※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(相談前の状況)
依頼者:Aさん(男性・50代)
状況:外国籍を有する元交際相手が、関係解消後も家に居座っており、借りたアパートから退去できない
Aさんは飲食店で外国籍を有する女性Bさんと知り合い、交際をするようになります。
付き合い始めは特に問題が無かったのですが、しばらくしてBさんはAさんに対して、ことあるごとにお金を無心するようになりました。
AさんはBさんとの交際関係を解消しようとしますが、Bさんが、Aさんの前妻や家族に危害を加える旨示唆し、実際に家族に会いに行って暴れるなどの行動に出たことから、Aさんは家族を守るためにBさんとの交際を続けていました。
Bさんの要求はエスカレートし、Bさんが住む家をAさんに借りさせたほか、生活費を支払わせていました。
また、Aさんに対する拘束が激しく、自分が気に入らないことがあると、Aさんの家族に連絡をして暴言を吐くなど迷惑行為も繰り返しておりました。
ある時、限界を感じたAさんが別れ話を切り出すと、3000万円を払うか、Bさんの出身国に来て車を買うか迫られました。
3000万円もの大金を支払うことは不可能であったため、Bさんの要求のうち、車を買って交際関係を解消することを選択し、Bさんの出身国へ同行します。
しかしながら、Bさんの要求する車は3000万円までには至らないものの高額であったため、購入はできないと伝えると、パスポートや所持していた現金を奪われ、数日間、監禁をされてしまいます。
隙を見て逃げ出し、日本大使館に助けを求めるも介入をしてもらえず、現地の警察の助けも得られなかったことから、その際はBさんに話を合わせて落ち着かせ、何とか帰国をすることができました。
帰国後、Bさんが妊娠していることが分かります。
Bさんには、Aさんの他に日本で婚姻関係があるCさんがおり、また交際しているDさんも居たため、Aさんの子であるかは不明でしたが、Bさんからはさらにお金を請求されてしまいます。
精神的にも不安定になり、限界を感じたAさんは弊所に相談に来られました。
弁護士の対応と解決への流れ
Aさんから時系列で、現在までの事実経過を伺いました。
Bさんは日本語でのコミュニケーションに問題はないものの、Aさんが関係を解消するために様々な条件を提示しても、全く取り合わずに自分の言いたいことだけを伝えてくる人物であることが分かりました。
また、Bさんは、自分の要求が通らないと、Aさんの家族に対して迷惑行為に及び、Aさんの前妻を含む家族の連絡先のみならず、所在や勤務先も把握しているため、直接的な行動に出ることもあり、非常に不安を感じているとのことでした。
過去に、何度か警察を呼んだこともあったようです。
しかしながら、警察は、Bさんに対して口頭で注意をするだけで状況は改善されず、今では連絡をしても、暴行を受けるなどの被害があれば連絡をしてくださいと言われるのみとのことでした。
Aさんの意向を確認すると、今まで強引に取られたお金も取り戻せればベストではあるが、一番の要望は自分が借りているアパートから速やかに退去してもらい、Bさんとの関係を一切解消することであると話してくれました。
弊所からは、Bさんに渡したお金を生活費に利用してきたことや生活実態を踏まえるならばお金の回収は難しいと思われること、退去を求めることは可能だが、理屈が通じず話し合いが難航する可能性があること、Bさんが転居するにあたっての費用を当方で負担すれば早期解決も見込めるかもしれないこと、以上はBさんと話し合いをしてみなければ分からないことなどを伝えました。
また、Bさんが妊娠をしているようだが、Aさんの子であれば認知や養育費を請求してくる可能性があること、そうなれば退去の話にも影響が出てくるおそれがあることを説明しました。
Aさんは弊所に相談に来る前に、交際関係を解消することができると謳う調査会社に依頼をして高額の費用を払ったが、何ら話が前に進まなかったようです。
最悪の場合、法的手続を利用してBさんを退去させるということも視野に入れ、全て弁護士に任せたいとのことであったため、弊所で対応を引き取ることになりました。
依頼を受け、まずはBさんの身元を調査することからスタートしました。
調査を進めると、Aさんの説明の通り、婚姻関係にあるCさんの存在が確認できました。
ただ、BさんはCさんと同居しておらず、ほとんど連絡を取ってもいないようです。
また、Aさんとは別に交際しているDさんの存在も明らかになってきました。
ある程度、AさんとBさんを取り巻く状況が把握できたので、弊所からBさんに連絡を入れました。
しかしながら、Bさんは弊所からの電話連絡には一切応じませんでした。
