※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

事案の概要(相談前の状況)

依頼者:Aさん(女性・40代)
状況:交際相手が18年間もの間、未婚を装っていた

Aさんは長年交際関係にあるBさん(男性)がいました。Bさんとは18年前に知り合い、交際をスタートしました。

交際期間中、Aさんは何度かBさんの子を妊娠することがありましたが、Bさんから「今ではない」と言われ諦めた過去があります。また、Bさんとの結婚を考え、結婚をしたいと伝えたこともありましたが、Bさんからは妊娠の時と同様に「今、結婚するつもりはない」と言われ諦めていました。

BさんはAさんの実家にも訪れ、年老いたAさんの母親がAさんの将来を案ずる様子を見て、将来幸せにするつもりがあると話していました。

交際期間が長くなり、Aさんは将来への不安を募らせますが、そんなAさんの様子を見てか、Bさんは婚姻届を持参のうえ、必要事項を記載し、「いつでも提出することはできるが、もう少し待って欲しい」と言うこともありました。Aさんに不安はありましたが、Bさんのそんな態度を見て、将来、Bさんと結婚することになるのだろうと考えていたようです。

そんなある時、Bさんが既婚者ではないかという情報がAさんの耳に入ってきます。AさんがBさんを問いただすと、Bさんは既婚者であることを認めたうえ、「言えなかった、でもAさんを幸せにするつもりはある」とだけ話しました。

Aさんは20代からの長い時間をBさんの嘘によって奪われ、しかも、子どもを何度も諦めた過去があったことから、深く傷つきました。

Bさんは、Aさんに対して、改めて記載済の婚姻届を差し入れたうえ、過去に未婚であると嘘をついていたこと、今後、Aさんを幸せにすることを約する誓約書を作成しました。しかしながら、誓約書を作成した後、AさんはBさんが家族と住むための新居を購入したことを知ります。

Aさんは強い憤りを感じ、弊所に相談に来られました。

弁護士の対応と解決への流れ

Aさんから時系列で、現在までの事実経過を伺いました。最初にAさんに確認をしたのは、長期間にわたりBさんが既婚者であると気づかなかったのかという点でした。

Aさんからは、Bさんの家に行こうとしても拒否されるし、年末年始などの長期間の休みは会うことができていなかった、その間は家族と過ごしていたのかもしれないが、当時は仕事が忙しいと聞いていたし、あまり深くプライベートに踏み込んで嫌われるのも怖かったので、あまり考えずにいたとのことでした。

妊娠が発覚した時、Bさんから諦めるよう言われたが、「将来幸せにするから安心して」と言われていたり、Aさんの親にも挨拶に来たりするなど、とても既婚者であるとは思えない行動だったので、信じてしまったようです。

次に、Bさんが差し入れた誓約書を確認しました。誓約書には、長期間にわたって未婚であると騙していたことを認め、今後、Aさんを幸せにすると書いてあったものの、過去の行為について、慰謝料を支払うといった条項はありませんでした。

そこで、Aさんに意向を確認すると、今となって冷静になり、自分は結婚や出産の機会を奪われたにもかかわらず、他方でBさんが結婚生活を楽しんでいることは納得がいかない、きちんと慰謝料を払って欲しいというものであることが分かりました。直接Bさんと話をすることは困難であるとのことだったので、弊所で対応を引き取ることになりました。

弊所からBさんに連絡をすると、弁護士から連絡が来るとは思っていなかったのか、かなり狼狽えていました。誓約書の内容に触れ、18年間も未婚であると装っていたBさんの行為について、Aさんは損害賠償請求をしたいと考えていることを伝えると、Bさんも自身の責任を自覚していたようで、責任は取るつもりでいるとの回答がありました。

そのうえで、Bさんから、弁護士を立てずに自分で対応するつもりなので、自宅には連絡をしないで欲しいと強く申入れがありました。家族には知られたくないと考えていたようです。そのため、電話や書面のやり取りではなく、一度、弊所に来てもらって具体的な話を詰めることになりました。

