- メンズエステで本番行為をしてしまい、店から罰金を請求されている
- 「支払わなければ警察に通報する」と言われている
- 請求された金額を本当に支払う必要があるのかわからない
こんな悩みにお答えします。
メンズエステで本番行為を理由に金銭を請求されると、逮捕や家族・勤務先への発覚を不安に感じ、請求された金額をその場で支払ってしまうことも考えられます。しかし、店側が「罰金」と呼んでいる金銭が、法律上当然に支払わなければならないものとは限りません。
一方で、本番行為の経緯や相手の同意の有無によっては、刑事責任や民事上の損害賠償責任が問題となる可能性もあります。
この記事では、メンズエステで本番行為を理由に罰金を請求された場合について、以下の内容を解説します。
- 店から請求される「罰金」と刑事罰の違い
- 本番行為によって刑事責任を問われる可能性があるケース
- 罰金や示談金を請求されたときの対応
- 脅迫や恐喝、美人局が疑われる場合の対処法
- すでに金銭を支払ってしまった場合の対応
請求された金額をその場で支払うべきか迷っている方は、まず請求の法的根拠と、本番行為に至った経緯を整理することが重要です。この記事を参考に、落ち着いて今後の対応を検討してください。
メンズエステで「罰金」を請求されても直ちに支払う必要があるとは限らない

メンズエステ店から「罰金」として金銭を請求されても、その名称だけで直ちに支払い義務が生じるわけではありません。
なぜなら、刑事罰としての罰金は、刑事手続を経て科される刑罰だからです。
一方、店側から利用者に請求する金銭は、規約に基づく違約金や損害賠償、示談金など、別の法的性質を持つ可能性があります。
そのため、請求を受けた場合は、まず「何を根拠として、どのような名目で請求されているのか」を確認することが大切です。
「罰金」と刑事罰の罰金は意味が異なる
上述したように、刑事罰としての「罰金」は、犯罪について刑事責任が認められた場合に、刑罰として科されるものです。
つまり、店側が独自に「罰金」という名称で金銭を請求することとは、法的な性質が異なります。
たとえば、店の規約に「本番行為をした場合は罰金○万円」と記載されていたとしても、その金銭は刑法上の罰金ではありません。契約上の違約金や損害賠償額の予定などとして請求されている可能性があります。
民法420条では、当事者が債務不履行について損害賠償額をあらかじめ定めることが認められています。また、違約金については、特段の事情がない限り、損害賠償額の予定と推定されます。
したがって、「罰金」という言葉だけで支払い義務の有無を判断するのではなく、請求の法的根拠を確認する必要があります。
店が独自に定めた違約金に法的な支払い義務があるとは限らない
店の規約に「本番行為をした場合は○万円を支払う」といった規定があったとしても、その記載だけで、請求額を当然に支払わなければならないと決まるわけではありません。
まず、利用者と店との間でどのような契約が成立していたのか、当該規約が契約内容に含まれていたのかを確認する必要があります。
また、違約金の規定があったとしても、具体的な請求の内容や金額が問題となる場合があります。たとえば、規約の内容が利用者に明確に示されていたのか、どのような義務違反を想定した規定なのかなど、個別の事情を踏まえて判断することになります。
そのため、「規約に書いてあるから必ず支払う」「規約に書いてあっても絶対に支払う必要がない」と一律に判断するのは適切ではありません。
実際に支払い義務があるかは規約や行為の内容によって異なる
実際に支払い義務があるかどうかは、規約の内容だけでなく、契約の成立状況や本番行為に至った経緯、請求の根拠などを踏まえて個別に判断する必要があります。
たとえば、店がどのような規約を設けていたのか、利用者にどのような説明がされていたのか、実際にどのような行為があったのかによって、法的な評価が変わる可能性があります。
また、店側から請求されている金額が、違約金なのか損害賠償なのか示談金なのかによっても、検討すべきポイントは異なります。
請求を受けた場合は、自己判断で支払い義務の有無を決めるのではなく、請求書や規約、店とのやり取りなどを整理したうえで、必要に応じて弁護士へ相談することが望ましいです。
