※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

事案の概要(相談前の状況)

依頼者:Aさん(男性・30代)
状況:不倫相手と関係を解消しようとしたところ、配偶者に謝罪の連絡をしたいと言われるとともに、慰謝料の請求を受けている

Aさんは仕事をしながら、とある資格試験の合格を目指していました。予備校に通っておりましたが、そこで出会った女性Bさんと仲良くなります。

AさんもBさんも既婚者でしたが、同じ試験の合格を目指す受験生同士で励まし合ううちに惹かれ合い、男女の関係となってしまいました。なお、交際期間中、Aさんは生活費に困ることがあり、Bさんからお金を借りたこともあったようです。

暫く交際を続けておりましたが、奥さんに隠しながらBさんとの関係を続けることに負担を感じ始めたAさんがBさんに対して関係の解消を伝えると、Bさんは感情を露わにして怒りました。

BさんはAさんに対して、関係を解消するのであればAさんの奥さんに今までのことを説明して謝りたいと話してきました。また、貸したお金をすぐ返すよう請求したほか、慰謝料を支払って欲しいと請求してきました。

BさんはAさんの自宅や実家を知っており、Bさんの性格上、曖昧な態度を示せばすぐにでも直接の訪問をしてくる可能性もあったことからAさんは困り果て、弊所に相談に来られました。

弁護士の対応と解決への流れ

Aさんから時系列で、現在までの事実経過を伺いました。AさんはBさんに対して既婚者であることを隠したことはなく、交際開始の当初からお互いに既婚者であることを知っていたようです。

Bさんの旦那さんが本件について知っているのかどうかを確認すると、Bさんは旦那さんの話を持ち出して来ておらず、本件を知っているかどうかは分からないとのことでした。Bさんとの金銭のやり取りについて確認すると、お金を借りたのは事実であり、金額にも争いはないことが分かりました。

慰謝料の請求を受けているとのことであったので、何か心当たりがあるかどうか確認すると、交際時に暴言や暴力をふるったことはないし、相手方に嫌がるようなことをした記憶はないとのことでした。なお、Bさんは弁護士を立てるという話もしていたようです。

Aさんの意向を確認すると、奥さんや家族にBさんから連絡が来ることを避けたいというのが一番の希望でした。そのうえで、借りたお金はすぐに返す、慰謝料の請求については内容が分からないため判断ができない、ただ、Bさんとの関係を解消できるのであれば、請求額や請求の根拠次第では払うことも検討したいと考えていることが分かりました。

Aさんは、Bさんと直接のやり取りをすることは難しいと考えており、また、Bさんがすぐにでも家族に連絡をしてくるのではないかと不安になっていたことから、弊所で対応を引き取ることになりました。

相手方への連絡と対応

依頼を受けた後、早速Bさんに連絡をして、弊所がAさんの代理人になったこと、これ以降、AさんやAさんの家族に連絡をしないよう伝えました。また、Bさんからの請求について正確に把握するため、貸金の返還請求と慰謝料の請求それぞれについて、請求の根拠となる事実関係を説明いただき、証拠を出してもらえれば弊所で精査する旨伝えました。

Bさんは黙って聞いており、内容を理解した旨の回答があったため、Bさんからの連絡を待つことになりました。しかしながら、Bさんからなかなか連絡が来ませんでした。

暫くしてAさんから連絡があり、Bさんから家族に直接の連絡があったことを知りました。たまたまAさんも側に居たため、すぐに引き取ったようですが、弁護士を代理人に立てたにも関わらず、直接の連絡をされたことに大きな不安を感じておりました。

すぐにBさんに連絡をすると、Bさんも弁護士を立てるということを話されたので、弊所からは当該弁護士からの連絡を待つことを伝え、さらに、AさんやAさんの家族への連絡は厳に控えるよう改めて申し入れました。その後、Bさんの代理人弁護士から連絡が入ります。

示談交渉と合意書の締結

Aさんが借りた金額については、AさんとBさんの間で認識に相違はなかったことから、弁済スケジュールの調整だけで話が済みました。

他方、Bさんが主張していた慰謝料の請求について話を確認すると、過去にAさんと性交した際、故意に自分が嫌がる行為をされたとのことでした。具体的な内容を確認するも、Bさんの代理人は「嫌がる行為」としか説明しなかったため、Aさんに事情を確認すると、一度だけBさんが嫌がる行為をしたことが分かりました。

Aさんの認識を前提にすると、たしかにBさんは不快になったかもしれませんが、法的に違法な行為をしたとまでは言えないものでした。Bさんの請求を拒否することもできましたが、Aさんの意向は、とにかく早く終わらせたいというものであったため、少額ですが解決金を支払うこととしました。

ただ、今後、家族に連絡が来ることは絶対に避けたいというお考えがあったことから、解決金を払うのであれば、接触を禁止する条項を盛り込んだ合意書の作成を必須のものとすることになりました。

Bさんの代理人にAさんの考えを伝えると、早期に貸金の返還を受け、解決金の支払を受けられるのであれば合意できるとのことだったので、合意書を作成し、借入金及び解決金の支払をして、本件は終件となりました。

解決結果と弁護士のコメント

借入金:全額返済(弁済スケジュールの調整により分割払い)
慰謝料請求:法的義務なしと判断し、少額の解決金で解決
家族への接触:接触禁止条項を盛り込んだ合意書を締結

通常、不倫関係について弁護士が介入するのは、不倫をした配偶者や不倫相手に対する慰謝料請求や自身の配偶者や不倫相手の配偶者から慰謝料請求を受けた場面になろうかと思います。弊所でも上記のような不貞慰謝料請求や被請求の案件を数多くお受けしてまいりましたが、弊所の特徴として、不倫関係当事者における紛争も数多くお受けしているという点が挙げられるかと思います。

意外と多いのが、いわゆる手切れ金の問題です。不倫関係を解消しようとしたところ、お金を請求されたというご相談は多くございます。

結論から申し上げると、手切れ金を支払う法的な義務はありません。手切れ金を請求される場面で、相手方から、時間を返して欲しい、自分は本意ではなかったなど、感情に訴えかける話をされることがありますが、法的に慰謝料請求が認められる事情にはなりません。そのため、手切れ金を請求されても拒否をすれば足ります。

ただ、手切れ金の支払を拒否すると、相手方が感情的になり、不倫関係の事実を家族や職場に伝える、ネットで情報を拡散するといったような圧力をかけてくるようなこともあり、押し切られるまま支払ってしまうという方もいます。経営者や芸能に関わる方、教育関係に関わる方など、対外的なイメージを特に気にする方が高額な手切れ金を支払ってしまったというケースも多数ございました。不倫の事実を職場にばらすと言われた場合の具体的な対処法については「不倫相手から会社にバラされたくない!対処法を弁護士が解説」で詳しく解説しています。

上記のような不当な要求に対しては、警察を通じて対応するといった方法のほか、弁護士を窓口にして対応するという方法もございます。しかしながら、人の口に戸を立てることはできず、物理的なアクションがなされる可能性を0にすることはできません。特に感情的になった相手方は採算を度外視した行動に出ることも珍しくないところです。不倫関係解消の場面では、常に最悪の結果を想定していただき、覚悟をしていただく必要があると言えます。

不倫関係の解消に際しては、相手方の要求に対して安易に応じるような姿勢を見せることは避け、話が複雑化する前に弊所にご相談いただければと思います。不倫相手との別れ方について詳しくは「不倫相手と穏便に別れる5つの方法と別れを告げる時のポイント」で解説しています。