女性と食事に行っただけで、その女性の交際相手の男性から「妻と職場にバラす」と脅され、約40万円もの金銭を要求された既婚男性からのご相談です。当事務所が介入し、金銭を一切支払うことなく解決した経緯を紹介します。
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(ご相談前の状況)
食事に行っただけで約40万円を請求された事案
依頼者:既婚男性(インストラクター)
相手方:食事に行った女性の交際相手の男性
依頼者は、インストラクターとして活動しており、指導先の会員である女性と、複数回にわたり二人で食事に行くことがありました。性的な関係は一切なく、食事のみの間柄でした。
ところが、二人で食事をしている場面をその女性の交際相手の男性の知人に見られたことをきっかけに、男性から依頼者に連絡が入り、直接の話し合いを求められました。男性は女性と長年交際・同棲しており、女性は男性に経済的に依存している状況でした。
男性は依頼者に対し、「女性を家から追い出すからお前が責任を持て」「彼女が住む部屋を用意して家賃の面倒を見ろ」と、数ヶ月分の家賃相当額として約40万円の支払いを要求。さらに、「応じなければ妻と職場にバラす」「仕事を全部なくしてやる」「お前の家を探して嫁に話しに行ってやる」などと繰り返し告げました。
依頼者の職場や実家の住所、電話番号は相手方に知られており、依頼者は家族や職場への接触を強く恐れ、心身ともに疲弊した状態で当事務所に相談・依頼するに至りました。
弁護士の対応と解決への流れ
速やかな介入と警察への事前相談
本件は、性的な関係が一切ない食事のみの間柄であり、相手方と女性の関係の平穏を害するような行為も認められないことから、依頼者に金銭の支払い義務はないと判断し、支払い義務なしで争う方針としました。
また、依頼者の職場や実家が相手方に知られていたことから、万一相手方が押しかけてきた場合に備え、依頼者の関係先の最寄り警察署に対し、当事務所が介入する旨を事前に伝えておく対応もとりました。
相手方の住所が不明で調査には時間がかかるため、受任の翌日には電話により相手方へ介入通知を行いました。当職が相手方の言い分を直接聴き取ったところ、相手方は金銭の支払いがなくても、依頼者が女性側の関係者に今後関わらないことなどを条件に、合意書の作成に応じる姿勢を見せました。
そこで合意書案を作成し、相手方に内容を伝えたところ、相手方は一転して、当初の話に出ていなかった追加の条件を次々と持ち出すようになりました。当職からは、後から要求を積み増すような交渉には応じられないと明確に反論。依頼者とも協議のうえ、際限なく要求が拡大するおそれがあることから、あえて合意書の締結にはこだわらず、相手方に対して依頼者及びその関係者への接触を一切しないよう明確に警告したうえで、静観する方針に切り替えました。
その後は依頼者と定期的に連絡を取り、相手方からの接触の有無を継続的に確認しましたが、警告以降、相手方から依頼者・当事務所のいずれにも連絡はなく、約4ヶ月にわたり平穏な状態が続いたことを確認して、事件を終結としました。
解決結果と弁護士のコメント
解決結果
- 約40万円の金銭要求に対し、支払い義務がないことを明確に主張
- 金銭を一切支払うことなく解決(支払いゼロ)
- 警察署への事前相談により、職場・実家への接触リスクにも備えた体制を構築
- 警告後、相手方からの接触は途絶え、約4ヶ月間平穏な状態が継続したことを確認して終結
担当弁護士からのコメント
「不倫がバレた」わけでもないのに、食事に行っただけの相手の交際相手や配偶者から、高額な金銭を要求されるトラブルは実際に起きています。性的な関係がなく、相手方カップルの関係の平穏を害するような行為もない場合、慰謝料等の支払い義務は認められない可能性が高く、「バラされたくなければ払え」という要求はむしろ恐喝罪(刑法第249条)や脅迫罪(刑法第222条)に該当しうる行為です。
また、本件のように、いったん合意できそうな流れになっても、相手方が次々と条件を釣り上げてくるケースでは、無理に合意書の締結を目指すことがかえって不利益になる場合もあります。相手方の出方を見極めながら、合意による解決と、明確な警告のうえでの静観とを柔軟に使い分けることが重要です。あわせて、職場や自宅への接触が懸念される事案では、警察へ事前に相談しておくことも有効な備えとなります。
身に覚えのない、あるいは不当に高額な金銭要求や、「家族や職場にバラす」といった脅しにお悩みの方は、一人で交渉を続けず、早めに弁護士へご相談ください。