メンズエステの本番行為で刑事責任を問われる可能性があるケース

メンズエステで性交等をしたという事実だけで、直ちに特定の犯罪が成立するとは限りません。
一方で、本番行為に至った経緯や相手の同意の有無、暴行・脅迫の有無などによっては、刑事責任が問題となる可能性があります。
特に、相手が同意していないにもかかわらず性交等をした場合には、不同意性交等罪が成立する可能性があります。また、性交等に至らないわいせつな行為や、暴行・脅迫、無断撮影などについても、別途犯罪が成立する可能性があります。
本番行為をめぐって問題となりうる、代表的な犯罪について順に解説します。
同意のない性交等をした場合|不同意性交等罪
刑法上の一定の要件を満たす状況で、相手の同意なく性交等をした場合には、不同意性交等罪が成立する可能性があります。
ただし、不同意性交等罪は単純に「同意がなかった」という事実だけで機械的に成立する犯罪ではありません。
刑法では、暴行・脅迫のほか、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態など、一定の事情を利用して性交等をした場合を処罰の対象としています。
メンズエステの利用中であったことや、セラピストとの間に一定の性的なやり取りがあったことだけで、性交への同意があったと判断されるわけではありません。
したがって、相手が拒否していた、抵抗できない状態にあったなどの事情がある場合には、刑事責任について慎重な検討が必要です。
同意のないわいせつな行為をした場合|不同意わいせつ罪
性交等には至らなくても、刑法上の一定の要件を満たす状況で、相手の同意なくわいせつな行為をした場合には、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
たとえば、相手が拒否しているにもかかわらず、身体を触る、キスをするなどの行為をしたケースが考えられます。ただし、具体的な行為が犯罪に該当するかどうかは、行為の内容や当時の状況、相手の意思などを踏まえて判断する必要があります。
また、メンズエステで通常の施術として身体に触れることと、客がセラピストに対してわいせつな行為をすることは別問題です。
「施術中だったから問題ない」「軽い接触だったから犯罪にはならない」と一律に考えるのは避け、実際の状況に応じて判断することが重要です。
暴行や脅迫をした場合|暴行罪・脅迫罪
セラピストに対して暴行を加えたり、生命・身体などに害を加える旨を告げたりした場合には、暴行罪や脅迫罪が成立する可能性があります。
たとえば、施術中に相手の腕を強くつかむ、無理に押さえつけるなどの行為は、状況によって暴行罪の問題となる可能性があります。また、「拒否したら痛い目に遭わせる」など、生命・身体などに害を加える旨を告げた場合には、脅迫罪が問題となる可能性があります。
さらに、暴行や脅迫を用いて性交等を行った場合には、これらの行為だけでなく、不同意性交等罪などの成立も問題となりえます。
したがって、店やセラピストとのトラブルになった際は、感情的になって威圧したり、相手を拘束したりすることは避けてください。
盗撮をした場合|性的姿態等撮影罪
メンズエステの個室などで、セラピストの性的な部位や姿態を同意なく撮影した場合には、性的姿態等撮影罪が成立する可能性があります。
性的姿態等撮影罪では、正当な理由がないのに、ひそかに性的な姿態等を撮影する行為のほか、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態に乗じて撮影する行為などが処罰の対象となります。
たとえば、メンズエステでセラピストの性的な部位や下着などをひそかに撮影した場合や、着替え中の性的な姿態等を撮影した場合などには、性的姿態等撮影罪が問題となる可能性があります。
そのため、「本番行為をしていなければ問題ない」とは限りません。撮影した対象や方法、撮影時の状況などによっては、撮影行為そのものについて刑事責任が問題となる可能性があります。
実際に何を、どのような方法で撮影したのかが重要になるため、具体的な事情を踏まえて判断する必要があります。
本番行為を理由に店から高額な請求を受けるケース

本番行為を理由として店やセラピストから金銭を請求された場合、その金銭がどのような根拠に基づくものなのかを確認する必要があります。
たとえば、店舗の規約に基づく違約金として請求される場合もあれば、セラピストが受けた精神的苦痛や、身体的な被害などを理由として、損害賠償を求められる場合もあります。また、刑事事件化を避けることなどを目的として、示談金の支払いを提案されるケースも考えられます。
ただし、店側が提示した金額が、そのまま法的に認められるとは限りません。請求の名目や根拠を確認し、個別の事情に応じて判断することが重要です。
本番行為を理由として、高額請求が考えられるケースについてそれぞれ見ていきましょう。
店の規約違反を理由に違約金を請求されるケース
店舗の利用規約などに本番行為の禁止や、違反した場合の違約金について定められている場合、その規定を根拠として金銭を請求されることがあります。
もっとも、規約に記載されているという事実だけで、請求額や請求方法まで当然に正当化されるわけではありません。
利用者との間でどのような契約が成立していたのか、規約がどのように提示されていたのか、違約金の規定がどのような内容なのかなどを確認する必要があります。
また、民法420条では違約金について一定のルールが定められています。したがって、「店が勝手に決めた金額だから必ず無効」とも、「規約に書いてあるから必ず支払う必要がある」とも一概にはいえません。
セラピストや店側から損害賠償を請求されるケース
本番行為に至る過程でセラピストの意思に反する行為をした場合などには、セラピスト本人から慰謝料などの損害賠償を請求される可能性があります。
たとえば、相手の同意なく性的な行為を行い、精神的苦痛を与えたと評価される場合には、刑事責任とは別に民事上の損害賠償責任が問題となることがあります。
一方、店側が独自に損害賠償を請求できるかどうかは、店自身にどのような損害が生じたのか、契約関係がどうなっているのかなどによって異なります。
そのため、「本番行為をしたから店に○万円の損害賠償を支払う」と一律に決まっているわけではありません。請求を受けた場合は、誰が、どのような損害を理由として請求しているのかを確認することが重要です。
示談金として金銭の支払いを求められるケース
本番行為をめぐるトラブルでは、店側やセラピスト側から「示談」という形で金銭の支払いを求められることがあります。
示談とは、当事者間で話し合いを行い、一定の条件でトラブルを解決するための合意です。金銭の支払いを条件として、相手がそれ以上の請求をしないことなどを合意するケースもあります。
ただし、示談金として提示された金額が、そのまま適正な金額だと決まっているわけではありません。行為の内容や被害の程度、当事者間のやり取り、刑事手続の状況などによって、金額や示談条件は変わります。
また、示談書には「今後一切請求しない」といった条項が含まれることもあります。金銭を支払う前に、何について解決する示談なのか、追加請求がどう扱われるのかなどを確認することが大切です。
本番行為で罰金を請求されたときに取るべき対応

本番行為を理由として罰金や示談金を請求された場合、焦ってその場で支払いを決めるのは避けましょう。
まずは、請求の根拠や金額を確認し、必要な証拠を保存することが重要です。
また、示談書や誓約書へのサインを求められている場合も、内容を十分に確認してから判断する必要があります。
ここでは、請求を受けた直後に取るべき基本的な対応を4つ紹介します。
請求の根拠や金額の内訳を確認する
まずは、店側が何を根拠として金銭を請求しているのか確認しましょう。
たとえば、店舗の規約に基づく違約金なのか、セラピストへの損害賠償なのか、示談金なのかによって、法的な検討事項は異なります。
可能であれば、規約の該当箇所や請求書、金額の内訳などを書面やメッセージで提示してもらいましょう。
口頭で「本番をしたから○万円払え」と要求されている場合には、請求の根拠が明確になっているか確認することが重要です。
ただし、請求に疑問があるからといって、その場で店側と長時間議論する必要はありません。まずは資料を確認し、必要に応じて弁護士への相談を検討しましょう。
