交通事故に遭って保険会社と示談をするときには、いくつか知っておくべきポイントがあります。
以下で示談の注意点を弁護士目線から解説します。
1.示談書にサインしたら簡単に撤回できない
保険会社と示談するときには、示談案が送られてくるものです。その内容でよかったら示談書に署名押印して返送するように言われるケースもあります。
ただ、このとき安易に示談書に署名押印するのは危険です。いったん示談書に署名押印して返送してしまったら、簡単には撤回できなくなるためです。後で「実はもっと高額な賠償金を請求できる権利があった」と知っても、追加請求は困難です。
示談書に署名押印するように言われたとき、すぐには対応せずに中身をしっかり確認して、不利益がないと明らかになってから署名押印しましょう。
2.示談案のそれぞれの損害額が適正であるかチェック
示談案が送られてきたら、まずは損害明細の内訳書を確認してそれぞれの損害が適切に計算されているのかチェックしましょう。
発生した損害がすべて挙げられているのか、それぞれの損害の計算方法が合っているのかを確認します。
たとえば休業損害は1日いくらになっているのか、慰謝料は相場から外れていないかなどが問題になりやすいです。
休業損害が1日5400円となっていたり慰謝料が1日4200円とされていたりすると、低額な基準が適用されているので、交渉によって増額できる可能性があります。
3.過失割合が適正であるかチェック
次に、示談の根拠となっている「過失割合」が適切になっているか検討すべきです。
過失割合は、交通事故当事者それぞれの事故の結果に対する責任割合です。被害者の過失割合が高いとその分「過失相殺」によって示談金額が減額されます。
交通事故の過失割合については事故の状況ごとに適切な数値が決まっているので、その基準が適切に当てはめられているかどうかを判定する必要があります。
適切な割合を判断できない場合、専門家である弁護士にご相談ください。
4.弁護士に依頼すると大きく賠償金が増額されるケースが多い
交通事故の被害者に是非とも知っておいていただきたいのは、弁護士に相談すると自分で示談を進めるよりも大幅に賠償金が増額される可能性が高いことです。
交通事故の賠償金計算方法にはいくつかの種類があり、弁護士が示談するときに適用される「弁護士基準」がもっとも高額です。被害者が自分で示談交渉するときに適用される基準は「任意保険基準」という低額な基準なので、どうしても金額が目減りします。
被害者が法律で認められている権利を適切に実現するため、弁護士に示談交渉を依頼しましょう。
弁護士に依頼すると、被害者が受け取れる損害賠償金が3倍や5倍以上になるケースもあります。示談して良いものかどうか迷っておられるなら、弁護士までご相談下さい。