※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

事案の概要(ご相談前の状況)

依頼者(女性)は、SNSでライブ配信を行う配信者(ライバー)として活動していました。相手方の男性はもともと依頼者の配信のリスナーで、投げ銭などで応援してくれる存在でしたが、やがて交際に発展しました。

しかし関係が悪化し、依頼者が別れを切り出したところ、相手方は「別れるなら交際費用を返せ」として、旅行代やプレゼント代など約300万円の返金を要求してきました。さらに、依頼者が活動上の事情から交際を周囲に秘密にしていたことにつけ込み、「別れるなら交際の事実を拡散する」と脅すようになりました。

配信者にとって、私生活の暴露は活動の継続に直結する深刻な脅威です。依頼者は金銭請求と暴露の脅しの板挟みとなり、当事務所にご相談いただきました。

弁護士の対応と解決への流れ

受任後、速やかに相手方へ受任通知を郵送しました。受任通知では、依頼者への一切の連絡・接触の禁止、交際に関する情報のSNS等での口外禁止を求め、違反した場合は刑事・民事の法的手続をとる旨を警告しました。あわせて、相手方から預かっていた鍵を返却し、関係解消の意思を明確に示しました。

その後しばらく相手方からの動きはありませんでしたが、依頼者が休止していた配信を再開したところ、相手方が別のアカウントで配信を視聴しながら、自身のアカウントで配信音声を無断で流す「ミラー配信」を行い、依頼者の行動を監視していることを誇示する行為に出ました。さらに、他の配信者らに対して依頼者との交際をほのめかす発言を吹聴していることも判明しました。

これを受けて、当事務所から相手方へ最終警告を送付しました。ミラー配信による監視行為がストーカー規制法違反およびプライバシー侵害に該当することを指摘し、今後違法行為が認められた場合は予告なく刑事申告を行う旨を通告しました。この最終警告により相手方の行為は止まり、依頼者は金銭を一切支払うことなく事件は終結しました。

解決結果と弁護士のコメント

  • 約300万円の金銭請求に対し、一切支払うことなく解決
  • 交際事実の暴露・拡散を阻止
  • ミラー配信等の監視・嫌がらせ行為を最終警告により停止させ終結

交際関係の解消に際して、交際中に負担した費用の「返金」を求められるケースは少なくありませんが、交際中のデート代やプレゼントは原則として贈与であり、法的な返還義務は認められないことがほとんどです。「別れるなら金を返せ」という要求は、暴露の脅しとセットになっている場合、恐喝に該当する可能性すらあります。

また、本件のように配信者・インフルエンサーなど、活動と私生活の切り分けが重要な職業の方にとって、交際事実の暴露やSNS上での監視行為は深刻な営業妨害となります。ミラー配信のような一見グレーに見える行為も、状況によってはストーカー規制法違反やプライバシー侵害として法的に対処できます。

本件では、合意書の締結には至らなかったものの、受任通知と最終警告という段階的な圧力により、訴訟等の手続をとることなく相手方の行為を止めることができました。「別れた相手から金銭を要求されている」「暴露をほのめかされている」という方は、早めにご相談ください。