現金の手渡しやその場での振り込みを避ける
店側から「今すぐ現金で払ってほしい」「その場でATMから振り込んでほしい」と要求されても、請求内容を確認しないまま支払うことは避けましょう。
一度支払った金銭は、後から返還を求めるのは非常に困難となり、実際に取り戻せるかどうかは、支払いに至った経緯や契約内容などによって異なるためです。
そのため、可能であれば「請求内容を確認してから回答する」と伝え、いったん持ち帰ることを検討しましょう。
特に、複数人に囲まれている、長時間拘束されているなど、自由に判断できない状況で支払いを迫られている場合は、金銭の問題だけでなく身の安全も優先する必要があります。
示談書や誓約書にすぐサインしない
店側から示談書や誓約書へのサインを求められた場合も、内容を十分に確認する前に署名することは避けましょう。
書面には、支払う金額だけでなく、支払期限や口外禁止、追加請求に関する条項などが記載されている場合があるからです。
また、「本番行為を認める」「今後一切争わない」といった内容が含まれていれば、その後の交渉や法的手続に影響する可能性もあります。
そして何よりも、刑事事件が絡んでいる場合には、示談(契約)の相手方がセラピストであることを絶対に確認してください。店側と示談しただけでは、法的にはセラピストと示談したことにはなりません。
サインを求められた場合は、書面の写真や写しを保管し、内容を確認してから判断することが重要です。必要に応じて弁護士に確認してもらうことも検討しましょう。
店とのやり取りを記録しておく
店側やセラピストとのやり取りは、できる限り記録として残しておきましょう。
たとえば、以下のような情報を保存しておくと、後から請求の経緯を整理する際に役立つ場合があるからです。
- LINEやメールなどのメッセージ
- 請求書
- 規約
- 振込先
- 通話履歴
また、脅迫的な発言や支払いを強く迫る発言があった場合には、その内容がわかる記録も重要になります。
トラブルが発生した直後は記憶が鮮明でも、時間が経つと細かな内容を思い出せなくなることがあります。いつ、誰から、何を言われ、いくら請求されたのかを時系列でメモしておくことも有効です。
メンズエステの罰金請求は美人局?脅迫や恐喝を受けた場合の対処法

メンズエステで本番行為をした後、突然高額な金銭を要求されたり、家族や勤務先への連絡をほのめかされたりすると、「美人局なのではないか」と不安になることがあります。
ただし、特定の事情だけで美人局に該当すると判断することはできません。また、店側から金銭を請求されているというだけで、直ちに脅迫や恐喝が成立するわけでもありません。
一方で、暴行や脅迫を用いて金銭を要求されている場合には、刑事上の問題となる可能性があります。
ここでは、美人局が疑われる場合の考え方と、脅迫や恐喝を受けたときの対応について解説します。
美人局が疑われるケースでも安易に判断しない
たとえば、次のような事情が重なっている場合には、美人局ではないかと疑うきっかけになることがあります。
- セラピスト側から本番行為を誘導された
- 行為の直後に突然、高額な金銭を要求された
- 「払わなければ家族や勤務先にバラす」と言われた
- 複数人から取り囲まれるなど、威圧的な対応をされた
もっとも、これらの事情があるからといって、直ちに美人局に該当すると判断できるわけではありません。
「美人局」は法律上の犯罪類型を示す言葉ではなく、一般的な呼称です。実際の法的評価は、関係者の行為や意思、金銭を要求した経緯などによって異なります。
そのため、「美人局だから支払わなくてよい」と自己判断するのではなく、請求の内容や相手の言動を記録し、必要に応じて警察や弁護士へ相談することが重要です。
「家族や勤務先にバラす」などと脅されたら証拠を残す
「罰金を払わなければ家族に連絡する」「勤務先に本番行為をしたことを伝える」などと言われ、金銭の支払いを迫られるケースがあります。
このような発言があったとしても、その内容や状況だけで直ちに脅迫罪や恐喝罪が成立するとは限りません。
