- 以前交際していた相手から、突然「子どもを認知してほしい」と求められた
- DNA鑑定を求められているが、応じるべきか判断できない
- 認知した場合、養育費をいくら支払うことになるのか知りたい
こんな悩みにお答えします。
認知の請求は、養育費の支払いや戸籍への記載など、その後の人生に長く影響する問題に直結します。だからこそ、感情や不安だけで「拒否する」「応じる」を即断すべきではありません。
本当に自分の子である可能性があるのか、拒否した場合に何が起こるのか、認知した場合の負担はどうなるのかを理解したうえで、対応を決めることが重要です。
本記事でわかることは、以下のとおりです。
- 認知の請求を拒否できるのか、拒否するとどうなるのか
- DNA鑑定を求められた場合の対応
- 認知調停・認知の訴えの流れ
- 認知した場合に生じる養育費の負担
最後まで読むことで、認知の請求にどう向き合うべきか、判断の道筋がわかります。ぜひ最後までご覧ください。
認知を請求されたら拒否できるのか

結論からいえば、任意の認知を拒否すること自体は可能です。認知するかどうかは、本来、父となる者の意思に委ねられているためです。
ただし、拒否すれば終わりになるわけではありません。相手方は、家庭裁判所に認知調停を申し立て、最終的には認知の訴え(裁判)によって、あなたの意思にかかわらず法律上の父子関係を成立させることができます。裁判でDNA鑑定などにより父子関係が認められれば、認知を拒み続けることはできません。
つまり、生物学上の父子関係が実際に存在するのであれば、拒否は解決の先延ばしにしかならず、その間にも後述する養育費の問題は積み上がっていきます。一方、父子関係に疑いがあるのなら、安易に認知に応じるべきではありません。まずは状況を整理するところから始めましょう。
認知の請求を受けたときに確認すべきこと

対応を決める前に、次の3点を確認してください。
- 任意認知と強制認知の違い
- 相手方の主張の根拠
- 認知の請求に期限はあるか
任意認知と強制認知の違い
認知には、父が自らの意思で届け出る任意認知(民法779条)と、調停や裁判を通じて成立させる強制認知(認知の訴え・民法787条)があります。いま相手方から求められているのは任意認知への協力ですが、これを拒否した場合、手続きは強制認知のルートに進む可能性があります。どちらのルートでも、成立した認知の効果に違いはありません。
相手方の主張の根拠
相手方が、なぜあなたを父だと主張しているのかを確認します。妊娠時期と交際・関係を持った時期が整合しているか、出生日から逆算した受胎時期にどのような関係にあったかは、父子関係の可能性を検討する出発点です。時期が明らかに合わない場合や、他の男性との関係がうかがわれる事情がある場合は、その点を整理しておきましょう。
認知の請求に期限はあるか
認知の訴えは、父の生存中はいつでも提起でき、父の死亡後であっても3年以内は提起が可能です(民法787条ただし書)。つまり、子が成人した後でも請求されることがあり、「時間が経てば請求されなくなる」という期待は成り立ちません。放置しても問題が消えるわけではないことを、前提として押さえておく必要があります。
DNA鑑定を求められた場合の対応

認知の場面で大きな意味を持つのがDNA鑑定です。求められた場合の考え方を整理します。
- 任意の鑑定に応じる義務はあるか
- 鑑定を拒否した場合に起こること
- 鑑定結果の証明力
- 鑑定を受ける際の注意点
任意の鑑定に応じる義務はあるか
交渉段階で相手方から求められる私的なDNA鑑定に、応じる法律上の義務はありません。応じるかどうかは、あなたの判断に委ねられています。もっとも、父子関係に確信が持てないまま認知の判断を迫られている状況であれば、鑑定はあなた自身にとっても、事実を確かめる最も確実な手段になります。拒否ありきではなく、受けることの利害も含めて検討する価値があります。
鑑定を拒否した場合に起こること
任意の鑑定を拒否しても、それだけで父子関係が認められるわけではありません。ただし、調停や訴訟に進んだ場合、裁判所から鑑定への協力を求められることがあり、合理的な理由なく拒否し続けると、他の事情とあわせて、父子関係を認める方向の事情として考慮されるおそれがあります。手続きが進んだ段階での拒否は、慎重に判断すべきです。
鑑定結果の証明力
現在のDNA鑑定は精度が極めて高く、調停や訴訟において、父子関係の有無を判断する事実上決定的な証拠として扱われています。鑑定で父子関係が肯定されれば、認知を争い続けることは現実的に困難です。逆に否定されれば、認知や養育費の請求を明確に退けることができます。争いを長引かせないという意味でも、鑑定の持つ意味は大きいといえます。
鑑定を受ける際の注意点
任意で鑑定を行う場合は、検体のすり替えなどが起こらないよう、実施方法と機関の信頼性を確保することが重要です。当事者の一方が用意した簡易キットではなく、法的手続きでの利用に対応した鑑定機関で、双方立会いのもと実施する方法が望ましいといえます。実施の段取りは、弁護士を通じて調整することも可能です。
認知調停・認知の訴えの流れ

任意認知に応じない場合、手続きは次のように進みます。
- 認知調停が申し立てられた場合
- 調停が不成立となった場合
- 認知の訴えで認められた場合の効果
認知調停が申し立てられた場合
認知を求める手続きは、いきなり裁判ではなく、まず家庭裁判所の調停から始まります(調停前置)。調停では、調停委員を交えて話し合いが行われ、多くの場合、DNA鑑定の実施が検討されます。鑑定などにより当事者双方が父子関係について合意し、裁判所が事実の調査を経て相当と認めれば、審判によって認知が成立します。
調停が不成立となった場合
調停で合意に至らない場合、相手方は認知の訴えを提起できます。訴訟では、DNA鑑定のほか、交際の経緯や妊娠時期に関する証拠に基づいて、父子関係の有無が審理されます。判決で父子関係が認められれば、あなたの意思にかかわらず認知の効果が生じます。訴訟段階まで進むと、父子関係が実際にある事案で争い続ける余地は小さくなります。
認知の訴えで認められた場合の効果
認知が成立すると、その効力は子の出生時にさかのぼって生じます(民法784条)。これにより、法律上の父として子に対する扶養義務を負い、養育費の支払い義務が発生します。また、子はあなたの相続人となり、戸籍にも認知の事実が記載されます。認知は、その後の生活に長期的な影響を及ぼす法的な地位の変動です。
認知した場合に生じる養育費の負担

認知が成立した場合に最も大きな負担となるのが、養育費です。基本的な仕組みを確認しましょう。
- 養育費は算定表を基準に決まる
- 支払期間はいつまでか
- 過去分の養育費を請求されることもある
- 収入が変動した場合の増減額
養育費は算定表を基準に決まる
養育費の金額は、裁判所が公表している養育費算定表を基準に、双方の収入と子の年齢・人数に応じて決まるのが実務の運用です。相手方の言い値で決まるものではなく、あなたの収入に見合わない過大な要求には、算定表を根拠に適正額を主張できます。まずはご自身の収入資料をもとに、算定表上の水準を確認することが出発点です。
支払期間はいつまでか
養育費は、一般に子が成人するまで支払うものとされますが、当事者の合意により、大学卒業時までなど期間を延ばす取り決めがされることもあります。長期にわたる支払いになるため、期間の定め方は総負担額に大きく影響します。取り決めの際は、月額だけでなく、いつまで支払うのかを明確にしておくことが重要です。
過去分の養育費を請求されることもある
認知の効力は出生時にさかのぼるため、認知前の期間について、出産費用や過去の養育費に相当する金銭の分担を求められることがあります。過去分がどこまで認められるかは事案によって判断が分かれますが、子の出生から時間が経っているほど、請求される可能性のある範囲は広がります。この点も、対応を先延ばしにしない方がよい理由のひとつです。
収入が変動した場合の増減額
いったん取り決めた養育費も、失業や収入の大幅な変動、再婚など事情の変更があった場合には、増減額の請求が可能です。取り決めが将来の変化に対応できるよう、金額と期間は現実的な水準で合意しておくことが、長期的なトラブルの予防につながります。
認知・養育費の請求に関するよくある質問

最後に、認知や養育費の請求について、当事務所に多く寄せられるご質問にお答えします。
自分の子か確信が持てない場合はどうすればよいですか?
確信が持てないまま認知に応じることも、根拠なく拒否し続けることも、おすすめできません。前述のとおり、DNA鑑定は事実を確かめる最も確実な手段です。信頼できる方法での鑑定実施を相手方と調整し、結果を踏まえて対応を決めることが、双方にとって最も合理的です。
認知すると戸籍に記載されますか?
記載されます。認知をすると、子の戸籍の父欄にあなたの氏名が記載されるとともに、あなた自身の戸籍の身分事項欄にも認知の事実が記載されます。戸籍を見れば認知の事実がわかる状態になるため、この点は認知に伴う効果として理解しておく必要があります。
認知せずに養育費だけ払うことはできますか?
法律上の養育費の支払い義務は、認知によって父子関係が成立してはじめて生じます。認知をしないまま、当事者間の合意として金銭の支払いを続けることは可能ですが、子の法的な地位は不安定なままであり、相手方が納得せず認知の手続きに進むことも考えられます。その場しのぎの合意には限界があることを踏まえて検討してください。
家族に知られずに対応できますか?
交渉や調停への対応を、ご家族に知られないよう配慮しながら進めることは可能です。当事務所でも、連絡方法や時間帯のご希望を伺って対応しています。ただし、認知が成立した場合には戸籍に記載が残るため、将来にわたって完全に秘匿できるとは限りません。その前提も含めて、対応方針をご相談ください。
認知やDNA鑑定を求められたら弁護士へご相談を

今回は、認知を請求された場合の対応について解説しました。任意認知の拒否は可能ですが、調停・訴訟を通じた強制認知の可能性がある以上、拒否だけでは解決になりません。父子関係に疑いがあるならDNA鑑定で事実を確かめ、認知する場合は算定表に基づく適正な養育費の取り決めをする、という順序で対応することが重要です。
とはいえ、鑑定の進め方や養育費の適正額、過去分の扱いなどを、相手方と直接交渉しながらおひとりで判断するのは難しいものです。
若井綜合法律事務所では、認知や養育費を請求された方からのご相談を初回無料でお受けしております。24時間365日受付、LINEでのご相談にも対応しており、全国どこからでもご相談いただけます。ご相談内容は秘密厳守いたしますので、ご家族に知られたくないという場合もご安心ください。
認知の問題は、時間が経つほど過去分の負担が積み上がっていきます。請求を受けたら、できるだけ早い段階で当事務所へご相談ください。
