誹謗中傷における損害賠償請求・慰謝料請求(基礎知識)

目次

1.損害賠償請求と慰謝料の関係

ネット誹謗中傷の被害に遭ったら、投稿者に「損害賠償請求」や「慰謝料請求」できる可能性があります。

1-1.損害賠償請求とは

損害賠償請求とは、相手から不法行為を受けて損害が発生した際に、加害者に賠償金を請求することです。

不法行為とは、故意や過失にもとづく違法行為によって被害者に損害を発生させる行為です。不法行為をしたら、加害者は被害者に対して発生した損害の賠償をしなければなりません。

このとき賠償すべき損害には、物の修理費用やけがの治療費、失われた収益や慰謝料などの不法行為と関連するあらゆる損害が含まれます。

ネットでよくある名誉毀損やプライバシー権侵害の行為も「不法行為」の1種です。

誹謗中傷されると被害者は以下のような損害を受けます。

  • 店舗や会社の売上げ低下の損害
  • 精神的損害

そこで被害者は加害者に対し、発生した上記の損害の賠償を求めることができます。

1-2.慰謝料とは

一方慰謝料は「精神的損害に対する賠償金」です。相手の不法行為によって受けた損害のうちでも、特に「精神的損害」についての損害賠償金のみを「慰謝料」と言います。店舗の売上げ低下分や治療費、物の修理費用などの損害などは精神的損害ではないので慰謝料ではありません。

先ほど説明したように、損害賠償金は慰謝料だけではなく店舗の売上げ低下分の損害などもすべて含みます。つまり慰謝料は「損害賠償金」に含まれるものであり、損害賠償金の一部です。

個人の名誉毀損やプライバシー権侵害の事案の場合には、売上げ低下などの実損が発生しないので、相手に請求できる賠償金は通常慰謝料のみとなります。

2.損害賠償金や慰謝料の請求方法

ネット上で誹謗中傷被害を受けたとき、加害者に慰謝料や売上げ低下分などの損害賠償金を求めるためには、まずは相手を特定する必要があります。

ネット上の投稿は通常匿名で行われており、相手が誰か不明なままでは損害賠償請求を進められないためです。

サイト管理者やプロバイダに対して発信者情報開示請求を進め、必要な情報を獲得します。

投稿者の情報が明らかになったら、判明した投稿者に対して内容証明郵便を送付して損害賠償請求(慰謝料請求)を求め、相手と話し合って合意ができれば合意書を作成して賠償金や慰謝料の支払いを受けます。

話し合いに応じない相手や話し合っても合意ができない相手であれば、損害賠償請求訴訟を起こして責任を追及し、裁判所から賠償金や慰謝料の支払い命令を出してもらいます。

ネット誹謗中傷被害を受けたとき、被害者が一人で損害賠償請求や慰謝料請求を行うのは困難なケースが多いです。弁護士がサポートしますので、お困りでしたらご相談下さい。

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