※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(ご相談前の状況)
依頼者(女性)は、約9年間にわたって同棲していた交際相手の男性から、貸金等返還請求として353万6000円の支払いを求める訴訟を東京地方裁判所に提起されました。
男性はいわゆるヒモ状態で、同棲期間中ほとんど収入がなく、依頼者が学費・生活費・家賃・光熱費などあらゆる生活費を負担してきました。依頼者が別れを求めても男性は応じず、家を出て行かない状況で、男性は「家賃を協力するから」等と言い続け、依頼者宅に住み続けました。しかし、男性は別れた後になって「家賃は協力した金額だと」と今まで男性が負担した家賃や光熱費などを貸金として、返還請求訴訟を起こしてきたのです。
依頼者は男性との直接対面を強く拒んでおり、一刻も早く法的に縁を切りたいとの希望をもって当事務所にご相談され、ご依頼いただきました。
弁護士の対応と解決への流れ
受任後、直ちに書面を提出し、被告代理人として事件に着手しました。
訴訟対応では、9年間の同棲関係の実態を丁寧に整理することに注力しました。依頼者が負担してきた相手方の学費・生活費の内訳を記したメモ帳や当時のLINEのやり取りを分析し、相手方が「出て行かないために払った」という性格の金銭であることを主張する書面を複数回にわたって提出しました。また、相手方がパチスロに費消していた事実、依頼者が婦人科系の病気を患った事実なども証拠として整理し、相手方の主張する貸金の成立を否定するとともに、依頼者側の不当利得返還請求権による相殺を主張しました。
和解協議においては、裁判所から解決金50万円という和解案が提示されました。相手方は当初130万円の一括払いを要求するなど強硬な姿勢をとりましたが、依頼者の経済状況を示す非課税証明書や通帳の履歴を裁判所に提出し、分割払いの必要性と支払能力の限界を丁寧に説明しました。最終的に、和解金100万円の分割払い(ただし遅滞なく50万円を支払った場合には残額50万円を免除)という条件で和解が成立しました。和解条項には口外禁止・接触禁止(家族等関係者への接触も含む)も盛り込みました。
解決結果と弁護士のコメント
請求額353万円
➡
解決金額50万円
- 相手方の353万6000円の請求に対し、和解金100万円(実質50万円)の分割払いで解決
- 口外禁止条項・接触禁止条項(関係者への接触禁止を含む)の設定
- 以後の一切の連絡・接触を法的に遮断して終結
本件のように、長期間の同棲関係における金銭のやり取りは、「贈与」「生活費の分担」「立替払い」「返還合意のある貸付」など複数の性格が混在することが多く、相手方から「すべて貸金だ」と主張されても直ちに認められるわけではありません。
同棲期間中のLINEのやり取りや当時のメモなどの証拠を丁寧に整理し、金銭交付の背景にある実情を裁判所に伝えることが、交渉力の鍵になります。また、依頼者側にも相手方に対する不当利得返還請求権が生じている場合があり、相殺の抗弁が有効に機能することもあります。
「別れた元交際相手から突然訴えられた」「同棲中に渡したお金を返せと言われている」という状況にある方は、早めにご相談ください。
