マッチングアプリで知り合った相手との口論をきっかけに、「奥さんに伝える」と脅されて対応に窮していた既婚男性からのご相談です。当事務所が受任通知を送付して対応した結果、相手方からの連絡は途絶え、配偶者に知られることなく解決した経緯を紹介します。

※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

事案の概要(ご相談前の状況)

マッチングアプリの相手から恐喝された事案

依頼者は、マッチングアプリで知り合った女性と直接会うことになり、自身が既婚者であることを伝えたうえで、自宅で二人で過ごすことになりました。

その夜、依頼者が性的な関係を求めたところ女性に拒否され、口論に発展しました。険悪な雰囲気の中で依頼者が女性の体に同意なく触れてしまう場面もあり、女性はさらに態度を硬化させ、深夜に一人で自宅へ帰っていきました。

翌日以降、女性はメッセージアプリを通じて依頼者に対し、「今回のことを友人を介して奥さんに伝える」という趣旨の連絡をしてきました。女性は依頼者の妻の名前や勤務先まで把握している様子で、実際に伝えられてしまうのではないかと、依頼者は強い不安を抱えるようになりました。

夜も眠れないほど思い悩んだ依頼者は、自分ではどう対応してよいか分からず、当事務所に相談し、そのまま依頼するに至りました。

弁護士の対応と解決への流れ

受任通知の送付と交渉

受任にあたり、まず依頼者から当日の出来事を時系列で詳細に聴取しました。飲酒の経緯、口論に至った具体的なやり取り、体に触れた行為の有無などを一つずつ確認したうえで、女性からの要求が法的にどのように評価されるかを検討しています。

女性からの要求は金銭を求めるものではありませんでしたが、「秘密を暴露する」と告げて義務のないことをさせようとする点で、強要罪や脅迫罪に該当しうる内容でした。もっとも、依頼者側にも同意のない接触という落ち度があったため、相手方を一方的に非難する内容ではなく、双方が歩み寄れるよう配慮した文面で受任通知を作成することにしました。

受任通知には、次のような内容を盛り込み、女性へ送付しました。

  • 当職が依頼者の代理人に就任したこと
  • 依頼者の妻や第三者に本件の内容を伝える行為は、依頼者の妻の平穏な婚姻生活を侵害するものとして、依頼者の妻から女性に対する損害賠償請求の対象となりうること
  • 今後の連絡は依頼者本人ではなく当職宛てに行うよう求めること

通知送付後は女性からの反応を注視しつつ、依頼者に対しては定期的に進捗を報告し、女性から直接連絡があった場合にはすぐに知らせるよう伝えておきました。その後、約3ヶ月にわたり女性から当事務所・依頼者のいずれにも接触はなく、平穏な状態が継続していることを確認し、事件を終結としました。

解決結果と弁護士のコメント

解決内容

  • 受任通知を送付し、女性からの要求が恐喝罪等に該当しうる旨を明確に警告
  • 依頼者の妻や第三者への接触・連絡を控えるよう申し入れ
  • 通知後、女性からの連絡は途絶え、以後一切の接触がないまま経過
  • 依頼者の妻に本件が知られることなく、平穏に終結

担当弁護士からのコメント

今回のように、性的な関係を求めて断られた後に、「配偶者に伝える」などと告げて何らかの行動や金品を要求してくるケースは、恐喝罪(刑法第249条)や強要罪(刑法第223条)に該当しうる行為です。たとえ依頼者側に落ち度があったとしても、それを理由に相手方が違法な手段で要求を通そうとすることまで正当化されるわけではありません。

一方で、依頼者側に非のある行為があった場合、感情的な対応や一方的な反論は、かえって相手を刺激し、トラブルを長期化・悪化させる原因になりかねません。本件でも、相手方の要求が抱える違法性を指摘しつつ、依頼者側の落ち度にも一定程度配慮した内容の通知とすることで、相手方を過度に刺激することなく沈静化につなげられたと考えています。

「妻や家族に発覚するのではないか」という不安は、一人で抱え込むほど夜も眠れないような深刻な精神的負担につながります。同種のトラブルでお悩みの方は、できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください。