デリヘルの利用中に店舗が禁止する本番行為に及び、キャストから警察に通報されたご依頼者は、警察官が臨場した場で示談金200万円の支払いを約束し、当日のうちに約40万円を手渡していました。残額の約160万円をどう支払えば本当に終わるのか、というご相談から、合意書の締結と本人確認を経て約2週間で終件させた事例を紹介します。
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(ご相談前の状況)
デリヘルの本番行為で警察を呼ばれ、警察官の面前で示談金200万円を約束
ご依頼者は東海地方在住の男性です。デリヘルを利用した際に店舗が禁止する本番行為に及び、キャストが警察に通報。警察官が臨場する事態となりました。
ご依頼者は、その場で逮捕されることだけは避けたいという思いから、キャストとの間で示談金200万円を支払うことで話をまとめ、警察官の立会いのもと、当日のうちに手元にあった約40万円を手渡しました。残額の約160万円は後日支払うという約束で、その日は帰宅しています。
しかし、残っていたのは口頭での約束と、キャストとのLINEのやり取りだけでした。示談の内容を記した書面はなく、相手方には運転免許証を提示していたため、自宅の住所も知られている状態でした。
ご依頼者によれば、約束した金額を支払う意思はあるものの、「口約束のまま160万円を振り込んで本当に終わるのか」「後から追加請求されないか」という不安が拭えなかったとのことです。翌朝、「デリヘル 示談」と検索して当事務所にご相談いただきました。
弁護士の対応と解決への流れ
受任通知から合意書の締結・送金まで、残額の支払いを「書面のある清算」に切り替える
ご相談当日に受任しました。ご依頼者のご希望は減額ではなく、約束した金額を支払って確実に終わらせることでした。そこで弁護士は、①窓口を弁護士に一本化する、②清算条項を含む合意書を取り交わす、③相手方の本人確認を行う、④送金は当事務所の預り金口座を経由する、という方針を立てました。
まず、相手方に受任通知を送付しました。受任通知を受け取った相手方からは当事務所に連絡があり、弁護士が示談の内容を書面にしたうえで残額を支払う旨を説明したところ、相手方も書面での取り交わしに応じました。
弁護士は、残額約160万円の支払いと引き換えに、本件に関して双方に他の債権債務がないことを確認する清算条項を盛り込んだ合意書を作成し、2通を返信用封筒とともに相手方へ郵送しました。相手方は署名のうえ、身分証の写しを添えて返送し、合意の相手が本人であることを確認できました。
ご依頼者には、残額を当事務所の預り金口座にお振込みいただき、当事務所から相手方の指定口座へ送金しました。送金完了後、相手方にも締結済みの合意書を送付し、手続きを終えています。受任から締結・送金まで約2週間でした。
この間、ご依頼者が相手方と直接連絡を取る場面は一度もなく、遠方に住む相手方と対面する必要もありませんでした。
解決結果と弁護士のコメント
解決内容
- 口頭の約束にとどまっていた示談金200万円の残額約160万円を、清算条項付きの合意書に基づいて支払い
- 相手方の署名と身分証の写しを取得し、相手方本人との合意であることを確認
- 送金は当事務所の預り金口座を経由し、ご依頼者の口座情報を相手方に開示せずに完了
- 受任から合意書の締結・送金まで約2週間で完了
- 受任後、ご依頼者が相手方と直接やり取りする場面はなし
警察官の面前で決めた示談金でも、「書面のない支払い」では終わりになりません
まず前提として、風俗店が禁止する行為は決して行うべきではありません。キャストとの間で深刻なトラブルに発展するだけでなく、本件のように警察が介入する事態となり、刑事事件として扱われる可能性もあります。
本件の特徴は、警察官が臨場した場で示談金の金額が決まっていた点です。警察官の面前で約束をしたからといって、その内容が書面として残るわけではなく、警察が示談の履行を保証してくれるわけでもありません。残額を支払った後に「受け取っていない」「別途慰謝料を支払ってほしい」などと言われた場合、支払った事実と、その支払いですべて解決したことを示す証拠がなければ、対応に苦慮することになります。
そのため本件では、残額の支払いにあたって、清算条項を含む合意書の取り交わしと、相手方の本人確認を条件としました。清算条項は、後日の追加請求に対して「すでに解決済みである」と主張する根拠になります。また、相手方が名乗る名前が本名とは限らないため、署名と身分証の写しで本人確認をしておくことが重要です。
支払方法にも注意が必要です。すでに自宅住所を知られている状況で、さらにご依頼者の口座情報まで相手方に渡す必要はありません。当事務所の預り金口座を経由することで、ご依頼者の情報を開示することなく、支払いの事実を客観的な記録として残すことができました。
本件では、ご依頼者が約束した金額を支払う意思を明確にされていたため、減額交渉は行わず、早期かつ確実な清算を優先しました。もっとも、事案によっては金額の妥当性を争う余地がある場合もあります。支払いを済ませてからでは取り得る手段が限られますので、お金を渡す前の段階でご相談ください。
警察を呼ばれて示談金を約束してしまった、残額の支払いをどう進めればよいか分からない、という方は、当事務所までご相談ください。