メンズエステの施術中の行為について、キャストから不同意性交等罪の被害届が提出され、警察の捜査が始まっていた男性のご相談です。弁護士が弁護人として警察対応と示談交渉を並行して進め、被害届の取下げ・不送致により刑事事件化を回避した経緯を紹介します。
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(相談前の状況)
メンズエステの利用をめぐり不同意性交等罪の被害届を出された
依頼者は男性で、メンズエステを利用した際の施術中の行為について、キャストから陰部に指を挿入されたと主張され、不同意性交等罪の被害届が警察に提出されました。依頼者は、そのような行為はしていないと一貫して否認していました。
もっとも、ご相談の時点で既に、DNA型鑑定のための資料採取や指紋採取、携帯電話の任意提出、事情聴取といった捜査が現に進んでおり、さらに追加の聴取も予定されている状況でした。このまま逮捕や起訴に至るのではないかという強い不安の中、次の聴取を目前に控えたタイミングで、当事務所にご依頼いただきました。
弁護士の対応と解決への流れ
弁護人就任と警察対応、並行して進めた示談交渉
受任当日から、弁護士が警察署に連絡を取り、依頼者の弁護人に就くことを伝えたうえで、捜査の状況確認を開始しました。速やかに弁護人選任届を提出し、以後、警察とのやり取りの窓口となりました。依頼者は遠方にお住まいでしたが、書類の郵送と電話・メールにより、ご来所いただくことなく対応を進めました。
方針としては、依頼者が被疑事実を否認していることを踏まえ、否認の姿勢は維持しつつ、担当刑事とのやり取りを通じて警察やキャスト側の意向を慎重に見極めながら、示談の可能性を探ることとしました。被疑者側がキャストに直接接触すれば、口封じなどを疑われてかえって不利益になりかねないため、警察を通じて示談の意向を伝える形をとったところ、後日、キャスト側から当事務所に連絡があり、交渉が始まりました。
交渉の結果、示談金50万円を支払うこと、キャストが依頼者を宥恕する(許し、処罰を求めない)旨の条項を盛り込んだ示談書を取り交わすことで合意に至りました。署名済みの示談書を受領したうえで、示談金の支払いを完了しました。
示談の成立を受けて、キャストは警察に提出していた被害届を取り下げました。その後、弁護士が警察署に確認したところ、被害届の取下げに加え、本件が検察官に送致されないまま終了したこと(不送致)が確認できました。受任から約1ヶ月半で、逮捕・起訴に至ることなく、前科が付かない形で事件は終結しました。
解決結果と弁護士のコメント
解決内容
- 示談金50万円と宥恕条項(処罰を求めない意思表示)を内容とする示談が成立
- キャストが警察に提出していた被害届を取下げ
- 検察官への送致なし(不送致)で刑事手続が終了し、前科が付くことなく解決
- 受任当日から弁護士が警察対応を開始し、受任から約1ヶ月半で終結
- 遠方在住の依頼者と、来所不要(郵送・電話・メール)で対応を完了
担当弁護士からのコメント―被害届を出されたら一刻も早く弁護士へ
不同意性交等罪は、2023年の刑法改正により、性交だけでなく、膣や肛門に身体の一部や物を挿入する行為も処罰の対象であることが明確になりました。そのため、メンズエステのようなサービスの施術中の行為をめぐって、指の挿入などを理由に被害申告がなされるケースがあります。法定刑は5年以上の拘禁刑と重く、被害届が提出され捜査が始まっている場合には、一刻を争う対応が必要です。
このような場面では、弁護人選任届を提出して警察との窓口を弁護士に一本化し、取調べへの対応について助言を受けながら、今後の見通しを立てることが重要です。また、被疑者本人が被害者に直接連絡を取ることは、証拠隠滅や口封じを疑われ、逮捕のリスクをかえって高めかねないため、絶対に避けるべきです。示談を目指す場合も、弁護士を通じ、必要に応じて警察の協力も得ながら打診することが安全です。
被害者の宥恕条項を含む示談が成立すると、本件のように被害届の取下げにつながり、不起訴や不送致といった形で刑事手続が終了する場合があります。事実関係に争いがある事案でも、否認の姿勢を維持しながら示談によって早期解決を図ることは可能です。
性的なトラブルで被害届を出された方、警察から呼び出しを受けている方は、取調べを受ける前の対応が結果を左右することもあります。できる限り早い段階で、当事務所までご相談ください。