1.IPアドレスとは
IPアドレス(Internet Protocol Address)とは、インターネットに接続されている機器にそれぞれ割り振られている数字です。ネット上でデータのやり取りをするときに、通信する相手を正しく判別するために利用されます。
個々のパソコンやスマートフォンにそれぞれ異なるIPアドレスが割り当てられており、ネット上の「住所」の役割を果たしています。
たとえば「172.84.214.56」などの表記になります。
2.IPアドレスとネット誹謗中傷
IPアドレスは、ネット誹謗中傷案件において「投稿者の特定」の際に大きな意味を持ちます。
IPアドレスが判明すると、相手の利用機器を判別できて、そこから相手の利用している「プロバイダ」を特定できるからです。プロバイダがわかれば、プロバイダに「発信者情報開示請求」を行うことにより、投稿者本人の氏名や住所、電話番号などの個人情報を開示させることが可能となります。
投稿者のIPアドレスは、通常、投稿が行われたネットサイトの管理者が把握しています。まずはサイト管理者に相手のIPアドレスの開示を求めるところから犯人の特定作業が始まります。
サイト管理者が任意にIPアドレスを開示しなければ、仮処分によって強制的に開示させます。
3.ログとは
ログとは、コンピュータの稼働状況やサーバーへのアクセス状況などの履歴を記録したものです。
プロバイダは、契約者がどこかのサイトにアクセスした際にすべて「ログ(記録)」をとっています。ログを解析すると、ユーザーによるWebサーバーへのアクセス状況や不正アクセスの兆候、サイトの問題点などを発見できます。
ただユーザーに関するログは膨大なので、プロバイダがすべてのログを永続的に保管するのは不可能です。アクセスがあってから3か月~6か月程度でログは順次消去されていきます。
4.ネット誹謗中傷とログ
ネット誹謗中傷において、ログは非常に重要です。ログが消去されてしまったら、プロバイダに対して「投稿者の情報」の開示を求めても、記録がないために開示して貰えなくなるためです。
特に発信者情報開示の訴訟をする際には通常数か月かかるので消去されるリスクが高まります。そこでプロバイダに発信者情報開示請求をする際には、事前にログを消去されないように「ログ保存の仮処分」を行います。
ネット誹謗中傷の犯人を特定するには、まずはサイト管理者にIPアドレスの開示を求め、その後プロバイダにログ保存の仮処分を行った上で発信者情報開示請求を進めます。素人の方には分かりづらく難しい手続きもあるので、弁護士までお任せ下さい。