人的な問題に関係はありません。
ですが、相手方としては関係があるかないかではなく、こちらが守りたいと思っているウィークポイントを意識的か無意識的かはわかりませんが攻めてきます。
配偶者や家族にばれるのと同等に職場にばれることを嫌がる方は多く、この揺さぶりの効果は相当高いと言えます。
この類型でも揺さぶりをかけたうえで、お金を要求してくるケースもありますし、交際関係の継続などを求めてくることがあります。
ご相談内容③別れるなら手切れ金をよこせと言われた
数は少ないのですが、時々ストレートに金銭を要求してくるケースもあります。
今までご相談いただいたケースではどれもその金額が大きいのが特徴です。
これは、最初からこちらが応じるとは考えておらず、こちらが支払えないという回答をしたら「では交際解消には納得できない」と返すことで、交際の継続という隠した目的を達成する駆け引きとして利用されることが多いかと思います。
また、多額の経済的な負担を負わせて、苦痛を与えたいという動機であることも見受けられます。
その意味で、純粋なお金を目的とする揺さぶりではないと言えます。
ご相談内容④今までのデート代やプレゼントを返せと言われた
交際期間の短い不倫当事者の間で、時々、この種の脅しがかけられることがあります。
中には事細かに、いつ、いくらは使ったのかを記録していて、1円単位まで請求してくる相手方もおります。
デート代やプレゼントを返せないのであれば、弁護士に依頼して回収する、その場合の費用はあなたに請求する、警察に被害届を出して対応してもらう、など様々な揺さぶりをかけてきます。
この種の揺さぶりでも、お金の回収というよりはむしろ、迷惑をかけたい、接点を持ち続けたいという願望が背景にあるように思えます。
ご相談内容⑤別れるなら死ぬと言われた
時々、この種の脅しがかけられることがあります。
不倫関係にあるうちから、相手方が精神的に不安定であることを知っていたような場合には、相手方の「死ぬ」という言葉がかなり強いプレッシャーとなります。
誰しも自分のせいで誰かが死ぬことを望みません。
相手方は「死ぬ」と言えば、振り向いてもらえると無意識のうちに考えているところもあり、このような揺さぶりをかけ、主に交際の継続を求めてきます。
今までお受けしたケースでは、薬の空きビンやリストカットの画像を送りつけてきたり、友人を騙る人物が「今、病院にいるが、本人は危篤状態にある」というようなメッセージを送ってきたりなど、様々な揺さぶり行為がありました。
対処方法
以上のような、元不倫相手からの脅しや揺さぶり行為を受けた場合、どのように対処すべきでしょうか。
以下で詳しく解説していきます。
対処方法について
対処方法①警察に対応を要請する
まず、最初に思いつくのは警察かと思いますが、明確に脅迫や恐喝と言えるような行為でなければ介入をしてくれません。
いわゆるストーカー規制法における「つきまとい行為」に該当すれば、電話などで事実上の警告をしてくれる場合はあります。
ですが、感情的になっている相手を「ストーカー扱い」することで、強い刺激を与えてしまい、行動をエスカレートさせてしまうおそれがあります。
実際に、警察に相談しても「警察が今入ると刺激を与えてしまうので、よく考えたほうがいい」と諭されたという話も伺います。
もちろん、刑事事件に該当するような相手方の行為があるなど、緊急性がある場合には警察に対応を要請すべきです。
しかしながら、相手方の感情に配慮しながら、事態を鎮静化しようとする場合には、警察は刺激が強過ぎて不適当かもしれません。
対処方法②自分で対応する
コストがかからず、相手方の感情に最大限配慮できる点は優れているでしょう。
しかしながら、相手方は不公平感や怒りなどに突き動かされている可能性がありますし、そもそも接点を持つことを目的としているような場合もあります。
結果、過大な金銭支払や無理な要求を飲まされたり、いつまでも関係が解消できないということにも陥りかねません。
相手方との接点を持つ期間が長くなれば長くなるほど、関係解消の難易度はあがる傾向にあります。
その間に、一時的に相手方の留飲を下げようとして下手な約束をし、その約束を反故にすることでさらに相手方の怒りを増幅させてしまうなんてこともあります。
短期決戦を狙うのであれば、ご自身での対応はお勧めできません。
弁護士であれば、相手方の行為が犯罪に該当するようなものでなくても、介入はできます。
また、法的観点からの説得を行いますので、相手方の揺さぶり行為にいつまでも付き合わずに済むことが多いと言えます。
さらに、代理人としての対応になりますので、弁護士が全ての窓口となり、物理的に相手方との接点がなくなります。
接点がなくなることで、少しずつ感情が落ち着いてくることも多くあります。
以上から、弁護士による対応をお勧めするところです。
もっとも、ご自身で対応するほど相手方の感情に配慮することはできませんし、警察ほどではないにせよ、男女の個人的な関係に「弁護士」が介入することは刺激にはなります。
結局、ある程度自分で対応し、話が平行線になるようであれば弁護士を立て、物理的な攻撃や犯罪行為に対しては警察に対応を要請するという方法が良いように思えます。
今回の解説のまとめ
弊所では、不倫相手からの脅迫や恐喝への対応はもちろん、男女間における脅迫を多くお受けしてまいりました。
全ての法的紛争に言えることですが、全ての事案には個性があり、紋切り型の対応では解決は望めません。
その個性の度合いが最も強いのが、男女間におけるトラブルであると思います。
法律家としての知見に基づく解決をお示しするのはもちろんのこと、弊所で蓄積したノウハウに基づき、軟着陸するためのアドバイスをさせていただきます。