また、住所地に日本語のみならず、念のため英文を付した書面を送りましたが、受け取りは確認できるものの、弊所に連絡は一切ありませんでした。
このまま連絡が取れなければ、法的手続に進むしかないため、現地調査も兼ねてBさん宅を訪問すると、運よく在宅をしておりました。
Aさんの代理人弁護士である旨を説明すると、Bさんは一方的に話を打ち切り、家に籠ってしまいました。
その後も、何度かBさんへのアクセスを試みましたが、Bさんとまともな話し合いができない状況が続きました。
そこで、退去を求める法的手続を具体的に検討しつつ、Cさんとの結婚生活の実態がないことから出入国管理庁へ調査を依頼したり、Aさんが契約していた電気や水道のライフラインを停止したりするなどのアクションに出たところ、Bさんの居住地を管轄とする福祉の担当者Eさんから連絡が来ました。
EさんはBさんから生活の相談を受けていたようで、Aさんとのトラブルについても把握しているとのことでした。
EさんがBさんとの連絡役を担当するとのことだったので、早期の退去を希望している旨伝えると、Bさんには退去するだけのお金がないことが分かりました。
そこで、Eさんに対し、早期解決が図れるのであれば、退去と新居を借りるための最低限の費用は当方で負担すると話をしました。
EさんがBさんに対して、Aさんの提案を説明すると、さらにお金を要求したいと話していたようですが、Eさんの説得もあり、最低限かかる費用のみ負担をするという話でまとまりました。
その後、Eさん立ち会いのもと、Bさんと合意書を取り交わし、退去及び新居借入にかかる最低限の費用を渡して、退去日を確認しました。
なお、Bさんから、妊娠について何らかの話があるかと思っておりましたが、理由は不明ながら、今は妊娠をしていないということで、認知や養育費の話になることはありませんでした。
Bさんの退去日に立ち会い、退去の完了を見届けたので、本件は終件となりました。
解決結果と弁護士のコメント
退去費用・新居借入費用:Aさん負担
刑事処分:なし
職場・家族:バレずに解決
弊所では、男女トラブルのご相談・ご依頼を多数お受けしてまいりました。
過去にお受けしたケースとしては、交際関係の解消にあたって紛争になってしまったというケースが多く、金銭の貸し借りの清算、物の返還、過去に支出した生活費の清算、ペットの取り扱いなど多岐にわたります。
その中でも、紛争が長期化する傾向にあるのが、同居関係の解消に関するトラブルです。
同居する物件が借りた物である場合、借主である当事者としては交際相手に早く出て行ってもらう必要があります。
相手方が退去しない場合、その間の賃料の支払義務を負うのは借主です。
また、相手方が居座っている間に、物件を破損するなどすれば、こちらも借主が貸主に対して損害を賠償する義務を負うことになります。
すなわち、物件を借りていた当事者は、相手方が退去しないことにより経済的な損害を受ける可能性があります。
後に相手方に対して損害賠償請求をすることも考えられますが、一度、自分が貸主に対して賃料等を支払わなければならず、負担を抱えることになるほか、後に回収する手間がかかり、さらに相手方に資力がなければ、そもそも回収できるかどうかのリスクも負うことになります。
他方、物件の借主ではなく、交際相手から同居を許されていた当事者としては、いきなり退去を求められても困ってしまいます。
退去にかかる費用を請求され、退去後に身を寄せる先が無ければ、新たに物件を借りるための費用も捻出しなければならず、経済的な負担が発生することになります。
上記のとおり、双方の当事者が様々な負担を負い得ることから、なかなか話がまとまらず、時間ばかりが経過してしまう傾向にあります。
強制的に退去を求めるという手続はあるものの、時間がかかってしまいますし、その間、経済的な負担が継続して発生してしまいます。
最終的には強制的な手続を利用するしかない場面もございますが、時間を短縮し、無駄な負担を回避するのであれば、やはり話し合いでの解決を目指したいところです。
弊所では、本件のように物件の借主である依頼者が退去を求めるというケースを多くお受けしております。
退去に際して相手方に対して、退去費用や新居に関わる費用を出すのは納得がいかないという方も多くいらっしゃいます。
お気持ちは非常に理解できるのですが、紛争が長引けば、さらなる負担を抱える可能性もあります。
全ての事案に妥当するものではありませんが、退去を進めるために一定の支出を受け入れてしまった方が、結果として負担を軽くできる可能性があることも頭に留めておいていただきたく思います。
交際関係の際に清算すべき事柄でトラブルになってしまった場合には、弊所にお気軽にご相談ください。なお、同様の退去問題を解決した事例として「同棲相手が出て行ってくれない!弁護士交渉で退去に成功した事例」もご参考ください。
