ホテヘルの利用中に盗撮が発覚し、免許証と健康保険証を店舗に預けたうえ、反省文や誓約書に署名させられた男性からのご依頼です。弁護士が交渉窓口となり、身分証の返還を受けたうえで、キャスト2名および店舗との間で示談金100万円による示談を成立させた経緯を紹介します。

※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

事案の概要(ご相談前の状況)

盗撮が発覚し、免許証と健康保険証を店舗に預けさせられた

ご依頼者は、関東地方にお住まいの男性です。ホテヘル型の風俗店を利用した際、サービス中にキャストを無断で撮影していました。撮影していることにキャストが気づき、その場でサービスが中断されて、店舗に連絡が入ります。

ご依頼者は店舗に呼び出され、免許証と健康保険証を預けることになりました。さらに、スマートフォンから削除していたデータを復元させられ、反省文と誓約書を作成させられます。その過程で、過去の利用の際にも同様の撮影行為があったことが判明し、2件の撮影について認める書面に署名しました。

店舗からは、警察に届け出るかどうかはキャスト本人の判断次第であると告げられます。ご依頼者から示談を申し入れましたが、具体的な条件は決まらないまま、翌日にあらためて店舗へ出向く段取りになっていました。

身分証を預けたままの状態では、住所も勤務先も相手方に把握されていることになります。家族や職場に知られてしまうのではないか、刑事事件になってしまうのではないか。強い不安を抱えたご依頼者は、翌日の来店を前に、当事務所にご相談くださいました。

弁護士の対応と解決への流れ

受任当日に介入して身分証の返還を求め、示談の成立まで

ご相談を受けた当日に受任し、その日のうちに弁護士から店舗へ連絡を入れ、受任通知を送付しました。これにより、ご依頼者が一人で店舗へ出向く事態を回避しています。

弁護士がまず取り組んだのは、身分証の返還でした。トラブルの解決までの担保として身分証を預かり続けることは、法的に問題となり得ます。弁護士からその点を指摘して返還を求めた結果、店舗から免許証と健康保険証の返還を受け、ご依頼者にお返しすることができました。

示談交渉は難航しました。ご依頼者が用意できる金額と相手方の求める水準には大きな隔たりがあり、協議は平行線をたどります。その後、キャストと店舗の側も弁護士を選任したため、以後は代理人同士での交渉となりました。

弁護士は、ご依頼者の支払能力を丁寧に説明しつつ、支払いを複数回に分ける方法を提案するなどして、双方の隔たりを詰めていきました。その結果、キャスト2名および店舗との間で、示談金100万円を3回に分けて支払う内容の示談書を締結するに至っています。

示談金は、いずれも当事務所の預り金口座を経由して相手方代理人の口座へ送金し、合意のとおり全額の支払いを完了しました。ご相談から示談書の締結まで約3ヶ月半、支払いの完了までを含めると約5ヶ月を要しましたが、ご依頼者が相手方と直接やり取りをすることは一度もありませんでした。

解決結果と弁護士のコメント

解決内容

  • 店舗に預けていた免許証と健康保険証の返還を受けた
  • キャスト2名および店舗との間で、示談金100万円による示談が成立
  • 支払いを3回に分けることで、一括では支払えない状況に対応
  • 示談金は当事務所の預り金口座を経由して送金し、履行を確認
  • 当事務所の介入後は、ご依頼者が相手方と直接やり取りする必要は一切なし

身分証を預けるよう求められたら

まず前提として、相手の承諾を得ずに撮影する行為は、性的姿態等撮影罪などに当たり得る重大な犯罪であり、決して行ってはなりません。撮影された側にとっては、生活や就労にも影響しかねない深刻な被害です。

そのうえで申し上げると、トラブルの現場で「身分証を預けてほしい」と求められることがありますが、これに応じるべきではありません。身分証を渡してしまえば、住所も勤務先も相手方に把握され、交渉において著しく不利な立場に置かれます。すでに預けてしまった場合でも、返還を求められる場合がありますので、あきらめずにご相談ください。

また、本件のように、被害を受けた方が複数いることもあります。その場合は、全員との間で解決しておかなければ意味がありません。一部の方とだけ示談を成立させても、残りの方から別途請求を受けたり、被害届を提出されたりするリスクが残るためです。誰と誰との間で、何について解決したのかを、書面で明確にしておく必要があります。

示談金についても、その場の勢いで支払能力を超える約束をしてしまうと、後に支払えなくなり、かえって紛争が長引きます。金額だけでなく、支払いの時期や回数を含めて交渉する余地がありますので、書面に署名する前にご相談ください。

当事者同士のやり取りでは、相手方のペースで話が進んでしまいがちです。弁護士が窓口となることで、依頼者が直接対峙することなく、必要な条件を整えたうえで、書面による確定的な解決を図ることができる場合があります。風俗店とのトラブルで身分証を預けてしまった方、示談を求められている方は、お一人で抱え込まず、早めに当事務所までご相談ください。