- 亡くなった父の遺産を同居の兄夫婦が使い込んでいた!
- 使い込まれた遺産の返還を求めたけれど、応じてもらえない
- 遺産の使いこみトラブルは遺産分割調停で解決できない?
親が死亡したとき、親と同居していた子どもによる遺産の使いこみが発覚するケースはとても多いです。そのようなとき、使い込まれた遺産を取り戻せる可能性があります。
以下で遺産の使いこみが発覚したときの対処方法をご説明します。
1.遺産の使いこみは不法行為、不当利得となる
同居の兄などに親の遺産を使い込まれたら、返還請求できないのでしょうか?
遺産は、本来法定相続人が法定相続分に応じて取得すべきものです。それにもかかわらず特定の相続人が自分のために使い込んでしまったら、「不法行為」または「不当利得」となります。
生前の使い込みは、全額が生前の親に対する不法行為(不当利得)となりますし、死後の使いこみは他の相続人に対する不法行為(不当利得)となります。親が取得した損害賠償請求権や不当利得返還請求権も各相続人に受け継がれるので、各相続人は使い込んだ犯人に対し、自分の法定相続分に対応した金額の返還請求ができます。
2.使い込まれた遺産の返還請求方法
親の財産が使い込まれたとき、どうやって取り戻せば良いのでしょうか?
もちろん、話し合いによって返してもらえたら何の問題もありません。しかし現実には、使い込んだ相続人は「使い込んでいない」「親に頼まれて親のために使った」などと言って返還に応じないケースが多数です。
このようなとき、相続人同士のトラブルなので「遺産分割調停」で解決できそうにも思えます。しかし使い込まれた遺産の取り戻し問題は、遺産分割調停で解決できません。遺産分割調停は「遺産の範囲」が確定されていることを前提として、遺産を分け合うための手続きだからです。
遺産の使いこみ問題に決着をつけるには、地方裁判所で「不法行為にもとづく損害賠償請求訴訟」あるいは「不当利得返還請求訴訟」を起こす必要があります。訴訟に勝つためには、長男などによる遺産使いこみの事実を証明せねばなりません。特に親の生前の使いこみ分については、親自身の生活費に使われている可能性などもあるため立証が困難になることも多く、慎重な対応が必要です。
一方親の死後の使途不明金については、親が自分で財産を使う可能性がないので、基本的に使いこみであると推定させられます。
遺産の使いこみが発覚したら、早期に調査分析を開始して相手の態度をみながら適切に請求を進めるべきです。困ったときにはお早めに弁護士までご相談下さい。