デリヘルの利用中にキャストとのやり取りを無断で録音していたことが店舗側に発覚し、対応を求められた男性からのご依頼です。弁護士が交渉窓口となり、解決金20万円の支払いに加え、接触禁止・口外禁止と違約金の定めを盛り込んだ合意書を締結して解決した経緯を紹介します。

※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。

事案の概要(ご相談前の状況)

警察に相談しても「当事者間で話し合いを」と言われ、行き詰まった

ご依頼者は、東北地方在住の会社員男性です。デリバリーヘルスを利用した際、ホテルでのサービス中に、キャストとのやり取りを無断で録音していました。この録音が店舗側の知るところとなり、店舗から対応を求められる事態となりました。

ご依頼者は、まず自ら警察に出向いて事情を説明しています。警察からは、行ったことを反省して二度と繰り返さないようにという指導を受けたものの、そのうえで「あとは当事者間で話し合ってください」と告げられました。刑事の面ではひとまず収まったものの、店舗との民事上の問題は何も解決していない状態です。

ご依頼者が最も恐れていたのは、金銭の負担そのものよりも、自分の身元が知られてしまうことでした。地方にお住まいで、勤務先を通じて各種の団体に名前が登録されているため、氏名から住所や勤務先までたどられてしまうのではないかという強い不安を抱えていたのです。

店舗側との話し合いは折り合いがつかず、自分でどう対応すればよいか分からない。そうした状況で、ご依頼者は当事務所にご相談くださいました。

弁護士の対応と解決への流れ

受任当日から店舗と交渉し、依頼者の希望を反映した合意書を締結

ご相談を受けた当日に受任し、その日のうちに弁護士が店舗へ連絡を取り、以後の交渉窓口となりました。これにより、ご依頼者が店舗と直接やり取りをする必要はなくなっています。

交渉では、解決金の額について協議を行い、受任した当日中に20万円で示談できる見通しが立ちました。

もっとも、本件で重要だったのは金額だけではありません。ご依頼者からは、今後いっさい相手方から連絡が来ないようにしてほしいこと、自分の個人情報を削除してほしいことなど、身元が知られることへの不安に対応してほしいという強い要望がありました。そこで弁護士は、解決金の支払いに加えて、相互に連絡・接触をしないこと、本件について口外しないこと、依頼者の個人情報を削除することなどを、合意書の条項として盛り込みました。

さらに、ご依頼者からは「条項を定めても守られなければ意味がないのではないか」というご不安の声がありました。そこで、接触禁止および口外禁止の条項に違反した場合、違反1回につき10万円の違約金を支払う旨の条項を追加しました。通常の合意書には必ずしも設けない条項ですが、ご依頼者の不安を踏まえ、実効性を高めるために採用したものです。

合意書案についてご依頼者の確認を得たうえで、解決金を当事務所の預り金口座にお預かりし、相手方へ合意書を送付しました。その後、相手方から署名捺印済みの合意書の返送を受けて締結処理を行い、解決金20万円を相手方の指定口座へ振り込んでいます。ご相談から締結・支払いの完了まで、約2週間での解決となりました。締結済みの合意書は、依頼者以外の個人情報にマスキング処理を施したうえでお渡ししています。

解決結果と弁護士のコメント

解決内容

  • 解決金20万円の支払いにより示談が成立
  • 相互に連絡・接触をしない旨の条項を合意書に明記
  • 口外禁止条項に加え、違反1回につき10万円の違約金条項を設定
  • 依頼者の個人情報を削除することを合意内容に明記
  • 解決金は当事務所の預り金口座を経由して支払い、履行を確認
  • ご相談から約2週間で合意書の締結・解決金の支払いまで完了

警察に相談しても、民事上のトラブルは終わりません

まず前提として、相手の承諾を得ずに会話や行為を録音する行為は、決して行うべきではありません。

風俗店の利用規約では、店内やサービス中の録音・撮影を禁止しているのが通常です。これに違反した場合、店舗側から利用規約に基づく違約金や損害賠償を請求されることがあります。また、店舗との関係とは別に、録音されたキャスト本人との関係でも、プライバシーの侵害として損害賠償責任を問われる可能性があります。

本件のご依頼者は、ご自身で警察に出向いて事情を説明されていましたが、警察から言われたのは「当事者間で話し合ってください」ということでした。警察は犯罪の捜査を行う機関であり、民事上の紛争には原則として介入しません。刑事事件として扱われなかったとしても、それによって店舗やキャストからの金銭的な請求がなくなるわけではないのです。

また、このようなトラブルでは、金銭の負担以上に、家族や勤務先に知られること、相手方から今後も連絡が来続けることへの不安が大きいという方が少なくありません。こうした不安に対しては、金銭を支払って終わりにするのではなく、相互に連絡・接触をしない旨の条項や、口外を禁止する条項、個人情報の削除を定める条項を合意書に盛り込むことで備えられる場合があります。違反した場合の違約金を定めておくことで、条項の実効性を高められる場合もあります。

当事者同士の話し合いでは、仮に口頭で話がまとまったとしても、後から蒸し返されるおそれが残ります。弁護士が窓口となることで、依頼者が相手方と直接やり取りすることなく、解決の範囲と条件を書面で明確にしたうえで、確定的な解決を図ることができる場合があります。

風俗店の利用をめぐって店舗から対応を求められている方、身元が知られることに不安を抱えている方は、お一人で抱え込まず、早めに当事務所までご相談ください。