ただし、生命・身体・自由・名誉・財産などに害を加える旨を告げて相手を脅したり、そのような脅しを用いて金銭を交付させたりした場合には、脅迫罪や恐喝罪などが問題となる可能性があります。
そのため、LINEやメールのスクリーンショット、通話履歴、請求書などは削除せず保存しておきましょう。いつ、誰から、どのような要求を受けたのかを時系列で整理しておくことも、後の相談に役立ちます。
暴行や脅迫など身の危険がある場合は警察への相談を検討する
複数人に取り囲まれている、帰宅を妨げられている、暴力を振るわれているなど、身の安全に関わる状況では、自分だけで解決しようとせず、警察への相談を検討してください。
現在進行形で暴行を受けている、帰宅を妨げられているなど、身の危険が迫っている場合には、金銭請求への対応よりも身の安全の確保を優先してください。
一方、すでにその場を離れており、緊急性がない場合には、当時のやり取りや請求内容を整理したうえで、警察への相談方法を検討することもできます。
なお、警察に相談した場合の対応は、具体的な事案や証拠の状況などによって異なります。自分の本番行為についても刑事責任が問題となる可能性がある場合は、その点も含めて弁護士に相談し、今後の対応を慎重に検討することをおすすめします。
不当な金銭請求を受けている場合は弁護士への相談を検討する
店側から高額な金銭を請求され、その根拠や金額に疑問がある場合には、弁護士への相談を検討しましょう。
弁護士であれば、規約や請求書、店とのやり取りなどを確認し、請求に法的な根拠があるのか、どのような対応が考えられるのかを整理できます。
また、依頼を受けた弁護士が、本人に代わって店側と交渉できる場合もあります。脅迫や恐喝が疑われる場合には、刑事上の問題も含めて、警察への相談を検討すべきか助言を受けられることもあります。
ただし、弁護士に相談したからといって、請求が必ずなくなったり、金額が必ず減額されたりするわけではありません。具体的な事情を確認したうえで、現実的な解決方法を検討することが大切です。
すでに罰金や示談金を支払ってしまった場合の対応

すでに店側やセラピストに罰金や違約金、示談金などを支払ってしまった場合でも、支払いに至った経緯や契約内容によっては、返還を求めることができる可能性があります。
ただし、「高額だった」「後から支払いたくなくなった」という理由だけで、当然に返金を受けられるわけではありません。
支払いの際にどのような説明を受けたのか、どのような書面にサインしたのか、支払いを迫る際に脅迫や強迫があったのかなど、具体的な事情を確認する必要があります。
支払いに至った経緯や契約内容を確認する
まずは、支払いに至った経緯をできるだけ正確に整理しましょう。
具体的には、店側から何を理由として請求されたのか、いくら支払ったのか、どのような規約や示談書を提示されたのか、支払いを急かされたのかなどを確認します。
また、示談書や誓約書、請求書、領収書、LINEなどのメッセージが残っていれば、削除せず保管しておきましょう。
支払いの有効性や返還請求の可否を検討する際には、書面の内容だけでなく、実際にどのような状況で合意や支払いが行われたのかも重要になります。
脅迫や強迫などがあった場合は返還を求められる可能性がある
金銭の支払いに関する合意などが、相手からの強迫によってされた場合には、その意思表示を取り消せる可能性があります。
民法上、強迫によってされた意思表示は、一定の要件のもとで取り消すことができるからです。取り消された法律行為は、原則として初めから無効であったものとみなされます。
もっとも、実際に返還を求められるかどうかは、強迫の有無や支払いの法的性質、示談書の内容などを踏まえて判断する必要があります。また、単に「高額な金額を支払ってしまった」という事情だけで、当然に返還を請求できるわけではありません。
返金を求めたい場合は、支払いに至った経緯を示す証拠を整理したうえで、まずは弁護士に相談しましょう。
追加請求を受けても安易に支払わず弁護士へ相談する
一度金銭を支払った後、店側から「まだ足りない」「別の違約金もある」などとして追加請求を受けることがあります。
