※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(相談前の状況)
依頼者:Aさん(50代、男性)
状況:過去に不倫について慰謝料を支払ったが、再度、同じ女性と不倫してしまい、高額の慰謝料を請求されている
Aさんは自宅の近くに住む女性Bさんと不倫関係にありました。
数年前、Bさんの旦那さんであるCさんに、Bさんと不倫関係にあることが発覚し、数百万円の慰謝料を支払ったことがあります。
そこでBさんとの関係をきちんと解消できれば良かったのですが、その後もBさんとの関係が続き、再びCさんの知るところとなりました。
数年前の話し合いの際、Cさんとの間では公正証書を作成し、Bさんとは接触を取らないと約束をしたうえ、再び不倫行為(性行為)があったときは、1回につき数百万円を支払う約束をしておりました。
そのため、Cさんは、AさんとBさんとの間に少なくとも10回以上の性行為があったと主張し、数千万円の慰謝料を支払うよう請求してきました。
AさんにはCさんの請求に応じるだけのお金はなく、回答に窮していたところ、CさんがAさん宅付近をうろつくようになり、一度、路上で出くわした際には、かなり強い言葉で責められたようです。
Cさんから、公正証書に基づいて、Aさんの資産に対し、強制執行するという警告も受けたことからAさんは困り果て、弊所にご相談に来られました。
弁護士の対応と解決への流れ
Aさんから時系列で事実関係を伺い、過去に作成した公正証書を拝見しました。
たしかに、1回の性行為につき数百万円を支払う旨約束しており、さらに、Cさんが主張する通り、少なくとも10回以上は関係を持ったことが分かりました。
また、Cさんは、Aさんに今回の請求をする前に、調査会社に依頼して、AさんとBさんの行動を確認していたらしく、ある程度、Aさんとの不倫関係について具体的な証拠を持っている可能性があることも分かりました。
Aさんに意向を確認すると、Bさんと不倫行為をしたことは間違いがなく、慰謝料を支払うつもりだが、Cさんの請求に応じるだけのお金はない、自分が支払うことのできる現実的な金額まで減額をお願いしたうえで、さらに分割での支払とさせてもらいたいとのことでした。
当職にご相談いただく前に、Cさんに対して、減額や分割払いの要望を伝え、話し合いをしたことがあるかどうか確認をすると、Cさんの反応が怖くて連絡もできていないとのことでした。
Aさんからは、自分で対応するのは怖いので、交渉に入って欲しいとの要望がございましたので、当職で引き取って対応することとなりました。
Cさんとの交渉
当職からCさんに連絡し、念のため請求の根拠を確認すると、調査によって把握した事実について、公正証書に基づき請求をしているとのことでした。
Cさんからは、あくまで把握しているのは10回程度だが、それ以上存在すると考えている、他にも事実が明らかになれば増額して請求する考えもある、減額に応じるつもりはないとのことでした。
他にもCさんから、Bさんとの関係は今回の件で破綻状態にあり離婚予定であること、今回の件で家庭内はめちゃくちゃになってしまったことなど、本件による影響が深刻であることの説明もありました。
当職からは、Cさんと公正証書において、Bさんとの関係を解消すると約したにも関わらず、再びBさんと不倫関係になったことは事実であり、Cさんが強い憤りを感じるのは当然であるし、Aさんが了承した違約金を請求するのも当然のことであると伝えました。
そのうえで、AさんにはCさんが請求しているような数千万円を支払うだけの資力がないこと、今の段階でお金を集めて支払うにしても少額になってしまうこと、それ以上の金額となると分割でなければ支払うことは難しいことを伝えました。
しかしながら、Cさんには減額する意向も、分割弁済を受け入れる意向もなく、話し合いは平行線になってしまいました。
訴訟での和解
その後、Cさんは弁護士を代理人に立て、Aさんに対する訴訟を提起してきました。
訴訟でCさんが請求してきた金額は数百万円であり、話し合いの段階で請求していた数千万円の請求ではありませんでした。どのような経緯で請求額を数百万円にしたのかは分かりませんが、現実的な金額に減額し、確実な回収を考えたのかもしれません。
訴状を確認すると、Cさんが主張する事実とAさんの認識する事実にはほとんど相違がなかったため、早々に和解の話し合いが始まり、支払金額と支払スケジュールの調整を繰り返しました。
Cさんは、最後まで一括での弁済を希望しておりましたが、話し合いの末、Cさんの請求額を受け入れる代わりに、Aさんに無理のない支払スケジュールを設定することができました。
訴訟上で和解した後、長期間となりましたが、AさんはCさんに対して分割で和解金額を支払い、終件となりました。
解決結果と弁護士のコメント
請求額:数千万円 ➡ 解決金額:数百万円(分割払い)
訴訟:和解成立
強制執行:回避
不倫をしてしまったことにより、不倫相手の配偶者や自身の配偶者から慰謝料を支払うよう請求された事案を、弊所では多数お受けしてまいりました。
過去にお受けしたケースを見ると、慰謝料を支払った後、紛争が再燃するということはほとんどないのですが、本件のように、不倫関係の解消ができず、再度、慰謝料を支払うよう請求を受けるケースもございます。
不倫行為について慰謝料を支払う際、通常は合意書を作成します。この合意書では、解決金をいつ、いくら、どのような方法で支払うのかといった和解の核となる条項のほか、不倫関係の場合には、不倫当事者が今後接触をしないようにするための条項を設けることが通常です。不倫の示談や合意書について詳しくは「不倫の接触禁止条項とは?拒否できる?離婚後の効果と例文を解説」でも解説しています。
本件でも同様の接触を禁ずる条項を設けたうえ、さらに違反があったときには、1回につき数百万円の違約金を支払うという条項も設けておりました。Cさんは、AさんとBさんが再び不倫関係にならないことを強く希望していたのでしょう。
本件の違約金の金額はかなり高額であったため、実際に訴訟で請求をした場合にどこまで認められるかは分かりませんが、裁判例を見ると、それなりの金額が認められていることが分かります。そのため、本件では数百万円での和解が成立しましたが、Cさんが違約金として数千万円の請求をしてきた場合には、本件の和解金額以上の負担を抱えることになった可能性も否定できないところです。
不倫関係の継続にはリスクしかない
人間の感情にはコントロールが難しい部分があることも理解しますが、不倫関係の継続にはリスクしかありません。
不倫の事実が発覚すれば、高額な慰謝料を支払うといった経済的な負担はもちろん、当方にも配偶者がいる、いわゆるダブル不倫のケースとなれば、当方の婚姻関係が破綻してしまう可能性すらあります。ダブル不倫に伴うリスクやその終わらせ方については「W不倫を終わらせるのに良いタイミングと遺恨を残さない別れ方」もあわせてご確認ください。
不倫関係に入ってしまう前に、一度立ち止まって冷静に、起こり得る事態を想像していただきたいところです。
それでも不倫をしてしまい、不倫相手の配偶者から慰謝料の請求を受けた場合には、速やかに弁護士に相談するようにしましょう。
感情的になった不倫相手の配偶者から、職場や家族への連絡を示唆され、高額な慰謝料の支払を約してしまうケースもあります。誰にも知られたくないという発想に基づき、がむしゃらに早期の解決を目指して行動することは、後に取り返しがつかない事態に陥ってしまう可能性もございます。十分にご注意ください。
