マッチングアプリで知り合った交際相手と同居していた依頼者が、交際解消をきっかけに「400万円を返せ」「荷物を引き取れ」などと一方的に要求されたご相談です。当事務所が受任通知の送付と本人対応にあたった結果、相手方からの実質的な請求が止まり、解決に至った経緯を紹介します。
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(ご相談前の状況)
交際解消時に400万円を請求された事案
依頼者:男性
相手方:交際していた女性
依頼者は、マッチングアプリを通じて知り合った女性と交際するようになりました。相手方から「一人では生活が大変」「仕事を辞めてこちらへ来てほしい」「生活費は自分が負担する」などと言われたことから、依頼者は勤務先を退職し、自身の持ち家を離れて相手方の自宅で同居を始めました。しかし、当初約束されていた生活費の支払いは実際には受けられず、依頼者の手元にはその証拠も残っていませんでした。
同居先には、相手方が以前の家族関係から引き継いだ広い土地や倉庫、大量の残置物があり、依頼者はその整理や造成作業などを自ら費用を負担して行っていました。作業に対する謝礼を支払うという口約束もありましたが、実際に支払われることはありませんでした。
さらに、依頼者宛てに別件の督促状が届いたのを相手方に見られたことをきっかけに、相手方が一時的に肩代わりする形で立替払いをする事態となりましたが、その数日後、相手方は一転して「立て替えた分も含めて一括で返済しろ」と要求するようになり、口論の末に関係は破綻しました。相手方からは「400万円を返せ」「本日中に親族か代理人から連絡させろ」「借用書を書け」「荷物を引き取れ」などと、矢継ぎ早に要求が寄せられるようになりました。
引き取りを求められた私物はトラックが必要なほどの分量にのぼり、依頼者が飼育していたペットも含まれていました。依頼者はすでに転居先での新しい就職も決まっており、実家に事情を知られたくないという思いもあって、自分では対応しきれず当事務所に相談・依頼するに至りました。
弁護士の対応と解決への流れ
受任通知の送付と交渉の経緯
受任後、直ちに相手方に対し、内容証明郵便及びレターパックにより受任通知を送付しました。以後の窓口を当職に一本化するとともに、法的な根拠が確認できない請求には応じられない旨を明確に伝えています。
相手方からは一度、書面による回答が寄せられましたが、その後およそ1ヶ月にわたり連絡が途絶えました。相手方がペットの飼育費用等を請求する姿勢を見せていたこともあり、あらためて念押しの書面を送付しています。
これに対し、相手方に弁護士が就任し、相手方が占有している車両等について留置権を主張し、返還と引き換えに金銭の支払いを求める旨の連絡がありました。当職からは、相手方が一方的に依頼者の生活の場を離脱させる形で占有を開始した経緯を指摘したうえで反論し、相手方が主張する費用の内訳をまず明らかにするよう求めています。
その後まもなく相手方の代理人は辞任し、当事務所から改めて相手方本人宛てに書面を送付したところ、相手方は「書面は見た。調停でも訴訟でもすればいい」「警察に申告してもらって構わない」と一方的に述べるのみで、以後、実質的な請求や交渉の動きは見られなくなりました。
なお、依頼者からは、別途、自身名義の車両を相手方が占有し続けていることや、ペットの取り扱いについても相談がありましたが、これらは今回ご依頼いただいた交渉の範囲を超える事項であったため、車両については別途民事上の手続が必要になりうること、ペットについては事情によっては恐喝罪や動物愛護管理法違反に該当しうることから、警察への相談も検討いただくようお伝えしています。 相手方からの連絡が途絶えて一定期間が経過したことを踏まえ、いったんの対応区切りとしましたが、万一相手方から再度連絡があった場合に備え、その後も一定期間は追加費用なく代理人として対応を継続できる体制としています。
解決結果と弁護士のコメント
解決内容
- 内容証明郵便による受任通知を送付し、相手方からの直接請求を遮断
- 法的根拠が確認できない400万円の請求や借用書作成の要求について明確に拒否
- 相手方代理人からの留置権主張に対し、占有に至った経緯を踏まえて反論
- 相手方からの実質的な請求・交渉の動きが止まり、約3ヶ月間連絡のない状態が継続
担当弁護士からのコメント
交際関係の解消にあたり、相手方から一方的に高額な金銭の返還や借用書の作成、私物の即時引き取りなどを求められるケースは少なくありません。もっとも、口頭でのやり取りがあったというだけで法的な貸し借りの合意が直ちに成立していたと認められるわけではなく、金銭の返還を求める側が、その根拠を示す必要があります。
また、相手方の自宅に依頼者の私物や車両が置かれたままになっている場合、相手方が一方的にその返還を拒んだり、金銭の支払いと引き換えにしようとしたりすることがありますが、占有に至った経緯によっては、こうした主張が認められない場合もあります。ペットのように命あるものが交渉の材料として扱われるようなケースでは、民事の枠組みだけでなく、刑事上の問題として警察へ相談することも有効な選択肢の一つとなり得ます。 交際解消をめぐる金銭トラブルや、相手方からの一方的な要求にお悩みの方は、お一人で対応を続けず、早めに弁護士へご相談ください。
