交通事故の賠償金はどのようにして決まるかご存知でしょうか?
一般では「保険会社が提案してくるので、その金額で示談するもの」と思われているケースがあります。
しかし保険会社から提示される金額は、必ずしも適正ではありません。
以下では交通事故の「適正な賠償金」と「保険会社の提示する賠償金額」にどのような違いがあるのか、解説していきます。
1.保険会社の提示する賠償金額は、保険会社の都合が優先されている
一般的には「保険会社は名の通った大会社であるし、運転者は交通事故で賠償金を払うために保険加入している。だから保険会社は賠償金を不当に値切ったりせず適切に支払ってくれる」と思われているものです。しかしこのような考えは誤りです。保険会社を信頼しすぎて相手の提示額をそのまま受諾すると、損をしてしまう可能性が高まります。
保険会社の提示する賠償金は、いろいろな意味で保険会社の都合が優先されているからです。まず、賠償金の計算基準として利用されるのは「任意保険基準」という保険会社独自の基準です。これは、正当な賠償金の計算基準である「裁判基準」とよりも大幅に低くなっています。
また保険会社は「付添看護費用」などの本来被害者が請求できる賠償金を含まずに賠償金を減額して計算することがあります。
被害者の過失割合を高めにして賠償金を割合的に減額しているケースもみられます。
つまり保険会社の提示する賠償金は「合法的な範囲でなるべく保険会社の支払を少なくするため」に計算されたものです。被害者がそのまま鵜呑みにすると損をしてしまいます。
2.法的に適正な賠償金とは
それでは、保険会社の提示する賠償金とは異なる「法的に適正な賠償金」とはどのようなものでしょうか?
まず、法的な計算基準である「裁判基準」を当てはめる必要があります。そのことで、慰謝料が保険会社の提示金額の2倍~3倍程度にまで上がるケースもあります。
次に過失割合を適正に算定しなければなりません。保険会社が過大な過失割合を当てはめているケースで過失割合を適正に修正すると、1~2割やそれ以上賠償金がアップするケースもあります。
発生した損害についてはすべて漏れなく計算に入れるべきです。
3.相手の提示する賠償金が正しいかわからない場合
保険会社から賠償金の提示を受けたとき、それが正しい金額かどうか、被害者が自分では判定しにくいものです。その場合、弁護士がご相談に応じます。
相手の提案したままの金額で示談すると本来取得できるよりも大幅に減額された賠償金しか支払ってもらえない可能性が高くなります。
示談案が送られてきたら安易に署名押印する前に、必ず弁護士にご相談下さい。