ネットで誹謗中傷されて自分の名誉が酷く傷ついてしまったらどのような対応をとれるのでしょうか?
今回は、ネット誹謗中傷されたときに相手に成立する犯罪や相手に要求できる事項について、解説します。
1.ネット誹謗中傷で成立する犯罪
ネットで誹謗中傷されると、投稿者には以下のような犯罪が成立する可能性があります。
1-1.名誉毀損罪
名誉毀損罪は、公然と事実の摘示によって他人の社会的評価を低下させたときに成立する犯罪です。ネット誹謗中傷でもっとも問題になりやすいものです。
刑罰は、3年以下の懲役または禁固もしくは50万円以下の罰金刑です。
1-2.侮辱罪
事実を摘示せず「バカ野郎」「ゲス野郎」などと罵倒したときなどに成立する犯罪です。刑罰は拘留または科料です。
1-3.業務妨害罪
業務妨害罪は、虚偽の噂を流したり人を騙したりして他人の業務を妨害したときに成立する犯罪です。ネットで事業者に対する虚偽の悪口を書いて売上げを低下させたりすると成立します。刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です。
1-4.脅迫罪
ネットを使って相手を脅すと脅迫罪が成立します。脅迫罪が成立するのは、相手や相手の親族の「生命、身体、自由、財産、名誉」に害悪を与えると告知したケースです。
刑罰は2年以下の懲役または30年以下の罰金刑です。
2.投稿者に要求できること
ネット上で誹謗中傷されたり脅されたりしたら相手にさまざまな犯罪が成立しますが、それとは別に被害者が加害者に民事的に要求できることがあります。
2-1.慰謝料請求
まず考えられるのは「慰謝料請求」です。ネット誹謗中傷によって名誉毀損されたり侮辱されたりすると被害者は大きな精神的苦痛を受けるので、相手に慰謝料請求できます。慰謝料の金額は、ケースにもよりますが数万円~数十万円程度が相場です。
2-2.謝罪
次に加害者に対して謝罪を求めることが可能です。謝罪の方法は、対面でも謝罪文でもかまいません。ただし必ずしも相手に謝罪を強制できるわけではありません。通常は慰謝料についての交渉時に謝罪を求めますが、相手が応じない限り謝罪は受けられない可能性があります。
2-3.名誉回復措置
ネット誹謗中傷によって名誉毀損されたら、毀損された名誉を回復すべき場合があるものです。加害者に謝罪広告や訂正文を発表させるなどの対応で、名誉回復措置がはかられるケースがあります。
2-4.二度としないと約束させる
ネット誹謗中傷を受けたとき、いったんは記事を削除させて謝罪させてもまた同じ事をされると厄介です。そこで示談するときに「二度と嫌がらせの投稿はしない」ことを固く約束させます。違約金なども定めておけば再発を効果的に防げます。
ネットで誹謗中傷被害を受けたら、放っておくべきではありません。記事を削除させるだけにとどまらず、さまざまな対処方法があるので、よろしければ弁護士までご相談下さい。