このような場合も、まずは追加請求の根拠や、これまでの合意内容を確認することが重要です。すでに示談が成立している場合には、示談書の内容や合意の範囲が重要になります。
もっとも、示談書にどのような条項があるかによって結論は変わるため、「一度支払ったから追加請求は絶対に認められない」とも一概にはいえません。
追加請求を受けた場合は、それまでの支払い記録や示談書などを確認し、請求の根拠を明らかにしたうえで対応を検討しましょう。
メンズエステの罰金請求を弁護士に相談するメリット

メンズエステの本番行為をめぐって罰金や示談金を請求されている場合、刑事責任と民事上の金銭請求の両方を考慮しなければならないことがあります。
さらに、店側との交渉や、脅迫・恐喝が疑われる場合の対応まで自分だけで判断することは容易ではありません。
その点、弁護士に相談すれば、請求の根拠や契約内容を確認したうえで、今後の対応について法的な観点から助言を受けられます。
ここでは、弁護士に相談・依頼する主なメリットを紹介します。
店側との交渉を任せられる
弁護士に依頼した場合、事案によっては、本人に代わって店側やセラピストとの交渉を依頼することができます。
自分で店側とやり取りする場合、感情的な対立になったり、相手の要求にどう回答すべきか迷ったりすることがあります。
しかし、弁護士が窓口となれば、請求の法的根拠や金額の妥当性などを踏まえて交渉を進めてもらえる場合があります。
ただし、弁護士が依頼を受けられる範囲や交渉方針は、具体的な事案や契約内容によって異なります。依頼する場合は、どこまで対応してもらえるのかを事前に確認しておきましょう。
請求に法的な根拠があるか確認してもらえる
店側から「規約に書いてあるから支払え」と言われても、その規約だけで請求の法的な根拠が明らかになるとは限りません。
弁護士に相談すれば、以下のような点を確認し、どのような法的根拠に基づく請求なのかを整理してもらえる場合があります。
- 規約
- 契約内容
- 請求書
- 店側とのやり取り
違約金なのか損害賠償なのか示談金なのかによっても、検討すべき事項は異なります。そのうえで、請求額の妥当性や、減額交渉などの対応が可能かどうかを検討することになります。
とはいえ、弁護士に相談すれば請求が必ず撤回・減額されるわけではありません。具体的な事情を踏まえた見通しを確認することが重要です。
不当な請求や脅迫などへの対応を相談できる
高額な金銭を請求されているだけでなく、「払わなければ家族に知らせる」などと告げられている場合には、金銭請求とは別に刑事上の問題が生じる可能性があります。
このような場合、弁護士に相談することで、店側の言動がどのような法的問題につながりえるのかを整理できます。
また、警察へ相談することが適切か、店側との交渉を先に行うべきかなど、状況に応じた対応を検討することもできます。
自分の本番行為について刑事責任が問題となる可能性がある場合には、その点も含めて相談することが大切です。複数の問題を切り分けながら、今後の対応を検討できる点が、弁護士に相談するメリットの一つです。
メンズエステの本番行為に伴う罰金でよくある質問

最後に、メンズエステで本番行為を理由として罰金や示談金を請求された場合に、よく問題となる質問について解説します。
ここで紹介するのは一般的な考え方であり、実際の法的な評価は、本番行為に至った経緯や規約の内容、店側とのやり取りなどによって異なります。
自分のケースにそのまま当てはめるのではなく、あくまで対応を考える際の参考としてご覧ください。
セラピストから誘われた場合でも罰金を支払う必要がありますか?
セラピスト側から本番行為を誘われた場合でも、それだけで店側の違約金などの請求が当然に無効になるとは限りません。
一方で、誰がどのように本番行為を誘ったのか、店側がその行為をどのように禁止していたのか、規約がどのように提示されていたのかなどによって、請求の法的な評価が変わる可能性があります。
また、セラピスト側から誘われたことと、相手の同意なく性的な行為をしたかどうかは別の問題です。
「誘われたからすべて問題ない」と判断するのではなく、当時のやり取りや状況を整理したうえで、請求の根拠を確認することが重要です。
店の規約に罰金と書かれていても支払う必要がありますか?