Bさんに弊所に来てもらい、BさんがAさんから奪ったものの大きさやAさんの人生に及ぼした影響を説明し、解決金の支払を請求しました。Aさんの意向は、18年間という期間を考えると最低でも1000万円は支払ってもらわなければ納得ができないというものであったので、その旨をBさんに伝えると、分割になるが1200万円を支払うというBさんの回答がありました。

合意書を作成し、実際に取り交わしをしたうえ、金額が大きく、支払期間も長かったため、公正証書にすることとしました。

しかしながら、合意書を取り交わした後、公正証書の作成準備を進めていたのですが、急にBさんと連絡が取れなくなってしまいました。分割金の1回目の支払日が来ても支払がなく、弊所からの連絡にも全く反応が無くなってしまったのです。

訴訟に移行せざるを得ないと考え始めた矢先、Bさんに代理人弁護士が就きました。Bさんの弁護士は、合意書を取り交わしたことは把握しているが、Bさんには1200万円も支払うお金がないと連絡をしてきました。

AさんにBさんの弁護士の回答を伝えると、また騙されてしまったと深く傷つきましたが、Bさんが新居を建てたばかりであることを思い出し、強制執行になっても構わない、逃げ得は許したくないとのことで、訴訟を提起することになりました。

訴訟では1200万円の合意に基づき履行を求めましたが、裁判所から金額が大きいとの心証開示があり、金額について譲歩せざるを得ない状況でした。裁判所の仲立ちで和解に向けた交渉を続けた結果、400万円を短期間に支払うという内容で和解することができました。

その後、Bさんから解決金の支払があり、本件は終件となりました。

解決結果と弁護士のコメント

請求額:1000万円以上 ➡ 合意額:1200万円(分割) ➡ 最終解決金額:400万円(短期一括)
解決方法:訴訟上の和解

弊所では男女トラブルに関するご相談・ご依頼を多数お受けしてまいりましたが、最近、交際相手が既婚者であることを隠していたという問い合わせが増加しております。

交際相手が家に招いてくれない、職場の人間や友人に会わせてくれない、週末や年末年始などの休みの日になると会えなくなるといった不審な点に加え、SNSで配偶者や家族と思われる人物との写真や動画が投稿されていたといった出来事をきっかけにご相談に来られます。

マッチングアプリなど、相手方の身元を十分に把握しないまま交際をスタートすることが当たり前になってきたことから、同様の相談が増加しているという背景もあるでしょう。

既婚者であることを隠したまま、性的行為を伴う交際関係を続けた場合、事情によっては損害賠償責任を負う可能性があります。また、交際相手との間で法的紛争になるのみならず、配偶者に知られれば、離婚に発展する可能性もあります。婚外での交際相手を探すことは大きなリスクがあることを十分に留意する必要があるでしょう。既婚者に騙された場合の慰謝料請求については「騙された!彼氏が結婚してたなんて…精神的苦痛で慰謝料請求できる?」で詳しく解説しています。

本件では、18年間という長期間にわたり、未婚であると装い、その間、何度も妊娠と中絶を繰り返させたという非常に重い事案でした。最終的に400万円の解決金を支払ってもらえましたが、失った時間は戻ってきませんし、お金を支払ってもらうことで必ずしも気持ちが晴れるという訳でもありません。

事後的な対応となれば、どうしても限界が出てきてしまいます。自衛のためにも、交際の相手方について、信用に足る人物であるのかどうかを慎重に見極めるようにしていただきたいと思います。交際相手が既婚者かどうかを見分けるポイントについては「彼氏が既婚者な気がする!既婚男性の12の特徴をチェック」もあわせてご確認ください。

万が一、相手方の言動に不審な点があり、既婚者なのではないかと感じたときは、弊所までご相談ください。