1.刑事告訴とは
刑事告訴とは、犯罪被害者が捜査機関に対して加害者の処罰を求める意思表示です。
犯罪が行われたとき、被害者が警察に申告しない限り警察は犯罪があったことを把握できないケースも多々あります。被害者が申告することによって警察が犯罪事実を把握し、捜査を開始したり犯人を逮捕したりできます。
このとき被害者が警察に被害を申告する方法として「被害届」と「刑事告訴」があります。
被害届は、単純に「被害があったことを申告するだけ」の手続きです。
一方刑事告訴は「積極的に犯人を厳重に処罰してほしい」という意思表示です。そこで刑事告訴の方が被害届よりも「重い」ものとなり、捜査機関としても刑事告訴を受理したら、捜査を開始する必要があります。
ただどのような案件でも刑事告訴を受理してもらえるわけではなく、受理させるには一定の根拠や資料が必要です。
2.刑事告訴があると加害者の刑が重くなる
被害者が刑事告訴をしたということは、被害者が犯人に対して強く処罰を望んでいるということを意味します。
そこで刑事告訴があると加害者の刑事事件における情状が悪くなり、処分が重くなる傾向にあります。
たとえば刑事告訴されたまま起訴前に示談できなければ起訴される可能性が高まりますし、判決まで刑事告訴が取り下げられていなかったら実刑判決になったり刑期が長くなったりします。
相手に重い罰を与えたい場合、刑事告訴は有効です。
3.親告罪とは
犯罪の分類として「親告罪」があります。親告罪とは、「被害者による刑事告訴がないと処罰されない犯罪」です。
つまり親告罪の被害に遭った場合には、警察に告訴をしないと捜査も開始されませんし、逮捕もしてもらえません。相手に刑事的なペナルティが与えられないのです。
親告罪のケースでは「被害届」を出しても、警察が動かないので注意が必要です。
4.ネット誹謗中傷と刑事告訴
ネット誹謗中傷の被害を受けた場合にも刑事告訴すべき場面があります。
たとえば名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪なので、刑事告訴しないと相手を処罰してもらえません。
相手に処罰を与えてほしい場合には、発信者情報開示請求によって投稿者を特定したら、名誉毀損罪や侮辱罪にもとづいて刑事告訴をしましょう。
一方業務妨害罪は親告罪ではないので刑事告訴がなくても犯人が逮捕される可能性がありますが、告訴すると処罰意思が明確になって相手に対する処罰が重くなる可能性が高くなります。警察に犯罪事実を知らせる意味でも刑事告訴すると良いでしょう。
告訴状の作成や提出を弁護士に任せるとスムーズに受理されやすくなるので、お気軽にご相談ください。