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本日は謝罪を要求されたときの対応についてお話したいと思います。
男女トラブルにおいて、よく相手方から要求される行為に「謝罪」があります。男女トラブルでは相手方が感情的になっていることも多く、解決金を支払うなど金銭賠償だけでは納得しないというケースもございます。
相手方から謝罪をするよう要求されたとき、どのように対応すべきでしょうか。
実は、この「謝罪」ですが、トラブルを悪化させることもあるので注意が必要です。
もちろん、謝罪をすることによって早期解決が見込める場合もあります。
しかし、逆に解決が長引いてしまうこともあるのです。
その理由として、まずは謝罪の内容や謝罪のやり方について法的に統一的な考えがある訳ではないため、こちらの考える謝罪と相手方の考える謝罪とで認識が異なる場合があるからです。
こちらはAという事実を謝罪したが、相手方はBという事実について謝罪して欲しかった場合、謝罪をしても相手方には響かない可能性が高いでしょう。それどころか、謝罪すべき対象を理解していない=反省をしていないと捉えられることすらあり、その場合にはむしろ期待した効果と逆の効果を招くおそれもあります。
また、謝罪の方法についても、書面での謝罪なのか対面での謝罪なのか(多くのケースでは直接会って謝罪するよう求められます)、本人だけが謝罪すればいいのか、配偶者など家族も同行しての謝罪を要望しているのかなど、かなり幅のある概念であるため、こちらも譲ることができ、相手方も納得できる方法を見つけることは簡単ではありません。
相手方が被害者的立場にいる場合には、謝罪はその後の示談等を進めるうえでの前提ともなるべき行為になりますが、上記のとおりトラブルを長引かせる原因ともなるものでもあるため、安易に謝罪をすることを認めるのは危険な側面もある訳です。
経験則で申し上げると、相手方がこちらの謝罪を受けて真に納得するという場面にはあまり出くわしたことがありません。
早期解決の観点からは、和解をするうえでの一つの要素であるという認識のもと、加害者・被害者共に謝罪に過度の期待をしないほうが良いでしょう。
ちなみに裁判所が関与したときの謝罪は、書面に〇〇したことを陳謝するという一文を設けるだけの形式的なものであることがほとんどです。このような裁判所の扱いが、謝罪に過度に期待をすることの危険性を表しているのではないかと思います。