店の規約に「本番行為をした場合は○万円」と記載されていても、その記載だけで請求の有効性がすべて決まるわけではありません。
実際には、利用者との間でどのような契約が成立していたのか、規約が契約内容として組み込まれていたのか、規約の内容がどのようなものなのかなどを確認する必要があります。
また、違約金の規定については、民法上のルールも関係します。
そのため、「規約に書いてあるから必ず払う」とも、「規約だから絶対に無効」とも一概には判断できません。実際に請求された場合は、規約の該当箇所や請求内容を確認し、必要に応じて弁護士へ相談しましょう。
罰金を払わないと警察に通報すると言われたらどうすればいいですか?
「罰金を払わなければ警察に通報する」と言われた場合でも、その発言だけで直ちに脅迫罪や恐喝罪が成立するとは限りません。
実際に、犯罪に該当する行為があった場合に警察へ相談・通報すること自体は、当然に違法とはいえないためです。
一方で、正当な目的による通報ではなく、相手を畏怖させて金銭を支払わせる目的で害悪を告げるなどの行為については、脅迫罪や恐喝罪が問題となる可能性があります。
「警察に通報する」と言われた場合は、相手の発言や請求内容を記録しておき、必要に応じて弁護士や警察への相談を検討しましょう。
すでに誓約書にサインしてしまった場合でも取り消せますか?
誓約書にサインした場合でも、書面の内容や署名に至った経緯によっては、その効力を争える可能性があります。
たとえば、脅迫や強迫によって意思表示をしていた場合には、民法上の取消しが問題となることがあります。
ただし、「サインしたくなかった」「後から考えが変わった」という事情だけで、当然に誓約書の効力を否定できるわけではありません。
実際にサインした書面の内容や、署名時の状況、店側から受けた言動などを確認する必要があります。誓約書の写しを保管し、サインに至った経緯を整理したうえで、弁護士に相談することを検討してください。
警察に相談すると自分も逮捕される可能性がありますか?
自分がメンズエステで行った行為について刑事責任が問題となる事情がある場合、警察に相談したこととは別に、自身の行為について捜査の対象となる可能性はあります。
そのため、「被害を相談すれば絶対に自分は逮捕されない」と考えることも、「警察に相談したら必ず逮捕される」と考えることも適切ではありません。
警察がどのように対応するかは、具体的な事実関係や証拠などによって異なります。
店側から脅迫や恐喝を受けている一方、自分の本番行為についても不安がある場合には、警察への相談を検討する前に弁護士へ事情を説明し、今後の対応について助言を受ける方法もあります。
メンズエステの本番行為で罰金を請求されたらまずは弁護士へ相談を

今回は、メンズエステの本番行為を理由として罰金や示談金を請求された場合の支払い義務や対処法について解説しました。
店側が「罰金」と呼んでいる金銭は、刑事罰としての罰金とは異なり、その名称だけで当然に支払い義務が生じるわけではありません。規約に違約金の定めがある場合でも、契約の内容や規約の提示状況、請求の根拠などを確認する必要があります。
一方、本番行為に至った経緯や相手の同意の有無などによっては、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪などの刑事責任が問題となる可能性があります。さらに、状況によっては暴行罪や脅迫罪、性的姿態等撮影罪など、別の犯罪が問題となる場合もあります。
罰金や示談金を請求された場合は、請求の根拠や金額を確認し、内容を十分に検討しないまま現金を支払ったり、示談書・誓約書にサインしたりすることは避けましょう。店側やセラピストとのやり取りや請求に関する資料も、できる限り保存しておくことが大切です。
また、「払わなければ家族や勤務先に知らせる」などと脅されている場合や、暴行などによって身の危険を感じている場合には、金銭請求とは別に刑事上の問題が生じる可能性があります。
本番行為をめぐる罰金請求では、刑事責任・民事上の請求・脅迫や恐喝の問題を分けて考えることが重要です。
自分だけで判断することが難しい場合には、請求書や規約、店とのやり取りなどを整理したうえで、弁護士への相談を検討しましょう。当事務所は全国対応・24時間受付体制で、風俗トラブルに精通した弁護士が全力でサポートいたします。まずは無料相談をご活用ください。