メンズエステの利用中にスマートフォンで録音していたことが発覚し、店舗側から「しかるべき機関に相談する。覚悟しておくように」という趣旨の通告を受けた男性からのご依頼です。弁護士が受任から3日で店舗側と合意に至り、解決金10万円と、録音データの削除・流出防止や刑事事件化を防ぐ条項を盛り込んだ合意書を締結して解決した経緯を紹介します。
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(ご相談前の状況)
「しかるべき機関に相談せざるを得ない。覚悟はしておいてください」
ご依頼者は、関西地方にお住まいの男性です。メンズエステを利用した際、退室前に鞄からスマートフォンを取り出したところ、ボイスメモのアプリが録音中の状態になっていました。ご依頼者によれば、鞄にしまう際の操作の誤りで録音が始まっていたとのことです。同じタイミングでキャストからも指摘を受け、ご依頼者はその場で録音を停止し、データを削除しました。
その場は収まったかに見えましたが、退室して間もなく、店舗から「返金があるので部屋に戻れるか」というメッセージと着信が届きます。すでに遠方まで移動していたため戻れないと答えたところ、その日の夜、店舗とは別の番号から「お客様の行為は記録で確認できたので、今後しかるべき機関に相談せざるを得ません。覚悟はしておいてください」という趣旨のメッセージが送られてきました。
ご依頼者は強い恐怖を感じました。「記録」とは何を指すのか。録画されていたのではないか。電話番号から身元を特定され、勤務先や家族に知られてしまうのではないか。不安を抱えたまま、ご依頼者は当事務所にご相談くださいました。
弁護士の対応と解決への流れ
受任から3日で合意に至り、削除・流出防止の条項を盛り込んだ合意書を締結
ご相談を受けた当日に受任し、週明けに弁護士から店舗へ連絡を入れて、以後の窓口を当事務所に移しました。店舗責任者から折り返しがあり、キャスト本人が最も懸念しているのは、録音された内容が外部に流出することだと分かりました。
そこで弁護士は、金銭による解決に加えて、録音データを削除すること、および流出を防止することを合意書に明記する内容を提案しました。相手方はこれを受け入れ、受任から3日で、解決金10万円を支払う内容で合意に至っています。
合意書には、録音データの削除と流出防止に関する条項のほか、解決金の支払いをもって相手方が刑事事件化のための手続を行わない旨の条項も盛り込みました。作成した合意書を相手方へ郵送し、店舗側とキャスト本人の署名を得た合意書の返送を受けたうえで、キャスト本人の身分証明書により本人確認を行い、締結しています。
解決金10万円は、当事務所の預り金口座を経由してキャスト本人の口座へ送金しました。受任から締結・送金の完了まで約1ヶ月、ご依頼者が相手方と直接やり取りをすることはありませんでした。締結済みの合意書は、相手方の個人情報にマスキング処理を施したうえでお渡ししています。
解決結果と弁護士のコメント
解決内容
- 解決金10万円の支払いにより示談が成立
- 録音データの削除と流出防止に関する条項を合意書に明記
- 解決金の支払いをもって刑事事件化のための手続を行わない旨の条項を明記
- 店舗側とキャスト本人の双方の署名を得たうえで、キャスト本人の身分証明書により本人確認を実施
- 受任から3日で合意、約1ヶ月で締結・送金まで完了
- 当事務所の介入後、ご依頼者が相手方と直接やり取りする必要は一切なし
「しかるべき機関に相談する」と言われたら
まず前提として、施術中の録音は行わないようにしましょう。録音機能を起動した状態で入室しないよう、十分に注意してください。
そのうえで申し上げると、「しかるべき機関に相談する」「覚悟しておいてください」といったメッセージは、受け取った側に強い恐怖を与えます。しかし、こうした通告を受けたからといって、直ちに何かが起きるわけではありません。不安のあまり連絡を絶って身を隠そうとするよりも、早い段階で弁護士が窓口となり、相手方の意向を確認するほうが、結果として安全です。
本件で分かったのは、相手方が最も恐れていたのが、録音された内容の流出だったということです。金銭だけの問題ではなく、相手方の不安に応える条項を合意書に盛り込むことで、早期の合意につながりました。相手方が何を求めているのかを把握したうえで、それに応える形を提示することが、円満な解決への近道となる場合があります。
また、合意書には、データの削除や流出防止の約束に加えて、解決金の支払いをもって刑事事件化のための手続を行わない旨を明記しておくことが重要です。あわせて、店舗だけでなくキャスト本人の署名を得て、本人確認をしておくことで、後日の蒸し返しを防ぐ効果が期待できます。
当事者同士のやり取りでは、相手方のペースで話が進んでしまいがちです。弁護士が窓口となることで、依頼者が直接対峙することなく、相手方の意向を踏まえた条項を整えたうえで、書面による確定的な解決を図ることができる場合があります。メンズエステや風俗店から「しかるべき機関に相談する」と告げられて不安を抱えている方は、お一人で抱え込まず、早めに当事務所までご相談ください。