【解説】X(旧Twitter)で正体不明の人から脅迫され、アカウントが凍結されてしまった事例

X(旧Twitter)で正体不明の人から脅迫され、数千人以上フォロワーのいるアカウントが凍結されてしまった・・・

これは、

  • Twitter等のSNSの匿名性から安易に人を攻撃しやすくなるという問題
  • アメリカに本社を置くSNSサイト特有のアカウント凍結がしやすいという問題

上記のような問題が根底にあります。

順に問題点と対応方法について見ていきたいと思います。

SNSでの脅迫・恐喝について

SNSでの脅迫・恐喝の被害については後を絶ちません。

その特徴として挙げられるのは、

  • 相手が誰かわからない
  • 相手の個人情報を勝手に公開する
  • 自分の意見があたかも正解かのように世間に一方的に公表する形をとる

ということです。

では、どのように対策すればいいのでしょうか?

これは、どのように脅迫・恐喝されているかによって異なりますが、大きく2つ

  • 相手に対して警告書をDM上等で添付すること
  • 相手がどこの誰であるのかと特定したうえで、裁判をする

という方法があります。

1つ目は簡易的な方法であり、2つ目の前段階のような手続きとなります。

つまり、1つ目の手続きについては、弁護士が警告書を作成し、「このまま同じ行動を続けるのであれば、貴殿を特定したうえで、法的措置を講じます」等という内容を記載して(DMに添付する等して)送付します。

そのうえで、この警告書によっても相手の言動が収まらない場合には、本当に法的措置(2つ目の行為)をするというのです。

TwitterのようなSNSは匿名と思われがちです。

しかし、自分(や家族)の氏名で契約したプロバイダ・スマートフォンから投稿している以上、完全には匿名ではありません。

しっかり特定をすることで、相手を特定し、民事・刑事的な手続きへと進めることも十分に考えられるのです。
大掛かりな手続きとなりますが、最終的にこういった法的措置も検討することをおすすめします。

Twitter等のアカウント凍結被害について

また、このような脅迫被害を受けるなかで、結果Twitterアカウントが凍結されてしまったという被害を聞くことも少なくありません。

DMCAとは?

その一つとして、近時増えているのが虚偽の(DMCA)侵害報告による凍結被害です。
実は、アメリカに本社を置くSNSサイトについては、DMCA法という法律により比較的簡単に凍結できてしまうのです。

DMCA法とは、デジタルミレニアム著作権法という名称の法律です。

たとえば、Youtubeに著作権侵害している動画(ex.テレビ番組の違法アップロード)を発見しても、翌日には、「権利者の申立てにより削除されました」という表示を見ることが多いと思います。

DMCA法では、権利者と思しき人から「著作権侵害がある」と報告があれば、調査や確認せずとも一旦削除・凍結しても問題がないとされております。

そのため、TwitterやYoutube等のプラットフォームは、自らの責任を回避するために、このような報告があれば、直ぐに削除・凍結とし、その後異議申し立てがあれば、一定の場合復活する、という運用にしています。

Twitterの有名アカウントの被害

このように一旦削除・凍結とする運用は、一方で真の権利者にとっては有益なものではありますが、これが悪用されてしまい、著作権を侵害していないのにアカウントが凍結されるケースが跡を絶ちません。

Twitterでは、絵師の方、カメラマンの方をはじめとして、個人の方でも写真やイラスト等、多くの著作物(※その人の個性が現れている創作物をいいます)をアップロードしております。

これに対して、脅迫・恐喝をしていた人が、嫌がらせをするために、嫌がらせ相手がアップロードしているイラスト・写真について、「自分の著作物だ!」とTwitter社にアピールして虚偽のDMCA侵害報告をすることがあるのです。

とはいえ、Twitter社は、一旦は削除・凍結することを運用としているであろうことから、凍結となるのです。

こうした場合、Twitter社に対して異議申し立てをするとともに、虚偽の侵害報告をした相手については、特定したうえで刑事告訴・損害賠償請求をすることが方策として考えられます。

つまり、一旦削除・凍結されるとはいえ、きちんと異議申し立てをしていくことで、この削除・凍結を復活させていくうえ、さらには、相手方を法的に特定していったうえで、氏名住所を導き出し、法的な請求をするのです。

このようなやりとりは、かなり煩雑であり難解なものですので、インターネット、とりわけTwitter等のSNSでの被害に強い法律事務所にご相談されることをおすすめします。

※なお、以上のような方策がある以上、(これを読んで「実際に虚偽報告してみよう」と思う人がいるかもしれませんが、)虚偽申告は絶対に行ってはなりません。

先程書いたとおり、インターネットは、完全な匿名はあり得ないところ、このような虚偽報告は、偽計業務妨害罪での刑事告訴や損害賠償請求をされる恐れが一定程度高いものとなります。

とりわけ、このような虚偽報告を数万人以上のフォロワーがいるアカウントに対して行った場合

損害額はかなりの多額となりかねません。

万が一やってしまった場合・被害を受けた場合は速やかにご相談頂ければと存じます。

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