SNSで案内されたメンズエステの「無料体験」を利用した際、施術中の行為について不同意わいせつを主張され、その場で150万円の示談書に署名させられたご依頼者。支払期限の2日前に受任した弁護士が受任通知を送付し、支払うことなく請求が止まった経緯を紹介します。

※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

事案の概要(ご相談前の状況)

メンズエステの「無料体験」で示談書への署名と身分証の撮影を強いられ、150万円を指定場所に持参するよう要求される

関東地方在住の20代男性からのご相談です。ご依頼者は、SNSでメンズエステの無料体験の案内を見て申し込み、指定された待ち合わせ場所から非通知の電話で別の場所へ誘導され、マンションの一室で施術を受けることになりました。入室後、最初に誓約書への署名を求められ、施術が始まりました。

ご依頼者によれば、施術中にキャスト側から際どいサービスがあり、「愛情表現をしてほしい」と求められたことから、施術の範囲を超えてキャストの身体に触れる行為に及んでしまったとのことでした。キャストが嫌がる様子を見せたため、ご依頼者はすぐにやめて謝罪し、部屋を出ました。

ところが、マンションを出たところで男性が待ち構えており、「女の子が嫌がっているから金を払え」と告げられました。ご依頼者は、財布の中身を確認され、近くのコンビニで口座残高やクレジットカードの利用可能額を確認させられ、身分証の写真も撮影されたうえで、150万円を支払う旨の示談書に署名させられました。その場では口座に残高がなかったため支払いには至りませんでしたが、数日後に指定場所へ現金を持参するよう要求されました。

店舗には公式サイトがなく、やり取りはSNSのアカウントと非通知の電話のみで、ご依頼者から連絡を取る手段もありませんでした。支払期限が迫るなか、ご依頼者は当事務所にご相談いただきました。

弁護士の対応と解決への流れ

支払期限の2日前に受任し、示談書は無効である旨の受任通知を相手方に送付

ご相談当日に受任した弁護士は、まず事実関係を詳細に聴き取り、ご依頼者が署名した示談書の経緯や、相手方とのやり取りの記録(SNSのアカウント情報等)を確認しました。そのうえで、相手方への連絡が取れない状況に備え、受任通知の内容を準備しました。

支払期限当日、ご依頼者のもとには相手方から電話やメッセージが届きましたが、弁護士の指示に従い、ご依頼者が直接応じることはありませんでした。

弁護士は相手方の電話番号に架電しましたが応答がなかったため、受任通知をメッセージで送付しました。通知では、当事務所がご依頼者の代理人に就任したこと、ご依頼者の意思に反して署名させられた示談書は無効であり150万円の支払いには応じられないこと、相手方担当者の行為によっては警察への通報や訴訟提起等の法的手続も辞さないこと、今後の連絡はすべて当事務所に行い、ご依頼者本人への接触は控えることを通知しました。

受任通知の送付後、相手方からご依頼者や当事務所への連絡はなく、請求は止まりました。弁護士はその後も状況を確認し、相手方からの接触がないまま一定期間が経過したことから、受任から約2か月で終件としました。ご依頼者が支払った金銭はありません。

解決結果と弁護士のコメント

解決内容

  • 150万円の示談書に署名していたが、支払い0円で終結
  • 受任通知の送付後、相手方からの請求・接触が停止
  • 支払期限の2日前の相談から即日受任し、期限当日の直接対応を回避
  • 弁護士が窓口となり、非通知の電話やSNSからの接触に依頼者本人が応じる必要がなくなった
  • 受任から約2か月で終結

その場で署名した示談書に必ず従わなければならないわけではありません

まず前提として、メンズエステで施術の範囲を超えてキャストの身体に触れることは行うべきではありません。キャスト側から誘いがあったと感じた場合でも、施術の範囲外の行為に及べばトラブルの原因となります。

一方で、本件のように、財布の中身や口座残高を確認され、身分証を撮影されたうえで署名した示談書については、ご本人の自由な意思に基づくものとはいえない場合があります。そのような状況で署名した示談書は、強迫による意思表示として取り消すことができる場合や、内容が公序良俗に反するとして無効とされる場合があり、署名したからといって必ず支払わなければならないわけではありません。

また、本件では、相手方が公式サイトを持たず、SNSと非通知の電話のみで連絡してくるという特徴がありました。こうした相手方の場合、ご本人から連絡を取る手段がなく、言われるままに現金を持参してしまうことが少なくありません。弁護士が受任通知を送付し、法的手続も辞さない姿勢を明示することで、本件のように請求自体が止まる場合があります。

身分証を撮影されていることで、「自宅や職場に来られるのではないか」と不安になる方も多いですが、弁護士が窓口となれば、万一接触があった場合にも弁護士を通じて対応することができます。

メンズエステでその場で示談書に署名してしまった方、身分証を撮られて支払いを迫られている方、支払期限が迫っている方は、現金を持参する前に、まずは当事務所にご相談ください。